Atlas
アトラース
ギリシア神話に登場する、ティーターン神族の1柱。名前の意味は古い印欧語で「支える者」「耐える者」「歯向かう者」である。ティーターン神族のイーアペトスと、オーケアノスの娘であるクリュメネーの間に生まれ、同じくオーケアノスの娘であるプレーイオネーとの間に、プレイアデスという7人の姉妹をもうけている。
ゼウス率いるオリュンポスの神々と、クロノス率いるティータ―ン神族が激しく争ったティーターノマキアは、オリュンポスの神々の勝利に終わった。不死である神々を殺すことができなかったゼウスらは、ティータ―ンたちの多くを冥界ハーデースよりもさらに下にある奈落タルタロスへと幽閉するが、強大過ぎる力を持つアトラスは幽閉されず、代わりに世界の果てで永遠に天を支える役割を負わされることとなった。
その後、黄金の林檎の行方を尋ねるためにアトラースのもとを訪れたヘーラクレースに、自分が林檎を取ってくる間だけ一時的に天を支える役割を代わってもらうが、再び天を支えることを嫌ったアトラースは、林檎を取ってきた時にヘーラクレースにそのまま天を支えさせようとする。だがこれはヘーラクレースに見抜かれて、逆に天の楽な支え方を教えてほしいというヘーラクレースの頼みで、見本として再度天を支えたアトラースをそのままにしてヘーラクレースは立ち去ってしまったため、再びアトラースは天を支え続けることになったとされている。
また別の神話では、メドゥーサを退治したペルセウスがアトラースのもとを訪れた際、天を支え続ける重荷から解放してほしいというアトラースの頼みで、ペルセウスがメデューサの首の力でアトラースを石と化すことでその望みを叶えたというものがある。アトラス山脈は、その石になったアトラースの名残であるとも言われている。
なお大西洋を意味する「Atlantic Ocean(アトランティック・オーシャン)」の由来はこのアトラースである。また地図帳のことをatlasと呼ぶのは、16世紀にメルカトルによって作られた全世界地図帳の表紙にアトラースが描かれていたことに由来している。
Neptunus
ネプトゥーヌス
ローマ神話に登場する、海を司る神。ネプトゥーヌスとはラテン語の読み方で、英語読みである「ネプチューン」の方がよく知られている。主神ユーピテルと、冥界を司る神プルートーとは兄弟とされている。また妻は海水を司る神であるサラーキアである。
元々は水の神として祭られていたものが、ギリシャ神話のポセイドーンと同一視され、のちに馬の神としても祭られるようになった。ポセイドーンの神話をほぼそのまま受け継いでいる。
なお「海王星」の名前の由来はこのネプトゥーヌスである。