税法概論(十八訂版) 令和3年 大蔵財務協会
大学における税法の講義の教科書として作成したものである。税法の全般について、その概要を説明したものであるが、単なる説明でなく、制度の理論的根拠にも触れている。「租税法律関係論」等の研究成果を改訂毎に反映させており、簡潔であるが理論的であるとの評価をいただくこともある。
十八訂版は令和3年度税制改正に基づき改訂したものである。
同時に従来総論第1章 1 「租税法律主義と法治主義」で記述していた租税法律主義は行政法学上の法治主義からも要請されているとの記述を削除して 1 「租税法律主義と憲法」と説明を変更した。さらに17訂版まで総論4章納税義務の前書きの参考として記述していた租税法律関係の性質として権力関係説と債権債務関係説の両説があることと、債権債務関係説で理解すべきとの記述を削除した。短い参考の中でそれを説明することは無理があり誤解を避けるために削除した。また、この問題については平成30年発行の「新税法理論ー優しい税法ー」で詳述しているのでそちらで理解できることも削除の理由である。
目次 序論
1 財政の現状
2 租税制度の現状
3 執行機関
4 税理士制度
5 わが国の租税制度の発展
総論
第1章 租税法律主義
1 租税法律主義と憲法
2 租税法律主義の内容
第2章 税法の法源
1 憲法
2 法律
3 命令
4 条例・規則
5 条約
6 判例
7 その他
第3章 税法の解釈と適用
1 借用概念
2 実質課税の原則
3 租税回避
4 信義誠実の原則
第4章 納税義務
1 納税義務の成立
2 税額の確定
3 税額の変更
第5章 納税義務の消滅
1 納付と納期限
2 滞納処分
3 租税債権の優先
第6章 不服審査および訴訟
1 不服審査
2 訴訟
第7章 租税刑法
1 税法における刑罰
2 犯則調査
税法各論
第1章 所得税法
1 所得税の概要
2 所得税の計算の方法
3 各種所得の金額の計算
4 総収入金額と必要経費
5 損益通算
6 所得控除
7 税額計算
8 税額控除
9 申告・納付・還付
10 源泉徴収制度
11 復興特別所得税
第2章 相続税法
1 相続税および贈与税の概要
2 相続税額の計算
3 贈与税額の計算
4 財産の評価
第3章 法人税法
1 法人税の概要
2 法人税の計算の仕組み
3 企業会計の概要
4 複式簿記と損益計算書および貸借対照表
5 益金の額
6 損金の額
7 損金不算入
8 有価証券の譲渡損益および時価評価損益
9 組織再編成に係る所得の金額の計算
10 引当金および圧縮記帳
11 繰越欠損金および欠損金の繰戻し
12 申告調整
13 法人税額の計算
14 申告と納付
15 連結納税制度
16 復興特別法人税
第4章 消費税法
1 消費税の概要
2 消費税の仕組み
3 納税義務者
4 課税対象
5 課税標準と税率
6 前段階税額控除
7 課税期間・申告・納付
8 消費税の会計処理
9 消費税法の改正
第5章 地方税法
1 地方税の概要
2 道府県民税
3 市町村民税
4 事業税
5 固定資産税
第6章 国際課税
1 国際課税の概要
2 非居住者・外国法人
3 租税条約
4 タックス・ヘイブン対策税制
5 移転価格税制
6 過少資本税制