Vidar
 ヴィーザル

 北欧神話に登場する神。名前の意味は「森」あるいは「広い場所」であり、ロキの口論の際に詰め寄られなかったことから「無口のアース」とも言われる。アース神族の主神オーディンと、巨人族のグリーズの間に生まれた神で、トールと同等の力を持つとされている。またグリーズから与えられた鉄のように硬い「強い靴」を履いている。
 ラグナロクが始まるまでは、ヴァージという森で隠遁生活を送っている。そしてラグナロクにおいては、オーディンを倒したフェンリルを倒す活躍を見せる。その際、「強い靴」を履いた足で下顎を踏みつけ、上顎を引き裂いたとも言われている。異母弟であるヴァーリと共にラグナロクを生き延び、新たな世界を見守る神の一人となるとされている。

 

 Ullr
 ウル

 北欧神話に登場する神。名前の意味は「栄光」であり、ノルウェーやスウェーデンには、この名が入っている地名も多い。アース神族の女神シヴの息子であるが、父親は不明。弓術を司る神で、イチイの谷という意味を持つユーダリルという土地に館を構えているが、イチイの樹は弓の材料として適している。また決闘やスキーも司る。

 

 Eir
 エイル

 北欧神話に登場する神。名前の意味は「慈悲」または「援助」である。医療を司る神であり、あらゆる医術に精通していることから「最良の医者」とされている。薬草学に特に詳しく、肉体的な治療のみならず、霊的な治療も施すことができたという。またワルキューレの1人ともされており、死者の蘇生も行うことができたとされている。

 

 Odin
 オーディン

 北欧神話に登場する、アース神族の主神。名前の意味は「激昂する者」とされている。アングロサクソン人に使われていた古英語ではウォーデン、ドイツ語ではヴォータンとも呼ばれる。戦争と死を司る神であり、詩文を司る神でもあるため、詩人たちはオーディンから天啓をもたらされると考えていた。魔術に長けており、また知識に対して非常に貪欲でもある。
 北欧神話の最初の神であるブーリの息子ボルと、女巨人ベストラの間に生まれた。ヴィリとヴェーという兄弟がおり、彼らと共に原始の巨人ユミルを倒し、その身体を使って世界を創造し、さらにトネリコとニレの木から最初の人間を創造したとされている。
 豊穣の女神フリッグを妻としており、彼女との間に息子バルドルをも受けているが、他の女神や女巨人とも子供を作っており、トールやヴィーザルはオーディンの子供である。
 アースガルズに在るヴァーラスキャールブという宮殿に住み、フリズスキャールブという世界を見渡すことができる玉座に座っている。スレイプニールという8本足の馬を愛馬としている。またフギンとムニンという2羽のワタリガラスを従え、この2羽を世界中に放ち、様々な情報を得ていた。傍らにはゲリとフレキという2匹の狼が居り、オーディンのために用意された食事は全てこの狼に与えて、自分はワインだけを飲んで生きているともされている。
 かつて失った片目を隠すためにつばの広い帽子を被り、黒いローブを着て、長い髭をたくわえた老人の姿で描かれる。また神槍「グングニル」を手にしており、この槍は投げたものを確実に貫くとされている。戦場においては、黄金の兜と黄金の鎧、そして青いマントを身に着けた姿で現れるとされている。
 知識に対する貪欲さは凄まじいものがあり、ユグドラシルの根元にある、知識の源泉ともされるミーミルの泉の水を飲むために、自らの片目を差し出している。またルーン文字の秘密を得るために、ユグドラシルの木で首を吊り、グングニルで自らを貫いて、9日9夜自身を最高神たるオーディン、すわなち自分自身に捧げ続けたとされている。
 戦争を司る神であるため、戦いの勝敗を決めることができるという。また戦場で死んだ勇者の魂をヴァルハラの宮殿へと連れ帰り、歓待するという。エインフェリアと呼ばれるこの勇者たちは、来るべき最終戦争であるラグナロクに備えた戦力であり、昼は演習としてお互いに殺しあうが、日没とともに彼らは蘇り、夜には大宴会を開き、翌日にはまた演習が行われるという。
 詩文を司る神でもあり、霜の巨人であるスットゥングが隠し持っていた、飲むと詩人や学者になることができるという「詩の蜜酒」を策略を用いて奪い、それは詩の才能のある人間に、オーディンによって与えられることとなったという。
 ラグナロクにおいては、フェンリルに飲み込まれるという最期を迎える。

 なお水曜日を意味する英語「Wednesday」は、「オーディンの日」が由来である

 

 Tyr
 テュール

 北欧神話に登場する神。勇敢な軍神とされており、戦士たちは彼のルーン文字を剣に刻むことで勝利を祈ったとされている。元々は天空神であったとされているが、オーディンなどの神々が台頭する際にその地位を追われたという。隻腕の戦士として描かれているが、これはフェンリルをグレイプニルで捕縛する時に、フェンリルがグレイプニルが危険なものではないことの証明として、片腕を自分の口の中に入れるように要求した際に、テュールがその役割を担い、捕縛後に怒ったフェンリルによって片腕を食いちぎられたためである。
 ラグナロクにおいては、ヘルの館の番犬であるガルムと相打ちになる。

 なお火曜日を意味する英語「Tuesday」は、「テュールの日」が由来である。

 

 Thor
 トール

 北欧神話に登場する神。雷と農耕を司る神で、主神オーディンに次ぐ地位にある。最強の戦神とされており、凄まじい威力を誇るミョルニルという鎚を武器としていた。
 主神オーディンと、女神ヨルズの間に生まれた神。妻は女神シヴであり、浮気者の多い北欧神話の神にしては珍しく、浮気のエピソードが少ない。ただし息子であるマグニは、女巨人ヤールンサクサとの間に生まれたとされている。他に息子にモージ、娘にスルーズがおり、ウルはシヴの連れ子である。
 燃えるように赤い目と赤い髪、そして赤い髭を蓄えた大男として描かれている。豪胆な性格であり、数々の武勇伝が語られているが、反面短気で騙されやすく、知略にはあまり向いていないようである。またとんでもない大食漢であり、空腹になると自分の戦車を曳くヤギさえ食べてしまうが、このヤギはミョルニルの力で蘇ることができるという。
 数多くの巨人を倒してきた英雄であり、最強の巨人とされていたフルングニルをも決闘で打ち倒したが、その決闘の際、フルングニルが投げてきた砥石に向かってミョルニルを投げつけ、ミョルニルは砥石を真っ二つにしてフルングニルの頭に命中し、フルングニルを倒すが、トールもまた破壊された砥石の破片が頭に突き刺さってしまう。以降その砥石が完全に取り除かれることがなかったことが、トールが短気な性格である理由であるともされている。
 神々の中ではなぜかロキと馬が合い、行動を共にすることがよく合ったという。
 ラグナロクにおいては、ヨルムンガンドと戦い、ヨルムンガンドをミョルニルで倒すことには成功するが、自身もヨルムンガンドが吐いた毒によって絶命し、相打ちとなる。

 なお木曜日を意味する英語「Thursday」は、「トールの日」が由来である。

 

 Frey
 フレイ

 北欧神話に登場する神。名前の意味は「主」であるが、これは形容語句であり、古い名前であるユングヴィが本名であるとされている。豊穣の神であり、眉目秀麗な男神として描かれている。父は海神ニョルズで、母はその妹とされている。妻は女巨人のゲルズで、息子はフィヨルニル、またフレイアは妹である。妖精の支配者ともされており、妖精の国アルフヘイムを神々から与えられたという。
 アースガルズに住んでいるが、ヴァン神族であり、アース神族とヴァン神族との戦争が終結したのち、人質として移り住んだとされている。
 一目惚れした女巨人ゲルズを妻として迎えるために、交渉役として召使いのスキールニルを巨人の国に遣わすが、この時の交渉で、多くの財宝と共に、フレイが持っていた、巨人族との戦いに絶大な力を発揮する「勝利の剣」を巨人族に渡してしまう。それ以降フレイは牡鹿の角を武器とするようになったが、それが原因でラグナロクの際にスルトと対決した時に、スルトに太刀打ちできず倒されるとされている。

 

 Freyja
 フレイヤ

 北欧神話に登場する女神。愛と美、豊穣などを司る女神であり、容姿端麗で非常に魅力的な女性として描かれている。フレイの双子の妹でもある。またフレイ同様に、ヴァン神族である。
 オーズという夫がいるが、性的に奔放であり、数多くの愛人がおり、しばしば交わっていたとされている。また兄であるフレイとも関係を持っていたともされている。ただ、夫のオーズが旅に出たまま行方不明になった時には、各地を探して回るなどの健気な面もあった。
 豊穣を司る女神ということから、アースガルズでは特に重要視された女神だったため、その容姿の美しさもあって、巨人族にはよく狙われていた。
 また戦乙女たちの統率者という側面もあるため、戦死者の魂を主神オーディンと分け合ったとされている。これは、フレイヤの住む館であるフォールクヴァングにある、セスルームニルという大広間で行われたという。

 なお金曜日を意味する英語「Friday」は、「フレイヤの日」が由来であるとされているが、オーディンの妻である「フリッグの日」が由来であるとの説もある。

 

 Hod
 ヘズ

 北欧神話に登場する神。名前の意味は「戦」である。オーディンの息子で、バルドルは異母兄にあたる。
 盲目の神であり、バルドルがあらゆる物から傷つけられなくなったことを試すために、多くの神々が様々な物をバルドルに投げつけていた時にも、バルドルに狙いがつけられないことから参加しなかった。しかしロキによって、唯一その誓いの範疇になかったヤドリギで作った槍を投げつけるようにそそのかされ、それを投げたことでバルドルを誤って殺害してしまう。なおその槍はミストルティンと呼ばれている。
 バルドルを殺害したということで、異母弟のヴァーリによって復讐されて殺害されるが、ラグナロクの後に蘇り、バルドルと和解して、新しい世界を担う神の一人になるとされている。

 

 Hermod
 ヘルモーズ

 北欧神話に登場する神。名前の意味は「勇気」もしくは「戦い」であり、「俊敏のヘルモーズ」とも呼ばれている。オーディンの息子の一人である。
 バルドルが命を落とした際、バルドルを蘇らせる交渉のために、冥界の女王ヘルの許に赴いたのが彼であり、その際神馬スレイプニルを駆っていったとされている。