| ジャンル | サウンドノベル |
|---|---|
| 機種 | PS2 |
| 開発 | チュンソフト |
| 発売 | チュンソフト |
| メディア | DVD-ROM |
| 発売日 | 2002年7月18日 |
ストーリー
大学生の透のところに、「我孫子武丸」という人物から、三日月島という無人島にある別荘への招待状が届く。招待状によると、透が1年前にガールフレンドの真理と一緒に泊まったペンション「シュプール」を舞台とした、「かまいたちの夜」というゲームを「我孫子武丸」が発売し、それが爆発的なヒットとなり、その時得た多額の金で三日月島を丸ごと買い取ったのだという。そのゲームの登場人物のモデルとなったのが、透を含めたその時の宿泊客だったことから、彼らへの謝礼として屋敷へと招待することとしたというのである。
透と、同じく招待状を受け取った真理、真理に着いて来た「シュプール」のオーナーである小林の3人は、かつては監獄島と呼ばれていた三日月島へと赴き、以前は私設監獄として使われていたとされている三日月館に向かう。菱田キヨという老婆によって管理されているその屋敷で、1年前の宿泊客やスタッフの面々などと再会する透だったが、やがて彼らは、1年前の夜に隠されたある事件にまつわる因縁に遭遇することとなる。
レビュー
サウンドノベルの先駆け的存在である「かまいたちの夜」から、8年の歳月を経て登場した続編が今作『かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄』である。前作同様の高クオリティの作品で、特にグラフィック面で圧倒的な進化を遂げたが、やはり前作に比べるとシナリオ面でややインパクトに欠ける印象があるか。
この作品は、各界の有名クリエイター9人を結集して製作された。シナリオは前作でもシナリオを手がけた作家の「我孫子武丸」氏が監修を努め、今回新たに作家の「田中啓文」氏と「牧野修」氏が起用されている。美術では美術監督の「種田洋平」氏が、オープニングムービーにミュージッククリップ・CF監督の「武藤眞志」氏、CGではCG作家の「庄野晴彦」氏をそれぞれ起用している。そして音楽では雅楽演奏家の「東儀秀樹」氏、作・編曲家・ピアノ演奏家の「羽毛田丈史」氏、作・編曲家・ギターリストの「パッパラー河合」氏を起用している。各界の一流クリエイターが結集したことで、様々な点で非常に質の高い作品に仕上がったのだ。
この作品の基本システムは「かまいたちの夜 特別篇」とほとんど変わらない。だがフローチャートに工夫が加えられており、最初から選択肢の来るエリアが固定されているのではなく、話を進めるごとにエリアが増えていく形を取っている。これによって、まだ空いているエリアから選択肢を推測するのが難しくなったが、特定の条件を満たすと変化する分岐が緑色で表示されるようになったので、その点に関しては分かりやすくなったと言えよう。またこれに関連して、条件で分岐する場所は、その条件を満たすシーンさえ見ればフローチャートで途中のシーンを飛ばしても条件が満たされることになるのも便利な機能だ。
さらにエンディングリストが追加され、これによりまだ見ていないエンディングがどこにあるかを推測しやすくなった。
またオートセーブ機能が復活した。このオートセーブ機能はPS版ではカットされ、PS版を基にしたGBA版にも無かったが、今回のPS2版では高速でアクセスできるようになったので復活したわけだ。これは設定画面で手動セーブに切り替えることもできる。
ちなみにPS版弟切草に搭載されていた、2コンでも振動が発生する機能も追加されている。
さて肝心のストーリーだが、今作は前作同様に基本となる設定を持つシナリオと、その設定を変化させて作られた複数のシナリオで構成されている。前作と共通のキャラクターが大半を占めているが、実はこの作品のストーリーは「正統な続きもの」ではない。前作の舞台であるペンション「シュプール」に一年前彼らが泊まったのは事実だが、そこではなんの事件も起こらなかった。ただその時泊まったメンバーをキャラクターにして「我孫子武丸」なる人物が作った「かまいたちの夜」というゲームソフトがヒットし、その時稼いだ金で三日月島という無人島を丸ごと買い取り、そこにその時「シュプール」に泊まった宿泊客を招待したことから事件が起こるという流れになっている。
キャラクターたちも、前作から登場している人物は基本的には前作と性格や設定は変わらない。だが中にはかなりの違いがあるキャラクターもいる。さらに新たなキャラクターも加わっており、作者の「我孫子武丸」を語る人物が登場してしまうなど、かなり奇抜なアイデアも導入されている。
さらに今作には番外編として、透と真理がデートをしてその愛称をテストするラブテスター篇というものが存在する。これは透と真理で選択肢が分かれており、1コンと2コンでそれぞれ選択するという方式を取っている。
グラフィックに関してはこれまでの常識を覆すほど美しい。実写を基本にした画像にCGを上手く取り込むことによって、実写とCGの組み合わせによる違和感がほとんど感じられなくなっている。事件の主な舞台となる三日月館のシーンでは、文明開化の波に乗った和と洋が混在する時代の独特な雰囲気が作り上げられており、こちらも驚嘆する。さらに「かまいたちの夜」特有のシルエットは、今作において立体的なものとなり、動きも非常に滑らかで自然なものになった。それでいてプレイヤーの想像力を殺さないようになっており、従来のスタンスを崩さない正等かつ飛躍的な進化を遂げたと言えるだろう。そしてオープニングムービー。こちらも和と洋が混在した感じで、不気味さと神秘さが微妙に絡み合う見事なものになっている。
さらに音楽では、オープニングにおいて東儀秀樹氏が奏でる篳篥の演奏が用いられており、オープニングムービーと組み合わさり独特の和の雰囲気を生み出している。他の曲もどれも質が非常に高い。前作から使われている曲も数多く登場するが、これらはPS版からさらにというよりも、SFC版のものをアレンジした印象が強い。
難易度は、謎が解けないとトゥルーエンドに行き着けなかった前作と違い、普通にやっていればとりあえずメインとなるわらべ唄篇のトゥルーエンドには行き着けるので楽になっている。だがエンディングの数がバッドも含めて105種類もあるので、全部のエンドを探し出すのは少々時間がかかるかも知れない。まあ前作でコツをつかんでいるなら結構楽に集められるが。
総合的な質は高く、前作同様の変幻自在なシナリオも健在。結構色々なシチュエーションを盛り込んでおり、前作よりもシナリオごとの設定にかなりの差が出ている。またホラーよりもギャグの要素が強くなったので、色々な場面で笑いを誘う。もちろん怖い場面は結構怖い。前作をやっていればより楽しめる作品だろう。