ジャンル RPG
機種 PS
制作 トライエース
発売 エニックス
メディア CD-ROM(2枚組)
発売日 1999年12月22日

 


 ストーリー

 ラグナロク。神々の黄昏とも言われるそれは、神々ですら回避することができない終末の戦いである。この世界の終末を察知したアース神族の主神オーディンは、来るべき戦いが対立するヴァン神族との決戦であると睨み、戦乙女であるレナス・ヴァルキュリアを呼び寄せる。
 オーディンが彼女に命じたことは、下界ミッドガルドへと赴き、優秀な戦士の魂を集めてくることである。かくして、ミッドガルドへと降り立ったレナスは、荒廃の進むミッドガルドの各地へと赴き、死を前にした人間の元を訪れてその魂を選定し、優秀な戦士の魂を神の尖兵たるエインフェリアへと転生させる任務に就くこととなるが、彼女に隠された秘密が、徐々に運命の歯車を狂わせていくこととなる。

 


 レビュー

 実は、この『ヴァルキリープロファイル』が登場するまで私は恥ずかしながらトライエースの存在すら知りませんでした。なのでSTAR OCEANもエニックスがテイルズシリーズをパクッて作っているものとばかり思っていたので、ずいぶん損なことをしてきたものです。
 この作品は色々な意味で面白く、全体的に優れた作品ではありますが、ある致命的な問題のために残念ながらシステムの評価は悪いです。まあそれはともかくとして、この作品以降私はトライエース作品を支持し始めたわけです(のちの裏切り行為が発覚するまでですが)。

 さてこの作品、普通のRPGとはかなり毛色の違う作風となっている。まず普通のRPGと異なり、この作品には制限時間が設定されている。制限時間といっても、それはある特定の動作をするごとに進むもので、一定時間が経つと最後の戦いに強制的に移行してしまう。だからプレイヤーは限られた期間でキャラクターを成長させたりイベントを進めなければならない。
 この作品は基本的に、主人公のヴァルキリーは神界における最終戦争(ラグナロク)に必要な勇者の魂を選定することを目的として行動する。その選定の際にイベントが発生し、新しい仲間が加わるのだ。またその勇者が神界で活躍できるために鍛えることを兼ねて、地上にはびこり摂理の輪を犯す不死者たちが潜むダンジョンへと乗り込む。この二つを交互に繰り返しながら話が進んでいくのだ。
 移動シーンもまた一般的なRPGとは異なっている。まずフィールドマップ上をヴァルキリーは浮遊して目的地に移動する。そして目的地のマップに入るとそこでは2Dセンタービューに切り替わる(フィールドマップでは浮遊するが、2Dマップでは重力の影響下に入る)。
 2Dセンタービューによる移動画面ではヴァルキリーはジャンプやダッシュをすることができ、さらに敵がいるダンジョンの場合剣を振ることもできる。この剣を振ることで仕掛けを発動させたり、斬れる物体を斬ることができるばかりでなく、マップ上をうろついている敵を斬りつけることで戦闘時に先制攻撃をかけることができたりする。
 またダンジョンでは晶石というものを放つこともできる。これは壁などにぶつかると結晶化する物質のことで、この結晶を直接足場にしたり、剣で斬ったり踏みつけたりして砕いてそれを重ねて足場を生成したり、ダンジョンにある特定の仕掛けを解いたりすることができるのだ。他にもダンジョンには様々な仕掛けが用意されており、移動画面はさながらアクションゲームのようである。
 そして戦闘シーン。これは非常に特徴的な戦闘システムを導入している。戦闘に入る時剣を敵に当てたか、自分が敵に体当たりしてしまったかによって、プレイヤー側か、敵側か、プレイヤー側からだけど少々不利な状態から、のいずれかで戦闘が開始される。
 戦闘では○×□△のそれぞれのボタンが各メンバーの配置に応じて割り振られ、攻撃はこのボタンを押すごとに実行される。各メンバーはそれぞれ最高3回まで基本攻撃が可能で、さらに攻撃を当て続けることで溜まるエネルギーが100を超えると必殺技を使うことができる。その後必殺技をキャンセルするか使い切ると敵のターンになり、これを繰り返して戦闘を進めていくわけだ。
 他にもコンボの観念や反撃など、色々な要素が組み込まれている。ターン性とリアルタイム性を上手く組み合わせたこの戦闘システムは斬新で面白いシステムと言えるだろう。
 またアイテムは購入する代わりに生成することができ、MP(マテリアライズポイント)と呼ばれるものを消費して様々なアイテムを生成することができる。このMPは一定時間ごとに神界から支給されるが、その量はどれだけ評価を得られたかによって決まる。
 評価というのは、鍛えた勇者を一定期間内に何人神界に送ったか、その勇者がどれだけ優秀化で決まる。他にもダンジョンの奥などで手に入るアーティファクトという種類のアイテムがあり、これを神界に謙譲しないでいると評価が下がっていく。このアーティファクトの中には非常に強力な武器防具や便利なアイテムも含まれているので、どれを神界に送るかという駆け引きも必要になってくる。
 こうしたもろもろの評価を総合した評価値というものが存在し、これが0になってしまうとバッドエンドになってしまう。そのためいかにして評価を下げすぎないようにするかが問題になってくるのだ。
 さらにスキルの要素もある。レベルが上がるごとに入手できるスキルポイントを割り振ることで様々な能力を得たり、能力値を上げたりすることができる。さらに特定のスキルを上げたキャラを神界側が望んでくる事もあり、その条件を満たしてやると評価が上がるということもある。
 さらにこの作品にはノーマルエンドとトゥルーエンドが用意されている。トゥルーエンドへは普通にプレイしていると行けないので、色々と工夫をする必要がある。
 こうしたシステム面に関してはかなり良く作りこまれており、非常に優秀な出来栄えである。が、これらの優秀なシステムそのものに根底からダメージを与える要素として、バグとフリーズの多さも残念ながら存在する。あまりに複雑なシステムを組んだために、この点の調整が上手くいっていないらしいのだ。これに関してはトライエースの前作STAR OCEAN THE SECOND STORYにも言えることであり、このせいでせっかくのシステム面の評価もあまり高くすることが出来ないことが残念である。

 ストーリーでは、いくつもの人生を目撃し介入することによって様々な思想や生き様を見ることができるという着目点が面白い。また北欧神話を上手く利用してくみ上げられた設定や、伏線の張り方などなかなか良くできている。全体的には非常に優秀な出来なのだが、神話関連はゲーム中の説明では不十分な箇所があり、北欧神話を分かっていないとやや理解し辛いだろう。

 グラフィックは全体的にいい。特にダンジョンなどで何か仕掛けを作動させた時に部分的に挿入される3Dアニメーションが、周囲の2Dマップと上手く溶け込んでいるところは見事だ。CGムービーシーンも非常に美しい。が、複数のグラフィックを別の速度で動かす場合、動きががくがくしてしまい見栄えが悪くなるのは残念だった。また後で登場する予定のグラフィックが影として現れてしまうのも問題だ。グラフィックに関しては単体での質は高いが動作関係に関しては作りこみがまだまだだったと言えるだろう。
 音楽も全体的にいい。テイルズシリーズとトライエース作品の曲は桜庭統氏が書いているのだが、全体的に高水準を保っている。そのためこの作品でも音楽はなかなかいい。場面に合わせた曲もそうだが、重要なシーンにおける曲は特に印象的だ。

 難易度はまあそこそこといったところか。全体的に難易度が高めとなっているハードモードも、それに対応する強力な武器や、後半の敵が大量の経験値を持っていたりと、フォローする要素があり、それほど難しくはない。また戦闘もスキルを上手く使えば楽に戦うことができるので、上手くスキルを設定していけば苦戦する場面も少なくなるだろう。

 システム面で問題を抱えているとはいえ、それを補うだけの面白さがある秀作である。