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2.[紋章図案 KREUZER単位]
紋章図案 KREUZER(クロイツェル)単位は、2つのシリーズに分けられ、葉書は5種類あります。
1) 1873/1874年発行
市外用2クロイツェル葉書(1873年)
市内用1クロイツェル葉書(1874年)
上の市外用2クロイツェル葉書が、バイエルン最初の印面付き葉書です。全体的な形式は、これ以前に発行されていたバイエルンの印面なしの葉書と同じです。
印面には、1867年に発行された紋章図案の切手と同じ図案のものが使われています。ただし、2クロイツェル切手は最後まで発行されませんでしたので、この2クロイツェルの図案は葉書のみに存在することになります。
この葉書の印面にはエンボス加工が施されています。特に中央の白地の紋章が浮き上がっています。(下の図の方がわかりやすいと思います。)
2クロイツェル葉書の印面の色は、暗い緑から黄緑まで相当の幅があり、特に黄緑色は1クロイツェル葉書とよく似ている色のものまであります。下に2クロイツェルの色違いの2種と1クロイツェルとを対比した図を示します。

ここで、1クロイツェルの印面は右上と左上の丸の中が数字ではなくポストホルンになっている点に注意してください。この部分は、切手の方は両方とも「1」の数字になっており、ここが葉書と切手との図案で異なるところです。印面が切手に酷似しているため、切り取って切手として使われる可能性もあり、葉書と切手の図案を意図的に変えたと思われます。
葉書の下の段にある注意書きの拡大図を以下に示します。

注意書きの内容の詳細は、こちらを参照してください。
2) 1874/1875年発行
市内用1クロイツェル葉書
前のシリーズは、印面なし葉書に印面を加えた形式の葉書でしたが、そこから注意書きをはずし、左右にあった日付印押印欄もはずし、書体も一部変更したシリーズが発行されました。このシリーズは、後々の葉書の基本となる最初の形式のものです。注意書きがなくなりましたが、すでにバイエルン王国以外のドイツでは取り外されていたので、遅い改訂と言えるでしょう。
上の写真の中央上端と印面の右側の2カ所に黒くて短い線が見えると思いますが、これは裁断用のガイドラインで、当時の葉書によく見かけるものです。このガイドラインにぴったりと切れることは、神業に近く、まずあり得ないと思われます。実際、このシリーズの葉書の四隅を見ると、たいていどこかにこのガイドラインが入っています。このガイドラインのことをトンボとも言います。
市外用2クロイツェル往復葉書往信部
上の写真は、バイエルン最初の印面付き往復葉書です。注意書きがない他は、前のシリーズの形式をそのまま踏襲しています。なぜ普通葉書と形式を統一しなかったのかは、よくわかりません。
往復葉書をこのように灰色の用紙に印刷するスタイルは、これ以後1891年まで引き継がれました。
[ワンポイント]
印面の緑色の変化が著しいので、それに注目して集めるやり方もありますが、切手と違ってあまり主流ではないようです。むしろ、Königreichの字体の相違による版の違いで集めたり、文字抜けなどのエラー物を集めるのがよいでしょう。詳しくは、参考文献をご覧ください。
葉書のサイズはまちまちですが、それによる評価の違いはありません。色も同様です。
このシリーズの中では、1クロイツェル葉書の使用済が難しく、特に1874年発行(注意書きなし)の物は難関です。2クロイツェル葉書の方はありふれていますので、入手しやすいでしょう。
紋章図案葉書は、厚手の用紙に見事にエンボス加工がほどこされていて、大変格調高い葉書です。このように手の込んだ葉書はバイエルンが最初で、名門バイエルン王国の威信をかけた作品と言えるでしょう。
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