邦題 |
TOMB RAIDER 4 THE LAST REVELATION |
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ジャンル | アクションアドベンチャー |
機種 |
Windows PS DC |
開発 | CORE DESIGN |
発売 |
Windows:EIDOS INTARACTIV PS/DC:カプコン |
メディア |
Windows/PS:CD-ROM DC:GD-ROM |
発売日 | Windows:1999年12月24日 PS/DC:2000年7月19日 |
ストーリー
ララ・クロフトが冒険家として大成するより以前の話。16歳だったララはある時、ララの通っていたロンドンの学校を訪れていた考古学者のヴァーナー・フォン・クロイ教授の講演に感銘を受け、父であるサー・ヘンシングリー・クロフトに頼み込み、フォン・クロイ教授の遺跡調査に同行させてもらえるようにしてもらう。そしてララは、フォン・クロイ教授と共にカンボジアに眠る遺跡の調査に向かうが、その結末は、後々に禍根を残すものとなってしまった。
そして現代。ララはエジプトに赴き、未発掘の遺跡の探索を行う。そして遺跡の最深部でララは、ひとつのアミュレットを発見する。だがそのアミュレットは、太古にエジプトに存在していた邪神セトを封印するためのものだった。封印から蘇ったセトを再び封じ込めるには、セトと対立する太陽神ホルスを召喚する必要があると知り、そのために必要なホルスの鎧を集めるため、ララはエジプト各地を飛び回ることとなる。
レビュー
今作『TOMB RAIDER THE LAST REVELATION』は、追加レベルを除くと通算4作目になるわけだが、タイトルには4を意味する字は入っていない(ただしPSとDCの日本語版には一応入っている)。これは今作が前作までとは一線を画した作品であることを意図しての事だろう。なおTHE LAST REVELATIONの意味は、最後の黙示録である。
今作は、これまでのシリーズとは全く異なる作品である。まず、冒険の舞台は全編エジプトに限定される。かの地でララが伝説の秘宝であるホルスのアミュレットを手に入れるのだが、それが原因で古代の邪神セトが地上に復活してしまう。ララはセトを封印するためにエジプトの各地を冒険するわけだ。しかし今作でララのライバルになるのはセトではない。ララの冒険の師であり考古学者であるヴァーナー・フォン・クロイ教授が、ララのアミュレットを奪うために現れるのだ。このフォン・クロイ教授というのは、マニュアルのプロローグや今作の冒頭で紹介される通り、ララに冒険家としての心構えを教えた人物なのだ。そのフォン・クロイ教授がなぜララの敵として立ち塞がるのか、その謎は今作で断片的に明かされるものの、完全には明かされない。そう、今作からはストーリーが個別のものではなく、継承されるようになったのだ。そして謎の答えは次の作品で明かされることになるのだ。
さて全体的なストーリーだが、これがなかなかいい。これまでのトゥームレイダーシリーズ、特に2と3では、ストーリーのコンセプトは面白く、展開もよかったのだが、人間関係の描きかたが今一つという印象があった。が、今回はララとフォン・クロイ教授の対決やララの仲間であるジャン・イヴとの会話など、人間同士の会話や駆け引きが実によく作られている。またストーリー自体も上手く作られているが、後半の展開が少々強引なのが玉に傷だ。
ゲームシステムそのものも、かなり大幅な変更がなされている。まず特筆すべきは、今作ではステージ間を場合によっては行ったり戻ったりしなければならなくなった事が挙げられる。これにより、単にステージをクリアーしていけばいいだけではなくなり、前のステージとの関係を考えながら攻略する必要が出てきたのだ。
次にアクションだが、基本アクションは3から変わってはいない。アクション面で新しくなったのは応用アクションだ。まずつかまり移動で角を曲がる動作が可能になった。壁のレバーをジャンプで引くことが可能になった。ロープアクションが追加されたなどが挙げられる。またリボルバーやクロスボウにレーザーサイトを付けて狙撃することも可能になるなど、とにかく色々な行動が可能になったのだ。
またカメラワークにも新しい要素が加わった。それは、従来の場面が単純に切り替わる演出以外に、カメラがまるで空中を飛行しているかのような演出が加わったのだ。これはその場面の音楽ともあいまって、幻想的な雰囲気を作り出している。また、幸か不幸か今作からは見まわしをやっても画面が変わらない場所がある。これは遠方から見ると特徴のある場面を常に映す事ができる反面、操作し辛いという欠点がある。
メニュー画面にも変更が施されたが、このメニュー画面は少々見辛くなった気がする。また今作から全く新しい要素としてアイテムの結合と言うのが可能になった。これはその名の通り、二つのアイテムを組み合わせる要素だ。これにより、何と何を組み合わせれば先に進めるのかということを考える必要が出てきた。また前述したレーザーサイトもこの方法で取り付けたり外したりすることができる。
今作では敵のAIが大きく変更されたので、従来の戦法が効かない敵も登場するようになった。そして武器自体は、前作までの破壊力重視から一転して、地味なものが増えた。だがこれは悪い意味ではなく、トゥームレイダーの原点であるトラップをかいくぐったり謎を解いたりする要素を重視し、雰囲気を壊さないよう配慮した結果といえる。それに地味とはいえ、実際は強力な武器もいくつかあるし、弾薬交換という新しい要素も加わったので、敵によって武器や弾薬を変えていく駆け引きも必要になった。さらにある特定の武器で仕掛けを解く場面も登場し、武器が単純に敵を倒すための道具ではなくなったのも評価に値する要素だろう。
今作でも乗り物が登場するが、今作の乗り物はより現実的になった。例えば序盤に登場するジープは、乗ると画面に速度メーターが表示され、バックするときはララがちゃんと後ろを向いてバックするなど細かい演出が加えられたのだ。
そしてグラフィック。これも前作からは格段に進歩した。精密な描写がなされるようになったが、水飛沫でできた霧が放射状に広がっているところなど、エフェクト面でもかなり強化された。また細かいところだが、ピストルを発射すると薬莢が飛び、それが地面を転がり、水に落ちると波紋が広がるといった演出も加えられ、リアリティもかなり高まったと言える。
音楽に関しては、もう文句のつけようがない。場面ごとに使われる音楽のタイミングや音楽自体のクオリティは素晴らしいものだし、前述のカメラワークとの組み合わせもいい。そして他に評価できる要素として、やはりトゥームレイダーだけあって、いかにもエジプトといった曲をほとんど省いている事も挙げられる。遺跡の静寂さや不気味さ、神秘性を壊さないよう配慮している事が伺える。
最後にムービーシーンだが、これもまた賞賛に値する。登場人物の表情や建造物の精密さ、アクションシーンの動きなど、どれをとっても前作を遥かに上回るつくりになっている。また、ゲーム中のポリゴンをそのまま使ったムービーシーンでも、キャラクターの口が動くなど、より現実的につくられている。またムービーシーンが挿入されるタイミングも、ステージ終了時に限定されず、ステージ中であったりするようになり、ゲームとムービーシーンがより一体化した感じを受ける。
このシリーズもこうして劇的な変化を遂げたわけだが、続編にいたる展開もなかなか劇的だ。先の読めない展開は、次回作への意欲を掻き立ててくれるだろう。