6BM8 3極管接続 オートバランス型プッシュプル・パワーアンプ 最大出力2.8W

レプリカオーナー:山形県 東谷さん

最大出力 (クリップ前) 2.8W
周波数特性 (-1dB) 10Hz〜26kHz
ひずみ率 (1kHz, 1W時) 1.5%
ダンピングファクタ (1kHz時) 4.0
残留ノイズ (補正なし) 0.3mV (最大出力とのSN比84dB)
入力感度 (最大出力時) 0.7V
回路図 電気的特性
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 「ラジオ技術」2017年12月号、2018年1月号、4月号、11月号に掲載していただいたパワーアンプです。
 その後、5年にわたり調整を行ってきましたが、ついにメインアンプとして利用できる音質に到達しました。往年のヨーロッパ製6BM8を十分に生かす音を出すことができます。2023年12月現在、これ以上の改良は必要ないと考えています。
 本機のレプリカを1台製作販売しましたが、オーナー様のお許しを得てレプリカにも同じ改良を施しました。
 本機は初段を3極管(3極部)とするオートバランス型の位相反転回路を採用したプッシュプルアンプです。オートバランス型では3極管で励振したほうがNFBをかけたときに高域にピークが発生しにくくなります。また、出力管についても3極管にすると高域のピークが発生しにくくなります。
 本機では初段カソードに入力するNFB分圧抵抗の位置が通常とは異なり、初段上下で共有する形になっています。どちらかというとQuad-II型に近い形になっています。本機はこの点で独特なオートバランス型になっています。
 もうひとつ本機で独特なのは、バイパスコンデンサとして小容量のフィルムコンデンサを使っている点です。初段上下真空管の特性差に起因すると思われるプレート電流の低周波暴走(発振?)を防ぐとともに、高音質を確保するための工夫です。詳しくは「ラジオ技術」を参照してください。
 クリップ前最大出力が2.8Wしかありませんが、家庭用であればかなりの大音量とパンチを出せます。逆に言えばフルパワーを使いきることができる最大出力と言えるでしょう。
 6BM8という真空管は電圧増幅用の3極部と電力増幅用の5極部がいっしょに入った便利なタマです。昔はラジオ、テレビなどに多用されたありふれたタマだったようです。ご年配の方ならなつかしく思い出す方も多いのではないかと思います。
 そのためか、「ありふれた安いタマ」というイメージで捉えられがちなようですが、オーディオ用電子管としては極めて優秀です。

 本機で鳴らす6BM8は最大出力が小ぶりなだけで、音質は大型のオーディオ用真空管にひけをとりません。滑らかで密度の高い音です。
 本機のダンピングファクタは4ですが、実用上十分な値なので低音が膨らむこともなく、高低ともバランスよく聞こえてきます。透明感があるのが印象的で、奥行き感もよく表現します。オーケストラからポップスまでハイファイなサウンドを楽しめます。簡潔な回路でよくここまで鳴るなあ、と製作者自身いつも不思議に思います。
 3銘柄の6BM8の音質の違いですが、ロシア製6Ф3Пはくっきりした音で低音に重みを感じます。クラシック音楽も得意ですがポップスにも合います。英国製PhilipsブランドのECL82はクラシック音楽をヨーロピアン・トーンで典雅に鳴らします。小さくてもメードイン・グレートブリテンの音です。ハンガリーTungsram製のECL82は両者のちょうど中間というところです。
 製作の詳細と実体配線図は「ラジオ技術」をご覧ください。


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