ジャンル サウンドノベル
機種 SFC
開発 チュンソフト
発売 チュンソフト
メディア ROMカートリッジ
発売日 1994年11月25日

 


 ストーリー

 大学生の透は、同じ大学に通っているガールフレンドの真理にスキー旅行に誘われ、信州にある真理の叔父の小林夫妻が経営するペンション・シュプールに滞在することとなる。
 小林夫妻に暖かくもてなされ、楽しいひと時を過ごす透たちだったが、ある出来事をきっかけに状況は一変する。夕食の後、泊り客であるOL3人組の部屋に、「こんや、12じ、だれかがしぬ」という手紙が入れられていたのである。その時はただのいたずらだと思われていたが、その後しばらくして2階からガラスが割れる音がして、ペンションのスタッフや泊り客らが談話室に集まってくる。だがその中には、夕食の時にはいたはずのサングラスをかけてコートを着ていた田中という客だけがいなかった。2階の部屋を調べても、鍵がかかっていたその田中の部屋以外の窓ガラスは割れておらず、割れたのは田中の部屋の窓ガラスではないかと思った一同は、鍵を開けて田中の部屋に足を踏み入れる。だがそこにあったのは、吹雪が吹き込むガラスが割れた窓と、バラバラにされて惨殺された田中の死体であった。
 そしてその時から、恐怖の一夜が幕を開けたのである。

 


 レビュー

 今作『かまいたちの夜』は、いわゆるサウンドノベルの一大ブームの起爆剤となった弟切草と並ぶ伝説の作品である。今作はシナリオを作家の我孫子武丸氏に依頼し、システム的にも弟切草の悪い点を見直して完璧な形にし、グラフィックとサウンドの飛躍的な向上も相まって、サウンドノベル史上最も有名な作品になったのだ。
 また今作は推理小説風の作品になっており、犯人を推理するという楽しみも生まれた。後のサウンドノベルに推理ものが多いのも、このかまいたちの夜の影響が強いためである。そのことも含め、色々な意味で革命的なソフトであった。

 かまいたちの夜は、私が一番最初に本気でハマったソフトである。実は私は弟切草よりも先にこのかまいたちの夜をやったのだが、犯人が解けるまでひたすらやりまくった記憶がある。さらにそれが終わると全てのシナリオを自力で暴き、ピンクのしおりが現れるまで他のゲームにほとんど手をつけなかった。さらに当時発売されていた関連商品を少ない予算を投入して買いまくり、シアターアプルで上演されたかまいたちの夜を題材にした舞台を見に行き、我孫子武丸氏の小説を読みまくった。と、それぐらいハマっていたのだ。
 なぜここまでハマることができたのか。それは、プレイヤーをひたすら引き込む見事な構成にある。謎が謎を呼ぶストーリーに、連続殺人。判断を間違えればバッドエンドが待っているという極限状況の中で、いかにして生き残り犯人を暴くか。バッドエンドになるたびに次こそはと脳をフル回転させて挑む。多くの推理小説やドラマでは、見ている側が分からなくても最後に犯人は分かる。だがかまいたちの夜はゲームだから、そうはいかない。だから犯人を暴くために何度も挑戦し、トゥルーエンドになった時は感慨深いものがあった。
 また他のシナリオも、軸となるストーリーと設定を上手く活かして面白いストーリーに仕上がっており、21種類のエンドを見ることで獲得できるピンクのしおりを目指す甲斐がある。要するに、普通のゲームにはない感覚が私を引き込んだわけだ。

 この作品のシステムは弟切草と基本は変わらない。だが文章の高速巻き戻しや章単位での再スタートが可能になり、怪しい章から再スタートして挑戦することや過去の文章を見直したりすることができ、推理ものに変化したことに対するこれらの機能は非常に便利である。また高速巻き戻しは推理もののみならず便利な機能なので、後のノベル系ゲームのほとんどに実装されることとなった。
 また弟切草の頃にあったフラグの問題点も完全に解消され、全く問題のない作りになっている。

 今作は、スキーに訪れた大学生の透とガールフレンドの真理が、真理の叔父が経営するペンション・シュプールに泊まりに来て、そこで連続殺人事件に遭遇するというものだ。当然真犯人はペンションの泊り客の中にいるので、それが誰かを当てなければならないのだ。
 他にもこの殺人事件のシナリオをクリアーすることで発生するいくつかのシナリオが存在し、表向きの設定や登場人物は同じでありながら、実際には全く異なる設定に基づいたストーリーが展開されることとなる。そしてストーリーの質は全体的になかなか高い。

 そして特筆すべきは背景のグラフィック。これは実写取り込みの画像で、非常に質の高い物に仕上がっている。
 さらに面白い点として、シルエットの存在がある。弟切草では登場人物が少ない事があり、人物画は使われなかった。今作では数多くの人物が登場するので、そのままでは誰も描かれない背景で会話が進むという少し間抜けな構図になってしまう。かといってキャラクターをちゃんと書いてしまうとプレイヤーが自由に想像する余地がなくなってしまう。そこで考え出されたのがシルエットだ。これはキャラクターを影で表現することで人が多くいる感じを出しつつプレイヤーに想像の幅を与えるという画期的なシステムだ。またこのシルエットを使ったアニメーションや背景の動きなど、面白い演出効果も多い。
 音楽も弟切草の頃に比べて種類も豊富で、その質も高い。
 またサウンド面がかなり強化されており、猫の声や女性の悲鳴など、よくSFCで入れられたなというものがいくつもある。品質そのものもかなり高い。

 難易度は、推理で一度落とし穴にハマってしまうと抜け出せなくなる設定が使われており、上手く考えないと分からないようになっている。とはいえストーリー展開によってはいきなり犯人が推測できる場合もあり、トリックが分からなくても犯人を暴ける場合があるが、いずれにしても全てのエンドを見るのはなかなか難しいだろう。

 弟切草によって開拓されたサウンドノベルというジャンルは、弟切草の良い点を踏襲しつつグレードアップし、推理という新要素を加えたこのかまいたちの夜によって一気に大ブレイクしたわけだ。