ジャンル 異世界召喚シミュレーション
機種 Windows(18禁)
開発 Xuse【本醸造】
発売 Xuse
メディア CD-ROM
発売日 2003年11月28日

 


 ストーリー

 時は現代。主人公の高嶺悠人は、幼少の頃、実の両親を亡くしたために父親の親友だった高嶺家へと養子に入り、そこで高嶺夫妻の娘である高嶺佳織と義理の兄妹となった。だが高嶺夫妻もまた飛行機事故で亡くなり、悠人は唯一残された家族である佳織のためにバイトで生活費を稼ぎながら、二人でマンションで暮らす日々を過ごしていた。苦しくはあったが、佳織や、悠人の親友である碧光陰と岬今日子らのおかげで、悠人は楽しい毎日を送っていた。
 だが、悠人が神社で出会った謎の巫女、倉橋時深の登場によって、悠人の世界は一変する。悠人は時深に導かれるようにして、佳織、光陰、今日子らとともに、別の世界へと召喚されてしまう。その世界、後にファンタズマゴリアと悠人たちが呼ぶこととなるその世界は、超人的な力を持つスピリットと呼ばれる存在が、人間の奴隷として、人間の代わりに戦争に駆り出されていた。そして異世界から来た人間はエトランジェと呼ばれ、スピリット同様に人間のために戦うという宿命を背負わされていた。
 ラキオスという小国に流れ着いた悠人は、佳織をラキオス国王に人質に取られ、召喚された時に手にしていたスピリットやエトランジェの武器である永遠神剣の一つ「求め」を使い、戦うことを強いられることとなる。佳織を救うために小国同士の小競り合いに巻き込まれる悠人だったが、それはやがて、ファンタズマゴリア全土を揺るがす大規模な戦いへと発展していく事になり、それと同時に悠人たちは、自分たちが異世界へと召喚された理由を知る事となる。

 


 レビュー

 昨今のギャルゲー業界において、その主流はゲーム性を極力廃したノベルゲームであり、それ以外のジャンルとなるとその数は少なく、さらにその中で良作と呼べるほどの完成度を持つゲームは限られてくる。今作『永遠のアセリア -The Spirit of Eternity Sword-』は、そんな数少ない完成度の高いゲーム性を持った作品の一つである。

 この作品、その存在自体は実際に発売される随分前から知ってはいたが、どんなタイプのゲームになるのかイマイチはっきりしなかったため、ノーマークのまま忘れてしまっていた。だがCD-ROM版発売直前に体験版が公開されていることを知り、実際にプレイしてみて、その意外にも高い完成度に驚かされた。またエスペリアが気に入ったのも、購入を後押しすることとなった。

 まず今作は、ストーリーが展開されるアドベンチャーパートと、実際に戦闘が行われるシミュレーションパートを交互に進めることとなる。アドベンチャーパートは一般的なノベル系ゲームと変わらないが、ここでの選択がヒロインとの好感度だけでなく、後述のマインドの上下にも関わってくる。
 シミュレーションパートは独特のものとなっている。まず今作では主人公の悠人やヒロイン、その他のキャラクターたちで三人一組の部隊を組み、大陸マップ上をターンごとに移動しながら敵を倒し、目標を達成していくこととなる。この三人一組というのは敵も基本的には同様である。また一度に四部隊まで設定することができる(一部例外はあるが)。
 部隊の三人にはそれぞれロールという役割が設定されており、物理的攻撃で敵を叩くアタッカー、敵の攻撃を防御して受け止めるディフェンダー、魔法攻撃や回復魔法で援護をするサポーター、の三つのロールが存在する。同じロールを同時に設定することはできない。基本的にはキャラクターごとに得意なロールが存在するので、それを考慮に入れてどのロールに配置するかを決めていく必要がある。
 各キャラクターには、ロールごとに使用できるスキルが存在する。このスキルを利用して戦闘を行うのだ。スキルは最大回数と、1ターンで使用できる回数が決められており、戦闘に入ると敵味方とも設定された行動回数だけ攻撃や防御を行い、全ての動作が終了するとそのターンが終了する。これを繰り返して戦いを繰り広げることとなるのだ。
 スキルやHPは拠点にいることで毎ターンごとに回復させることができる。そのため拠点防衛ではこちらが有利だが、逆に拠点を攻める時はこちらが不利になる。
 なおマインドというパラメータが各キャラクターに存在する。これはキャラクターの精神状態を表し、これの高さによって後述のクラスアップをさせた時のクラスが決まったり、使える技が決まったりする。さらに悠人とヒロインのマインドはストーリー進行上重要で、マインドが低いとイービルルート(鬼畜ルート)に入る場合があるため注意が必要である。基本的にはマインドは敵を倒すと下がり、任務達成時や拠点制圧時に上がるようになっている。
 物語の舞台となるファンタズマゴリアには、マナというエネルギーが存在し、このエネルギーをエーテルというエネルギーに変換して利用している。このエーテルはキャラクターのレベルアップや建造物の建設に利用することができる。ただこのマナは各拠点に限られた量だけ存在するので、物語が進んで多くの拠点を占領すれば、より多くのマナを得られる。マナは毎ターンごとにエーテルに変換されるが、これにはエーテルコンバータという変換施設が必要で、この数やレベルによって1ターンごとに変換できるマナの量が異なってくる。なおマナは各地の龍を倒す、マナ結晶を破壊する、もしくは任務終了時のボーナスとして獲得することもできる。
 レベルアップは建造物の訓練所で訓練させることで上昇させることができ、ここでエーテルを消費してレベルアップさせることができる。上げられるレベルの上限は訓練士によってキャラクターの属性ごとに決まっている。
 他にも拠点における防衛力を上げる塔や、クラスアップを行えるようになるクラスアップ施設などを建設することができる。建設にかかるターン数や、建設可能な設備やレベルは、その建設に携わる技術者の能力によって決まる。
 任務にかかるターン数によってランクが決まり、このランクによってエーテルやマナのボーナスがもらえたり、各キャラクターのマインドが上昇したりもする。

 ストーリーは、斬新な展開は無いものの、全体的には安定した質のシナリオである。まあ序章が長すぎるという欠点はあるが。ちなみに今作は、壮大な物語の一端といった話なので、詳しく明かされない背後関係や設定も多い。ただファンタズマゴリアの中での物語としては完結するようにはなっている。
 なお今作では面白いことに、ファンタズマゴリア側にはヨト語という言語がちゃんと存在し、一章ではファンタズマゴリアの人間はヨト語を喋るようになっている。そのため一章序盤では言葉が通じなかったりするなど、異世界に現代人が行くことを題材にしたファンタジーものでの暗黙の了解を否定している点が好感を持てた。

 グラフィックはアドベンチャーパートもシミュレーションパートも全体的にはなかなか良い出来である。ただ、結構癖のある作画であることと、特定のキャラクターの立ち絵で、表情が変わると別人のように見えてしまう場合があること、そして佳織の顔が物凄く酷いという問題点もある。余談だが、「キモウト」という言葉の由来はこの佳織にあるという話である。
 BGMは特別良い曲があるわけではないが、全体的には良くできているだろう。また主題歌がかなり格好良いのに加え、あるシーンでの使い方が絶妙であり、場面を一気に盛り上げてくれている。

 難易度はそれほど高くは無い。ただ今作では運の要素が一切排除されているため、勝てない状況では絶対に勝てない。そのため定期的にレベルを上げていく事が特に重要となるだろう。

 ノベルゲームが主流を占めるギャルゲー業界において、これだけのオリジナリティとゲーム性を確立させることができれば、上出来と言えるだろう。