Thor
 トール

 北欧神話に登場する神。雷と農耕を司る神で、主神オーディンに次ぐ地位にある。最強の戦神とされており、凄まじい威力を誇るミョルニルという鎚を武器としていた。
 主神オーディンと、女神ヨルズの間に生まれた神。妻は女神シヴであり、浮気者の多い北欧神話の神にしては珍しく、浮気のエピソードが少ない。ただし息子であるマグニは、女巨人ヤールンサクサとの間に生まれたとされている。他に息子にモージ、娘にスルーズがおり、ウルはシヴの連れ子である。
 燃えるように赤い目と赤い髪、そして赤い髭を蓄えた大男として描かれている。豪胆な性格であり、数々の武勇伝が語られているが、反面短気で騙されやすく、知略にはあまり向いていないようである。またとんでもない大食漢であり、空腹になると自分の戦車を曳くヤギさえ食べてしまうが、このヤギはミョルニルの力で蘇ることができるという。
 数多くの巨人を倒してきた英雄であり、最強の巨人とされていたフルングニルをも決闘で打ち倒したが、その決闘の際、フルングニルが投げてきた砥石に向かってミョルニルを投げつけ、ミョルニルは砥石を真っ二つにしてフルングニルの頭に命中し、フルングニルを倒すが、トールもまた破壊された砥石の破片が頭に突き刺さってしまう。以降その砥石が完全に取り除かれることがなかったことが、トールが短気な性格である理由であるともされている。
 神々の中ではなぜかロキと馬が合い、行動を共にすることがよく合ったという。
 ラグナロクにおいては、ヨルムンガンドと戦い、ヨルムンガンドをミョルニルで倒すことには成功するが、自身もヨルムンガンドが吐いた毒によって絶命し、相打ちとなる。
 なお木曜日を意味する英語「Thursday」は、「トールの日」が由来である。