| 邦題 | Alice in Nightmear |
|---|---|
| ジャンル | アクションアドベンチャー |
| 機種 |
Windows Macintosh |
| 開発 | Rogue Entertainment |
| 発売 | ELECTRONIC ARTS |
| メディア |
Windows: CD-ROM(2枚組) Macintosh: |
| 発売日 |
Windows:2001年1月25日 Macintosh:2002年3月21日 |
ストーリー
鏡の国での出来事からしばらく経ったある夜、いつものように寝室のベッドに入ったアリスは、夢の中でお茶会を楽しんでいた。だがアリスの家は突如起きた火事によって炎上、家に住んでいたアリスの家族は、アリスの他は帰らぬ人となり、なんとか脱出することができたアリスも酷い火傷と精神的なショックで硬く心を閉ざしてしまう。
その後アリスの外傷は目覚しい回復を遂げるものの、精神的には一向に回復する見込みはなく、専門的な治療のためにラトレッジ精神病院へと運び込まれる。そこで焼け跡から発見された、アリスが大切にしていたウサギのぬいぐるみが、アリスの手元に置かれることとなるが、アリスはそのウサギに助けを求められ、三度不思議の国へと足を踏み入れることとなる。
だが、アリスが訪れた不思議の国は、過去に彼女が冒険したワクワクするような素敵な世界ではなく、醜く歪んだ狂気に満ちた世界へと変貌していた。アリスはかつての仲間たちに導かれ、美しいワンダーランドを取り戻すために立ち上がることとなる。
レビュー
PCゲームの中では結構有名な作品なので知っている人も多いのではないかと思われるこの『American McGee's Alice』は、不思議の国のアリス・鏡の国のアリスの世界観をベースにして作られたホラー調のアクションアドベンチャーである。ストーリー的には鏡の国のアリスのその後を描いたもので、歪んだ不思議の国を救うためにアリスが赤の女王に立ち向かうというものだ。世界観は歪んだという名に相応しく、醜悪なクリーチャーや残虐な性格のトランプ兵たちがばっこしている。そして対するアリスはナイフやトランプといった「武器」を手に戦いを挑んでいく。これだけ書くと、単なるホラーアクションに思えるかもしれないが、それは全くの間違いだ。この作品はその優れたシナリオとテーマ性、洗練されたゲーム性、そして原作にある不思議の国を見事に「歪ませて」再現することに成功した名作であるのだから。
なによりこの作品で注目すべきは、不思議の国そのものである。不思議の国のアリスはこれまで、数多くの媒体で紹介されてきた。特に、ディズニーが製作したアニメ映画は有名なので、多くの人が見た事があるだろう。
だが、実はディズニーの映画は原作にある不思議の国を再現したわけではない。ディズニーは映画を子供向けにするためにかなり「歪ませて」製作しているのだ。原作にある不思議の国はあそこまでメルヘンチックではないし、登場するキャラクターたちもあんなに愛らしくはない。だが昨今はディズニーの強い影響力のためか、不思議の国はああいう世界なのだと曲解されている節がある。
これに対しこの作品は、あくまで原作を強く意識して作られている。そのために製作チームは、ディズニー映画の不思議の国のアリスを見て参考にしないように言われていたほどである。確かにグロテスクな生物や妙に生々しいトランプ兵たちが描かれてはいるが、世界そのものを構成する自然や建造物に関しては原作が持っている雰囲気や印象を見事に再現している。
それにこの作品において不思議の国が「歪ませて」あるのは、それが作品の持つテーマに直結しているためだ。単におどろおどろしい描写をしたかったわけではない。そのことはゲームを進めていくごとに分かってくる。暴力的な描写でなければ描けないテーマを見事に描いたという点でも素晴らしい作品であるだろう。
なおインストール時に音声を英語にするか日本語にするか、そして字幕を日本語にするか英語にするかを選択することができ、海外版の雰囲気を楽しみたい人にも日本語で聞きたいという人にも配慮している。ただし、後に発売された廉価版では英語音声はカットされてしまっている。またゲーム中のテクスチャに描かれた文字も日本語化されており、かなりしっかりとした移植がなされている。
まず操作性だが、これはかなりいい。基本的にはキーボードとマウスで操作するタイプのゲームと同じだが、動作はスムーズに行うことが出来る。使用するキーの数が少なめなので、セッティングもしやすい。
システム的にも悪くない。視点をいつでもマウスで動かすことが出来るので見やすく、ジャンプ後の着地地点を教えてくれる機能や照準の自動ロックオン機能もあり、攻略しやすくなっている。武器も一つの武器で二通りの動作が出来るうえ、悪魔を召喚したり時間を止めたりといった特殊なものもあり、様々な戦略が組み立てられるようになっている。
ストーリーは前述の通りなので、原作を読んでおけば分かりやすいだろう。特に日本ではあまり名前が知られていない鏡の国のアリスは、結構重要なネタが含まれるので一読しておけば登場人物やストーリーの伏線が理解しやすくなる。また初回版のみに同封されている「ラトレッジ精神病院
症例記録」を読めば、作品を別の側面から見ることができ、より深く作品を理解することができる。ただ最初に読んでも本編との関係がよく分からないと思うので、ゲーム終了後に読んだ方がいいだろう。そして肝心のストーリー自体の質は非常に高く、また登場するキャラクターたちも原作の性質を活かし個性的だ。総じて評価は高い。
グラフィックも原作を見事に再現したとあって、目を見張るものがある。霧の描写や水面の動きなども自然な感じで、造形物の緻密さも見事なものだ。キャラクターの動きも悪くない。
音楽も、不思議の国の不気味な雰囲気を上手く表現している。
難易度は高め。特にボスが結構手強かったり、気流の仕掛けがかなり難しかったりするが、セーブがどこでもできたり、ボス戦では回復アイテムが出現する場所が決まっているなど、ちゃんとしたフォローが用意されている。それなりの腕を持っていればクリアーできるレベルだろう。
本来あるべき姿の不思議の国を、その高いテーマ性ゆえに意図的に「歪ませ」、それに洗練されたゲーム性を付加した今作は、原作である2作品の後継作品と見ても相応しい名作と言えよう。