槍ヶ岳 (やりがたけ)
日本のマッターホルン槍ヶ岳(3180m)は、天空に屹立した岩の仏塔の如く、北アルプスの中心に配された巨大なランドマーク。燕常念山脈・穂高連峰・笠ヶ岳・裏銀座など何処から見てもまず最初に目に入るのがこの巨大な岩の尖塔で、四方八方から尾根を携えて一点で交わるこの場所は、北アルプスの盟主的な存在でもあります。
槍ヶ岳へ辿る道はどれも長く、麓からは普通2日以上かかります。大きく分けて尾根道を進むコースと沢を登り詰めるコースがあり、尾根伝いのコースに燕岳から縦走する表銀座、高瀬ダムから縦走する裏銀座、新穂高温泉から双六小屋経由で縦走する西鎌尾根、それに穂高岳から大キレット越しに縦走するコースがあります。また沢を詰めるコースとして、上高地から梓川の源流を登る槍沢コースと、新穂高温泉から蒲田川の源流を登る槍平のコースがあります。一つの山でこれだけコースが選べるのは他に例を見ないほどですが、人気の高い山なのでその分何時でも大混雑してしまいます。夏の最盛期はなるべく週末を避けるのが懸命でしょう。
その中でも槍沢コースは一番楽なコースかもしれません。ただし後半はきつい登りがひたすら続くので、前半戦はペースをスローダウンして、体力を温存した方が良いでしょう。上高地から車道でもある横尾街道を進み、横尾を過ぎると針葉樹林帯の山道を淡々と進みます。殆ど傾斜は無く散歩気分で進みます。やがて沢沿いに道は進み橋を2回ほど渡り、少し傾斜がきつくなると槍沢ロッジに着きます。
槍沢ロッジはオオシラビソに囲まれた森の山小屋で、風呂に水洗トイレに旨い食事とベリーナイスな山小屋ですが、その為か利用客が並外れて多く何時でもブタ混み状態です。少し先のババ平に幕営地があり、展望が良くお花畑も近い気持ちの良い場所にあるので、テント派にはこちらがお奨め。
槍沢ロッジを過ぎてババ平に入るあたりから高山植物が多く目に付くようになります。道の傾斜もゆるいので、植物園に迷い込んだかのよう。トリカブトやクルマユリ、ミヤマシシウドなど。
ババ平からはU字谷の中をゆっくりと進みます。水俣乗越への分岐を過ぎて谷は大きく左に曲がります。このあたりは大曲と呼ばれ、ここから谷の左岸の急登が始まります。槍ヶ岳は全然見えず、谷の奥には中岳しか見えません。
道は段々と傾斜を強めて行きますが、高山植物は益々増えていくので気が紛れます。天狗原への分岐を過ぎてからさらに傾斜はきつくなりハイ松帯をよじ登って行くとグリーンバンドと呼ばれる岩屑の平地に辿りつきます。ここでようやく槍ヶ岳がお目見えします。
殺生ヒュッテへの道を分け、播隆上人が寝泊りした岩小屋跡の播隆岩を過ぎると、もう槍の穂先はすぐそこに見えてきます。がここからさらに傾斜が強まり、中々思うように進みません。岩屑の急坂をジグザグと進み、反吐が出るほどの登りを経てようやく肩にある槍岳山荘に到着します。
槍岳山荘は本館が改築されさらに快適な山小屋になりました。パン職人が早朝から自慢のデニッシュやクロワッサンを焼いて登山客に提供しています。また呑み屋としても健在で、今日のおつまみとして、おでん・枝豆・ざる豆腐・野沢菜で一杯が楽しめます。ヘリコプターが頻繁に荷物の揚げ降ろしに勤しんでいます。
槍ヶ岳山頂へは、岩場の危険な登降が続きます。長〜い梯子や急斜面の鎖場を攀じ登ってようやく狭い山頂に到着。北アルプス屈指の絶景が待ち構えています。
「槍沢ロッジ」
開設期間 4月下旬〜11月上旬
連絡先 〒390-0813 松本市埋橋1丁目7番2号
電話番号 0263-35-7200
FAX番号 0263-35-0637
現地電話 0263-95-2626
「槍岳山荘」
開設期間 4月下旬〜11月上旬
連絡先 〒390-0813 松本市埋橋1丁目7番2号
電話番号 0263-35-7200
FAX番号 0263-35-0637
現地電話 090-2641-1911