醍醐味の話
 
醍醐味(だいごみ)はもとは仏教の言葉。あるお経の中に、牛(ぎゅう)より乳(にゅう)を出(いだ)し、乳より酪(らく)を出し、酪より生酥(せいそ)を出し、生酥より熟酥(じゅくそ)を出し、熟酥より醍醐を出す、とあります。
 
これら五種の乳製品を五味(ごみ)と呼び、五味の中の最上のものを醍醐といい、醍醐の無上なる味わいを醍醐味というのです。そのため醍醐は、最高の妙薬、究極の教え、悟りの世界、真実心、を意味する言葉として仏教では使われています。ただし五味が具体的にどの乳製品を指すかは明らかではなく、醍醐をチーズかヨーグルトとする説もあります。
 
仏教の瞑想法の基本は、今ここ、に心を集中すること。具体的には、吸う息吐く息に心を集中する、目のまえの仕事に心を集中する、歩くときには歩くことに集中する、ということです。今ここに心を集中すると、そこに本心が現れてきます。自己の本心、すなわち真実の自己に目ざめることが、人生究極の醍醐味であります。
 
時間と空間に束縛された私たちの小さな胸の中にも無限の力が潜んでいます。それは実に宇宙を統一する力であり、宇宙と一つになる心です。その宇宙大の心に目ざめれば生死問題を解決することができます。この小さな体に自分を限定し執着すること、それが迷いの原因であり、恐怖心が生まれてくる元なのです。


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