アイロンプリントの使い方
   オリジナルTシャツ編

(注)アイロンプリントに使える布地、衣料品は、綿または綿ポリ混紡白色だけです。


 下図のように右側の「アイロンプリントの原稿」に対して、ミラー反転して画像を印刷した左側の「アイロンプリント用紙」が、お客さまに届きます。

アイロンプリント用紙アイロンプリントの原稿


1.アイロンプリント用紙の印刷した画像のまわりの余白部分をなるべく小さくして切り取ります。

 アイロンプリント用紙に印刷された画像のまわりにある余白部分(印刷されていない部分)は、アイロンプリントの熱転写作業を行うと、透明なシートとして布地に熱転写されてしまいます。
 つまり、印刷されている画像部分だけが、熱転写されるわけではないのです。
 よって、この余白部分を必要以上に布地に熱転写しても無意味なので、アイロンプリント用紙に印刷した画像のまわりの余白部分をなるべく小さくして切り取ります。
 だからと言って、余白部分を完全に無くすように切り取るのも危険です。
  熱転写後、アイロンプリント用紙を隅から剥がすときに、画像部分を傷つける可能性がありますので、ある程度の余白部分は残す必要があります。
 好みの問題ですが、 15mm幅ぐらいの余白部分を残してもかまわないでしょう。


2.アイロンプリントの熱転写作業を行うために、アイロン、アイロン台、アイロンプリント用紙、布地(今回はシャツを用意した。)をそろえます。

 スチームアイロンのように穴がある場合は、穴を避けて平らな部分を使用し、ドライ状態で使用します。



3.布地に付着している細かなゴミをよく取り除きます。そして、布に折り目やしわが無くても、布地が熱に対して均一な伸縮状態になるようにアイロンをかけます。


4.肌に直接密着する衣料品(下着、Tシャツ等)は、身に着けると生地が横方向に伸びる力がかかり、その力がプリント後のアイロンプリントにも加わり好ましくありません。
 このような衣料品は、布地をあらかじめ横方向に伸ばした状態にしてアイロン台に置き直します。 

 布地が伸びた状態でアイロンプリントの熱転写を行っておけば、ある程度の横方向に伸びる力がアイロンプリントに加わっても、その力を緩和できます。


5.アイロンプリント用紙の「画像を印刷した面」を布側に置きます。
 また、衣料品の腹部は、もっとも横方向に伸びる力がかかりますので、アイロンプリント用紙は、衣料品の首部に近い方へ配置した方がよいです。

 下図を見れば分かるように、アイロンプリント用紙の印刷面を布側にあてたわけですから、印刷面とは反対の白面(印刷面が白面を通して透けて見えますが)が布地の上に見えています。このアイロンプリント用紙の白面にアイロンをかけることになります。



6.第一段階は、アイロンの温度を低温120度に設定し、アイロンプリント用紙全体に熱を与えることを重視します。
 アイロンの重さだけで複数回アイロンプリント用紙の上を滑らせて、アイロンプリント用紙が浮かなくなる程度に貼り付けます。

 いきなり、第二段階の中温160度(綿の温度)に設定して、アイロンプリント用紙に熱を加えると、熱転写後の画像がムラを帯びて汚くなります。この第一段階の作業は、画像がムラにならないための対策ですので、必ず実行してください。
 もしも、この低温120度(ポリウレタン、アクリル用の温度)でアイロンプリント用紙が、浮いてしまい布地に貼り付く気配がないようならば、もう少しアイロンの温度を上げます。
 アイロンプリント用紙は、ずれないように十分注意してください。



7.第二段階は、アイロンの温度を布地に合わせて中温160度(綿用の温度)に設定し、やはり、アイロンの重さだけで複数回アイロンプリント用紙の上を滑らせて、アイロンをかけます。

 アイロンの設定温度を中温160度に変えると、40度上昇するための時間を要しますが、その間もアイロンをかけてください。


8.最終段階は、アイロンに力を加えながらアイロンプリント用紙をしっかりと熱圧着します。特にアイロンプリント用紙に印刷されている画像部分のまわりの余白部分(用紙の隅の部分)は、念入りに熱圧着します。

 隅の方の熱圧着が不完全になっていると、冷却後、アイロンプリント用紙を隅から剥がすときに、紙がうまく剥がれず、再度熱圧着するための時間と手間がかかります。


9.アイロンで熱転写後は、すぐにアイロンプリント用紙をはがさずにしばらく放置し、布が室温近くまで冷めるまで待ちます。

 イライラしないで待つことが一番!


10.下図の左側のようにアイロンプリント用紙の隅の方を剥がして奇麗に剥がれるのを確認してから、全体をゆっくり剥がします。


 下図の左側のように、奇麗に剥がれるときは、アイロンプリント用紙に印刷されている画像部分のまわりの余白部分が、透明なシートとして布地に付着している様子が確認できます。
 下図の右側は、熱圧着がうまくできていないために、布地が引っぱられて失敗している様子です。

成功失敗

 下図の左側がアイロンプリント用紙を剥がしている様子です。強い力を必要としないで剥がれます。
 下図の右側が剥がし終わった様子です。しっかり画像が現われています。



11.画像のまわりを見て剥がれそうになっている部分があったら、剥がした紙を画像にあてて、その上から再度アイロンで熱圧着します。
  すぐに紙をはがさずにしばらく放置し、布が室温近くまで冷めるまで待ってから、剥がすことをお忘れなく。

 くれぐれも、アイロンプリントした画像部分に直接アイロンをかけないようにしてください。直接アイロンをかければ、アイロンプリント部分が熱で溶けて印刷がにじんでしまいます。  

 さらにもう一枚続けてアイロンプリント用紙の熱転写を行う場合は、アイロンの設定温度が低温120度(ポリウレタン、アクリル用の温度)に降下してから、作業を繰り返すことを忘れないでください。

 下図は完成したシャツ全体の様子です。


下図はシャツに熱転写したアイロンプリントのクローズアップです。
この原稿は、画像サイズ縦27cm横20cm、解像度72pixels/inch、画像フォーマット形式JPEG、ファイル容量36.7KByteの画像を使用しています。


12.アイロンプリントの作業が終了したら、すみやかにアイロンの電源を切り、火災等を引き起こさないように十分注意してください。


家庭用アイロンでも美しく熱転写できる必殺技

 業務用熱転写装置を使わなくても下記のポイントを守れば、家庭用アイロンで十分美しく熱転写できます。下記の復習ポイントを認識した上で、このページを最初から再読してみるとよいでしょう。

復習ポイント

 肌に直接密着する衣料品(下着、Tシャツ等)は、身に着けると生地が横方向に伸びる力がかかり、その力がプリント後のアイロンプリントにも加わり好ましくありません。
 このような衣料品は、布地をあらかじめ横方向に伸ばした状態にしてアイロン台に置き直します。

 第一段階は、アイロンの温度を低温120度に設定し、アイロンプリント用紙全体に熱を与えることを重視し、アイロンの重さだけで複数回アイロンプリント用紙の上を滑らせて、アイロンプリント用紙が浮かなくなる程度に貼り付けます。

 第二段階は、アイロンの温度を布地に合わせて中温160度(綿用の温度)に設定し、やはり、アイロンの重さだけで複数回アイロンプリント用紙の上を滑らせて、アイロンをかけます。

 最終段階は、アイロンに力を加えながらアイロンプリント用紙をしっかりと熱圧着します。特にアイロンプリント用紙に印刷されている画像部分のまわりの余白部分(用紙の隅の部分)は、念入りに熱圧着します。


 使用上の注意

 アイロンの取扱い説明書をよく読んで火傷、火災等に十分注意してアイロンプリントの作業を行ってください。
 アイロンプリントした布地は、洗濯することができます。ただし、収縮の大きな布、熱に弱い布、起毛製品に熱転写したアイロンプリントは、洗濯などではがれるおそれがありますので、できるだけ避けてください。
 また、ドライクリーニングも避けてください。
 洗濯の際は、漂白剤も使用しないでください。熱転写部分が色落ちすることがあります。