邦題 TOMB RAIDERS
ジャンル アクションアドベンチャー
機種


MS-DOS(日本未発売)
PS
SS
開発 CORE DESIGN
発売



MS-DOS(米国):
EIDOS INTERACTIVE
PS:ビクターインタラクティブ
SS:ビクターインタラクティブ
メディア CD-ROM
発売日


MS-DOS(米国):1996年11月14日
PS:1997年2月14日
SS:1997年1月24日

 

 ストーリー


 ララ・クロフトは、現在多くの人々から注目されている新進気鋭の冒険家である。数々の冒険を成功させて輝かしい成果を挙げ、先日もまたカナダの山中で雪男を発見したことで一躍有名となったララであったが、そんな彼女にある依頼が飛び込んでくる。医療・バイオの分野において飛躍的な発展を遂げているナトラ・テクノロジー社のCEO、ジャクリーヌ・ナトラから、インカのまだ発掘されてない遺跡に眠っているとされるある秘宝を探してきてほしいと頼まれたのである。未発掘の遺跡に興味を覚えたララは、その依頼を引き受け、一路ペルーの山中へと赴くが、それはこれから始まる壮大な冒険の最初の一歩に過ぎなかった。

 

 レビュー


 『TOMB RAIDER』は、英国のCORE DESIGN社が製作、EIDOS INTERACTIVE(現在のSquare Enix Europe)から発売されたアクションアドベンチャーである。プレイヤーは女性冒険家ララ・クロフトを操作し、フルポリゴンで描かれた古代遺跡に眠る秘宝を手に入れるためさまざまな罠や敵を潜り抜け、仕掛けを解き明かし、秘宝の謎に迫っていく事になる。
 今作はMS-DOS/PS/SSで発売されており、PS版とSS版はビクターインタラクティブから日本語版が発売されているが、その日本語版のタイトルは「TOMB RAIDERS」となっている。これは映画「レイダース/失われたアーク」が有名なので、それを連想させるタイトルにすることで注目を集めようとしたためではないかと思われる。

 

 今作の最大の注目点は、後に「ゲームヒロインとして最も成功した人間の女性」としてギネス・ワールド・レコードにも認定されることとなるスーパーヒロイン、ララ・クロフトのデビュー作であることだろう。
 ララは抜群の運動神経と不屈の精神を持つ「強い女性」であり、また女性的な魅力も兼ね備えている。冒険ものの主人公は男性がやるものと相場が決まっていたゲーム業界に、ララは新風を吹き込むこととなり、非常に人気の高いキャラクターとなった。今作が大ヒットした一番の要因は、このララの人気にあると言っても過言ではないだろう。


 まず今作は三人称視点のアクションアドベンチャーであり、ジャンプ、ぶら下がり、ぶら下がっての移動、歩行、横歩き、ランニングジャンプといったアクションを使いこなすことで、数々の障害を乗り越えていくこととなる。水中を泳いで移動する場面も存在し、水中では酸素ゲージに気を付けながら行動する必要がある。
 ララの武器は銃器なのだが、照準が自動であるため、銃を構えればそのまま近くの敵を狙ってくれる。だがトラップの近くや足場の悪いところでの戦闘もあるため、周囲の状況を把握し、位置取りや回避の仕方などを考えて戦う必要がある。
 カメラワークは、基本的にはララをカメラが追跡する形となるが、場所や動作によって適時カメラの位置は移り変わる。仕掛けを作動させたとき、作動した仕掛けの場所にカメラ表示が移り変わるのは、プレイヤーにヒントを与えるという意味では実に効率がいい。そしてある地点に差し掛かるとカメラがズームアウトしていく演出。これは後半のスフィンクスなどでもわかる通り、遺跡の広さや構造物の巨大さを見事に表現してくれる。また当時にしてはポリゴンの質もなかなかいいので、遺跡探検をしていると言う感覚をプレイヤーに与え、よりゲームの世界を実感できるようになっている。
 なおステージ途中のセーブは、セーブクリスタルのある場所でのみできるようになっているので、それが難易度を高めるひとつの要因となっている。

 

 ストーリーは単純ながら良くできている。冒険の最初の地はペルーであるが、その後は世界各地を飛びまわることとなり、豊富なシチュエーションが用意されている。

 

 グラフィックに関しては、造形物はなかなかの質だし、敵キャラもライオンの顔以外はいい感じだ。
 そして特筆すべきはBGM。この作品は、BGMの使い方も非常に上手い。この作品にはステージごとのBGMがなく、代わりにある地点に到達したり仕掛けを作動させたりするとBGMが流れる仕組みになっている。これによって、その時々の状況の変化や場所の感じにより適したBGMを流すこととなり、プレイヤーをゲームの世界に引き込んでくれるが、このBGMはループしないため、基本的にはBGMはない事になる。しかしそれが逆に、暗い洞窟や古代遺跡の雰囲気を演出し、いざ変化が起こったときのインパクトを強める働きを持っている。

 

 難易度はやや高めだが、それだけ難所を乗り越えた時の手応えを感じることができるとも言えるだろう。