ハイタカの春の渡り経路
以下の図は、2005年4月16日の時点で確認している九州北西部における渡り経路を示しています。赤い矢印がハイタカの飛翔方向です。番号のないものは昨年以前に観察したものと聞き取りによるものです。
数時間のみの観察結果も含んでおり、天候などにより渡る方向が異なる場合もありますので、渡り経路の一部ということで参考にして下さい。
福岡県糸島郡志摩町芥屋 立石山(33°34′N、130°06′E、EL:200m)
<観察詳細>
2005年3月31日から4月2日に@〜Fにて観察を行いました。結果は以下の通りです。
@ 生月島北部 7:30-10:43 北端から北西への飛び去るのを確認。飛来方向ははっきりしなかったが、的山大島から飛来しているように感じられた。
A 生月島中央部 11:20-15:00 北西へ飛び去る。遅い時間になるにつれ北西への渡りがなくなり、島を北へ向かうものと南へ向かうものが目立ちはじめた。南へ向かうものが北へ向かうものの3倍位いた。
B 生月島南部 14:33-15:00,5:55-7:05 日の出前から渡りが始まった。平戸から飛来したものがそのまま北西へ飛び出しているように感じられた。生月島でもっとも多くの個体が海上へ飛び出す印象があった。島はハイタカだらけの印象。観察した日は立石山で415羽もの渡りが観察されており、そのためかも。九州東部の大分県関崎からの飛来もありそう。
C 志々伎山 5:55-7:35 早朝に宇久島の方向へ飛び去る。天気は下り坂という条件であったためか少数だけの確認。でももともと少ない印象。
D 冷水岳 7:20-10:30 観察地は標高が高いためか8:30すぎにようやく現れ北西へ。上昇気流がないうちは見えないところを飛んでいくのかも。結構渡る気がする。間近を飛ぶものも結構いて観察は面白そうであった。
E 遠見岳 10:30-11:00 いい観察地が見つからないうちに少数が南西へ、すぐ見失う。南西が見える場所に移動したら雨が降り出した。姫島から南西へ向かうルートに繋がりそう。多分鷹島へ渡ると思う。
F 田の浦 11:30-12:30 時間が短いのか確認できず。
2005年4月13,14,16日にG〜Jにて観察を行いました。結果は以下の通りです。
G 長崎県松浦市津崎鼻周辺 7:10-9:45 津崎鼻北東の青島から観察地津崎鼻へ飛来。少し移動して続けて観察し、さらに南西へ海上を渡って行った。おそらく姫島や立石山から南西に向かい東松浦半島を南西へ通過、その後、鷹島を通過して平戸に渡って行くと思われた。
H 平戸市川内峠 12:56-15:10 観察地周辺に現れ、西へ渡った。
I 的山大島中央 9:10-11:40 島伝いに北東から南西へ渡る個体が多い。しかし、北および西北西へ渡って行く個体も少数ではあるが確認。時間や天気により変化すると思われた。
I 的山大島南西端 11:50-13:30 南西へ飛び出すが、少し進むと南南東の度島方向に向きを変える個体がほとんど。南西の生月島方向に1羽だけ向かうのを確認。
J 馬渡島 8:20-13:10 ほとんどすべての個体は西北西へ渡った。数キロ進んだ先で若干南西に向きを変えていると思われるのも1羽確認。的山大島での観察から、馬渡島から南西へ渡ると考えていたが、今回はその渡りは確認されなかった。
<これまでの観察より>
ハイタカは九州では地形に沿って西に向かっているものと思われた。生月島ではもっとも多く渡っている印象があり、そこに向かっているのかもしれない。生月島・的山大島・馬渡島では北から北西の範囲に飛び出していた。朝鮮半島に向かうと思われるが、海上でも進行方向を変えることから、対馬を経由する可能性も十分あり得る。
観察地から、風力発電用の風車が設置されているところが3ヶ所あることを確認した。そのうちの一つ、生月島南部には風車が6基設置されており、今回確認した渡り経路上のど真ん中(もっとも多くの個体が渡ると思われた場所)にある。1度行き、何も形跡は見つからなかったが、バードストライクがある可能性は高いのではないかと思われた。
できれば今後、生月島におけるハイタカの渡り数と、風発の影響について調べてみたい。もしハイタカの渡りについて情報があればご連絡お願いします。