安藤家住宅 (あんどうけじゅうたく) 重要文化財
甲府盆地の西南部、今は南アルプスに併合された甲西地区に、在郷の名主屋敷であった安藤家住宅があります。旧甲西町は釜無川沿いに広がる豊かな田園地帯で、町内の何処からでも西に南アルプス、東に富士山が望め、春のスモモ畑や秋のコスモスが美しい静かな農村。そんな風光明媚な恵まれた自然環境にあるこの安藤家住宅は、敷地が4400uに及ぶ広大さを誇り、周囲を屋根塀で張り廻らせ、敷地内には西寄りに主屋・表門・土蔵、東寄りに茶室・庭園・池を配した豪華な構成。敷地全体が国の重要文化財に指定されました。
西側には表門として大きな長屋門が開けられています。茅葺屋根に切妻の造りで、1782年(天明2年)の建造。主屋は外観が茅葺屋根の入母屋造りで、幅が22.7m奥行が9.09m、中門を潜ると南面中央に千鳥破風屋根の玄関式台が施されています。1708年(宝永5年)の建造。
安藤家は元々は武田家の家臣の出で、交通の要所であった川上口の守護に当たっていましたが、武田家滅亡後は帰農して現在地に移り、住居を構えました。この建物は幾度かの改造が施されていて、当初の内部構成とはかなり異にしています。主屋の西半分は土間付きの14畳の居間があるのですが、これも当初は全面土間でした。台所部分に囲炉裏が切ってあります。
居間に続いて東側に10畳の表玄関があり、ここへは長屋門からそのまま中門を潜って入ります。この玄関部に立派な千鳥破風屋根が施されています。
表玄関の東側に12畳の仏間、そして12畳の奥座敷が続きます。この二間続きの座敷南東に広い縁側が付けられ、瀟洒で趣のある庭が広がっています。
奥座敷の北側から渡り廊下で茶室に繋がります。敷地内最奥にある茶室は桟瓦葺きの寄棟造りで、8畳の茶室に6畳の水屋があります。内部は本勝手に西北の畳に炉が向切り。1861年(万延2年)建造。
茶室の東には鬱蒼とした木立の中に池と島があり、その前に燈籠と蹲踞が配されています。南面は築山を背景にした絵画のように伸びやかな明るい庭が広がっています。南面は明と広、東面は暗と狭、と茶室からの眺めに変化があって飽きさせません。
奥座敷前に大きな松ノ木が聳えています。根周り20m、樹高19m、樹齢は約350年の黒松で、太い枝や根が所狭しと伸ばされて庭を這い回っています。市の天然記念物に指定。明治期には避雷針として使われていたもので、今でも先端に避雷針が取り付けられた状態です。庭奥には広い池もあります。この池にはカワセミも度々訪れる模様。
敷地内北西には蔵が二つ、北蔵は二階建てで1773年(安永2年)建造。南蔵は平屋建てで1864年(元冶元年)の建造
「安藤家住宅」
〒400-0411 山梨県南アルプス市市西南湖4302
電話番号 055-28-4448
開館時間 AM9時〜PM4時30分
休館日 毎週月曜日 12月27日から1月7日