このお宮のある伊台という町は、道後から約6キロ北の白水峠の近くにあります。この峠は、堀江、五明河中(奥道後から今治)、吉藤の街道と交わる交通の要衝です。現在は平地に自動車道路が出来て、ここは静かな山村住宅街です。
注連石の「天地・一指」の出典は荘子の斉物論にありました。「天地一指也、万物一馬也」。少し高台になった神社の境内から、平和な伊台の里を見下ろしての心境ではなかったでしょうか。
実は荘子が斉物論の中で述べている「天地一指」は、少し意味が違うようですが、米山は天地賛歌のような意味で使ったのではないかと忖度します。そうだとすると、三島神社(重信)の注連石が荘子の「天地一指」の後に、孔子の「至誠無息」と続くのもなんとなく納得出来ます。一般論的に言えば荘子は儒家の強烈な批判者で、二人の観点は水と油ですから、四字成語も組み合わせが作り難いと思います。
近くに、薄墨桜で有名な西法寺というお寺があります。そこに米山の書「薄墨桜」があります。本堂の額に飾られているのですが、訪ねて拝見をお願いしたところ快くお許し頂き、写真も撮らせて頂きました。
薄墨の 論旨かしこし 桜かな 虚子
薄墨や 羊羹もよし 花もよし けん
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