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1994年から通算15年以上に渡ってオーディオ趣味の技術系専門誌「ラジオ技術」および「MJ無線と実験」で自作記事執筆者のひとりとして活動してきました。真空管式オーディオパワーアンプ、真空管式フォノイコライザ、真空管式ヘッドホンアンプを自前で設計、手作りしています。現在は発表場所を紙媒体からインターネットに移して活動を続けています。
オーディオ趣味を始めたのは30歳を過ぎてからです。すでに半導体アンプがあたりまえの時代であり、CDが一気に普及し始めたころです。高名な先輩諸氏の世代から見ると、ひとまわり後の世代ということになります。しかも技術畑の出身ではないので、真空管式アンプの設計・製作に必要な知識は独学しました。自作家の中には回路方式自体を目的にする方もいらっしゃいますが、私は音楽を聴くことが目的なので、回路方式は手段のひとつという位置づけです。それでも回路方式の異なる新機種を作るたびに挑戦と学びがあり、自作することへの興 味と意欲が尽きません。
自分の楽しみとして聴くのはオーケストラの入った曲が多く、クラシックが中心ですが、最近はジャズ系のポップ音楽をBGMに流することも多いです。そのほかに、ジブリアニメを含めた新旧映画音楽も好きです。テーマ曲だけでなく、主人公の心情や運命を暗示する挿入曲にも心動かされたりします。若いころ耳にしたポピュラー音楽を今の自作アンプで聴いて、新鮮な感動を覚えることも多いです。デジタル音源は日用品として便利に利用していますが、アナログレコードの趣味性にも強く心を惹かれます。
私の自作アンプは安全性や耐久性を大事にしていますが、音質面で求めるのはハーモニーの豊か さと、生き生きと鳴ることです。クラシック音楽では、作曲者や演奏者の内面の動きを追うことで感動が大きくなりますが、そのためにはオーケストラの複雑なハーモニーを余すことなく聴き取る必要があります。しかし新しく設計したアンプは当初の回路図どおりに組み立ててもそのような音が出るとは限りません。組み上がり直後の素のままのアンプは出発点です。そこからアンプを育てる地道な作業が始まります。アンプの音質は回路方式やトランスの構造だけ決まるものではありません。たった一つの部品を交換するだけで劇的に改善することもあります。アンプが生き生きとハーモニーを歌い始めるまで、自分に考えつくあらゆる可能性を試します。満足いく音に育つまで数ヶ月かかることも数年かかることもあります。
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