笹の葉の歌
笹の葉が登場する童謡「たなばたさま」は、権藤(ごんどう)はなよ作詞、下総皖一(しもふさかんいち)作曲、一九四一年(昭和十六年)に文部省発行の「うたのほん」で発表、の唱歌。
この歌には、さらさら、きらきら、きんぎん、などの繰りかえしの言葉が出てきて、それらの言葉が歌うときに心地よくひびく。金、銀、砂子(すなご)、という表現もすばらしい。星空を表現するこれほど短くてぴったりの表現は他にはないと思う。五色の短冊に書いた私の願いごとをお星さまが空から見てる、という表現にも心をひかれる。
たなばたさま
ささの葉さらさら
のきばにゆれる
お星さまきらきら
きんぎん砂子
ごしきのたんざく
わたしがかいた
お星さまきらきら
空からみてる
ササやタケはイネ科の多年生植物、イネ科に分類されるのは花の形態が似ているからというが、タケ科として独立して分類する説もある。ササとタケの違いは何かというと、一般的には背の低いものをササ、高いのをタケと呼んでいて、それがササやタケという言葉の本来意味するところだと思う。
ところが区別のための基準がもう一つあって、それはタケノコのときの皮が成長したあとも茎に残るものをササ、成長すると落ちものをタケとする基準であるが、この基準に従うと、オカメザサのような細くて背の低いものがタケの仲間に含まれ、メダケのような背の高いものがササの仲間に含まれることになり、ササやタケという言葉がもつ本来の意味と食いちがう種が生じることになる。
またササやタケには、これらは木か草かという問題も存在する。木とする説と草とする説の両方が存在し、そのうえ木と草の性質を合わせ持っているから中間だとする説もあって、一筋縄ではいかないのである。つまり茎は明らかに木質であるが、形成層を持たず一人前の大きさになるとそれ以上伸びたり太ったりしない点や、茎の内部に空洞や節がある点は草の性質なのである。もっとも私を含めたたいていの日本人は、竹は竹であって木でも草でもないと考えていると思う。
なおタケは暖かいところを好み、ササは寒冷地や高地に多く、日本はササの種類の多い国である。それとタケやササの茎は稈(かん)と呼ばれ、鞘(さや)のような形で稈に残るタケノコのときの皮は稈鞘(かんしょう)と呼ばれる。
この歌に出てくる笹の種類は不明である。笹には多くの種類があるし、のきば(軒端)に届く高さがあるなら竹の可能性もあって特定は難しい。軒端は屋根の先端部分の軒先のことである。
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