武庫川の土手(堤防)に植わっている松の木のうち、松やにを採取した松の木が何本か見られます。この武庫川の付近にある会社が炭酸カルシュ−ムの生産を行っており、この炭酸カルシュ−ムにコ−テイングするものとして、松やにや脂肪酸が使われておりますが、そのためにここでの松やに採取をしたのではないかと思われます。現在でもこのようにして炭酸カルシュ−ムをコ−テイングしたものは、新聞紙などの印刷インキの裏抜け防止用として、製紙業界では多く使われております。戦前から戦後の一時期はご承知の通り物資に苦しみ、何もない状態が続きましたが、松やにもその内の一つで原料の入手には大変苦労したものと想像されます。

●このような原料の不足を補うためにこのような松の木の有効利用が考えられたのではないかと思いますが、松やにを採取した本数などを考えるとそれほど多くの松やにが採取されたとは思えませんが、それでも少し役に立ったのではないでしょうか。松やにを採取した跡を訪ねて、眺めておりますと古の時が浮かんでくるようで、タイムスリップしたような気持ちになります。


●尚、武庫川の土手で松やにを採取した跡は阪急電車から下で、阪神電車の間に多く見られます。

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武庫川の土手の松と松やに採取跡の木
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