ジャンル シミュレーションRPG
機種

PS2
PSP
開発

アクアプラス
フライト・プラン
発売 アクアプラス
メディア

PS2:DVD-ROM
PSP:UMD
発売日

PS2:2006年10月26日
PSP:2009年5月28日

 


 レビュー

 シミュレーションRPGの傑作として根強い人気を誇っているうたわれるものをPS2に移植したのが今作『うたわれるもの 散りゆく者への子守唄』である。移植といっても、今作はサモンナイトシリーズなどを手がけているフライト・プランがシミュレーションパートの共同開発を行っており、シミュレーションパートに関しては大幅な変更が施されている。

 オリジナルのWindows版が発売されたのは、今作から換算すると4年も前になる。しかしながら、オリジナル版はその時点ですでに高い完成度を誇っていたため、今作はシステム面に大幅な手直しが施してあるとはいえ、最も根幹の部分は変更されておらず、またグラフィックはオリジナル版のものをほとんど採用している。
 なおPS2移植に先駆けてTVアニメが放映され、これは原作を上手く再現した良作となった。またネットラジオも放送されたが、こちらはある意味原作よりも面白いと大好評を博し、あまりのアクセス数に配信元のサーバーがダウンしたり、CD化されたりもした。これらの後押しもあって、今作はなかなかの人気作となった。

 さて今作、前述の通りオリジナル版と比べるとシステム面で大幅な変更が施されている。基本的なシステムは前作と変わらないが、ボーナスポイントが技レベルに割り振ることができなくなり、技レベルはキャラクターのレベルに応じて上昇するようになったことと、オリジナル版では高難易度選択時しか見ることができなかった敵味方合わせた行動順序を見ることができるようになったこと、高難易度モードがカットされているといった点が変更されている。
 今作ではこれに加え、いくつかの新システムが導入されている。まず今作では、ヒット&アウェイが可能となっており、攻撃時に移動しなかった場合、攻撃後にさらに移動することが可能になっている。これにより、逃げながら戦うといった戦法が可能になった。これは術法使用後にも可能なので、術法が使いやすくなったといえる。
 また、向きによるダメージ補正という要素が新たに追加されており、正面から攻撃を受けるとダメージがやや小さくなり、側面や背後から攻撃するとダメージがやや大きくなるようになっている。
 術法に関しては、オリジナル版では移動後には使用できなかったのだが、今作では下級の術法であれば移動後も使用可能になったので、上記のヒット&アウェイと合わせ、術法は格段に使いやすくなったといえるだろう。
 加えて、エルルゥは薬術という技が使用可能になっており、これで範囲回復や後述の状態異常の回復などを行うことができるようになった。
 今作には新たに能力というものが追加されている。これは各キャラクターがもっている固有能力であり、能力値を高めたり、反撃を行ったり、ダメージを軽減したりといった効果がある。能力は発動に条件が必要だったり、気力の量で効果の度合いが変わったりするものもあるので、能力の特性を理解したうえで戦略を立てていく必要がある。特に気力に関係する能力は、必殺技や後述の協撃との兼ね合いが重要となってくるだろう。
 また今作では道具の使用も可能となった。道具は出撃前に装備することになり、1人につき2つまで装備可能。消耗品は戦闘中に使用することができ、装備品はパラメーターが上昇したり特殊な効果が追加されたりする。道具による体力の回復なども可能なので、回復役がエルルゥのみだったオリジナル版に比べるとより自由度が増したといえる。
 なお装備して使用する道具とは別に、蒐集品というものもある。これはイベントや戦闘で手に入るコレクションアイテムであり、ゲームの進行には直接影響を及ぼさないが、コンプリートすると特典が得られる。
 今作には状態異常という要素も追加されている。これは毒や気絶、ステータスの一時的な変化など、ごく一般的なものとなっている。
 そして今作では、オリジナル版にもあった必殺技をさらに発展させた協撃という要素がある。これは特定のキャラクター同士がすぐ近くにいて、さらにお互いの気力がMAXになっていると発動させることができる強力な攻撃で、範囲攻撃であるだけでなく、状態異常を引き起こすものもある。協撃はストーリー進行に応じて習得していくことになる。
 なお今作では、ストーリー進行に応じて自由に戦闘が可能なフリーバトルのマップが出現するようになっている。これはアドベンチャーパートの移動先を選択する時に行くことが可能で、LV上げやアイテムの入手が可能となっている。
 今作はシミュレーションパートに新たなシステムを加え、ゲームとしてはより進化したものとなっている。ただその反面、いくつかの変なバグがあり、詰めが甘い印象も受ける。

 ストーリーは基本的にはオリジナル版と変化はないが、今作では新キャラクターであるカムチャタールとその関連のストーリーおよびマップが追加されている。

 グラフィックは前述の通りオリジナル版のものをほとんど採用し、そのうえで新CGが追加されている。ただ4年も前の作品であるので、さすがに新たに追加されたCGはオリジナル版のものに比べると違和感があるが、これはまあ許容範囲内だろう。
 音楽もオリジナルのものをほとんど継承している。

 能力や協撃といった新要素、回復がエルルゥ以外でも可能になったこと、出撃可能人数が多めに設定されていることなど、プレイヤー側に有利な要素も多いが、敵も能力を持っていたり、出現数がやや多めに設定されていたりするといったことがあるので、総合的な難易度はオリジナル版と比べると同じかやや高めくらいか。フリーバトルのマップできちんとLVを上げておけば結構楽になる。

 オリジナル版の優れたストーリーを継承しつつ、ゲーム部分をより一層強化した良作と言えるだろう。