みかんの木の歌
「みかんの花咲く丘」は、加藤省吾(かとうしょうご)作詞、海沼實(かいぬまみのる)作曲の歌。一九四六年(昭和二一年)八月二四日に突然、作詞を依頼された加藤省吾氏が三十分で歌詞を書き上げ、その日のうちに海沼実氏が曲をつけ、その翌日に静岡県伊東市から放送されたNHKのラジオ番組で、十二才の童謡歌手・川田正子(かわだまさこ)が歌って発表した、というあわただしい経歴をもつ歌である。
なお伊東市の海を見下ろす丘の上に、昭和五八年に建立された「みかんの花咲く丘」の歌碑があるという。
みかんの花咲く丘
みかんの花が咲いている、思い出の道、丘の道
はるかに見える青い海、お船がとおく霞んでる
黒い煙をはきながら、お船はどこへ行くのでしょう
波に揺られて島のかげ、汽笛がぼうと鳴りました
いつか来た丘、母さんと、一緒に眺めたあの島よ
今日もひとりで見ていると、やさしい母さん思われる
海を見下ろす丘の上で咲いているのだから、このみかんの花はみかん山に植えられた温州蜜柑(うんしゅうみかん)の花と考えていいのだろう。海が見える所で採れたみかんはおいしいという話を聞いたことがある。
鹿児島県原産のウンシュウミカン(別名ミカン)は、ミカン科ミカン属の常緑低木、高さは最大三メートル、やや大型の葉をもち、葉柄にわずかに翼がある。関東以西の暖地のミカン畑や庭に植えられ、多くの栽培品種がある。
ミカン属の木にはこれ以外にも、カラタチ、タチバナ、ユズ、キンカン、ダイダイ、ハッサク、ブンタン(ザボン)、ネーブル、レモン、など実の食べられるものが数多くある。ミカン属は私たちがたいへんお世話になっている植物なのである。
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