霊雲志勤禅師の話

桃花を見て開悟したことで知られる霊雲志勤(れいうん・しごん)禅師は、唐の時代の福建省長谿の生まれ、生没年は不詳、い山霊祐禅師に参じているとき桃花を見て開悟し、偈(げ)をもって心境を述べた。(い:さんずいに為)

「三十年来、剣客を尋ね、幾たびか落葉に逢い、幾たびか枝を抽(ぬ)く。一たび桃花を見てより、直に今に至るまで更に疑わず」

この偈を見て霊祐禅師は志勤の悟境を点検したがまちがいなかった。禅師が言った。「縁に従って悟達すれば、永く退失すること無し。善くみずから護持せよ」

こうして志勤禅師は霊祐禅師の法を嗣ぎ霊雲山に住した。なお投機の偈の「剣客を尋ね」の意味は分からない。

出典「景徳伝灯録巻十一。福州霊雲志勤禅師」

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