・・・最終
●ブラジルの思い出
1985年から1990年まで足かけ5年半、ブラジルに駐在してきました。その間、家族とは3年にわたり海外生活を共にしてきました。唯、残念なことにはブラジルのサンパウロと筆者の勤務地であるポンタグロッサで単身を余儀なくされましたが、おかげさまで家族共々大過なく海外生活を送ることが出来たこと、今振り返って見て懐かしく、また楽しい思い出が尽きません。子供達もサンパウロの日本人学校へ通いましたが、十分海外生活を謳歌出来たものと思います。当初は言葉の壁、風習、安全面など気を遣うことが多くありましたが、同僚、先輩、関係の皆様の温かい援助もあり、当たって砕けろ式で何とか無事に生活をしてきました。日本と違い、色々な意味に於いて違いが多く、正しいと思ったことでも逆におかしく取られたり、とまどうことも多かったですが、逆に慣れてしまうと日本がいかにおかしいのか、外から見た日本を経験できたことが掛け替えのない貴重な経験となりました。私も個人的には、松やにを採取、精製、販売と松の木と共に過ごせたことが、今振り返りましてこのホ−ムペ−ジを作成しているときに、ここでの経験が実務上もまた私の興味の上からも非常にプラスになっていることを感謝しています。多寡が松やに、されど松やに、大自然を相手に松を育て、松やにを採取する事には正直言って、ロマンと夢を感じています。非常に労働集約的で若い人にはバタクサイかも知れませんが、このような業務を通して、松やにという物を知る機会が出来たこと感謝する次第です。


イッペの花(left)/蜂鳥の油絵(right/筆者所蔵)
●パラナ松について
ブラジルの国土の3分の2は森林から成り立っており、その内主要な木材はアマゾン地区にあるが、ここには市場価値の高い闊葉樹が繁茂している。反対に、パラナ松と呼ばれる軟木はパラナ州、サンタカタリナ州、リオグランデドスル州等の南部の州に生えており、建築材、パルプ材等に利用されている。パラナ松は上記のように南部の州の至る所に生えており、非常に特徴的な形をしている。筆者の住んでいたパラナ州にも当然の事ながら、あちこちで見受けられ、当初は名前の通り松の一種かと勘違いしたこともあるが、実際はナンヨウ杉の一種であり、PinusAraucaria Angustifolia(アラウカリア松)と称されている。大きいボ−ルのような実をつけ、その中身は長細い種があり、塩で湯がくと少し栗のような味がして、現地の人は食用にしている。実際写真のように道沿いで売っている。



また、木材は建築材に用いられるが、丁度、幹の枝の所から水平に切断すると、写真のテ−ブルのような桜の花びら模様が出てきて、このようにテ−ブルなどに使われたりもしている。


パラナ松のテ−ブル(left/筆者所蔵)
参考:Brasil ブラジル ブラジル大使館編(1982年)/Problemas Florestais do GeneroAraucaria Curitiba(1980年)
●南米を旅して
足かけ5年半、休みを利用して南米各地を旅してきました。同じ南米といっても、ブラジル以外はスペイン語圏であり、生活様式、風習など特徴があります。言葉もブラジル語(つまりポルトガル語)とスペイン語はよく似ているようで違っており、私の感じでは従兄弟みたいな関係だと思いました。丁度、漢字圏の日本語と中国語が違っていても、漢字で書くと多少とも意志が通じ合うのとにている感じです。スペイン語がどちらかといえば、濁りが少ない清音が多いのに比べ、ブラジル語は濁音があり、ロ−マ字読みのような気がします。旅行をしていてもスペイン語は理解し難いですが、それでもメモに書いてくれますと多少とも意志が通じるので助かりました。ご承知のように南米は、多くの国が地続きで国境を接しており、日本のような島国ではありませんが、ブラジル国籍を有していれば、比較的簡単に出入りが出来ることも有り難いことです。(当然、国によっての差はあります)

筆者の訪れた主要都市(クリックしてください)
●最後に
ブラジルの松やに産業について、以前から書きたい書きたいと思っていましたが、なかなか暇が無くずるずるとなってしまいましたが、やっと念願が叶ってホ−ムペ−ジに掲載できました。何を書いたらよいのか、またデ−タ−はどうしたらよいのか、考えればなかなかまとまりませんでしたが、一つには専門的な物ではなく、松やにというものを理解できるよう、また興味を抱いてもらえるように考え、執筆したつもりですが、筆書の思いとは別になっているかも知れませんし、尚かつ、判断が間違っており、読者に誤った資料を提供しているかも知れません。筆者の不勉強によりご迷惑お掛けしていますが、ご容赦願います。
ブラジルでの思いは懐かしく、何時までも筆者の脳裏に焼き付いております。今後とも、ブラジルの発展を祈っていきたいと思っております。ブラジルに幸あれ!
VIVA BRASIL!/ATE LOGO
●参考資料/一般的な読み物(筆者所蔵)
1.ジャングルで乾杯 林 美恵子(スタ−ツ出版)
2.ジャングルへ行く 林 美恵子(スタ−ツ出版)
3.オイ!ブラジル 日下野 良武(毎日新聞社)
4.にせニッポン人探訪記 高橋 秀実(草思社)
5.アマゾンには森がない 原後 雄太(実業之日本社)
6.ジャングルまるかじり 林 美恵子(幻冬社)
7.楽しき熱帯 奥本 大三郎(集英社)
8.ブラジル辺境紀行 高野 悠(NHK出版)
9.日伯修好100周年 ブラジルへの虹 黒田 公男(六甲出版)
10.サンパウロ・コネクション マルコ・ラセルダ/小高 利根子訳(文藝春秋)
11.さよならブラジル ルイス・プンテル/小高 利根子訳(花伝社)
12.わがアマゾン トウチャン一家と13年 関野 吉晴(朝日新聞社)
13.サンパウロの暑い夏 野呂 義道(講談社)
14.アマゾン漂流 田中 光二(けい文社)
15.サンパウロの風 アントニオ・K・ヨコイ(海越出版社)
16.魅惑のアマゾン 山田 智彦(文藝春秋)
17.サンパウロに暮らす 在サンパウロ有志婦人会編(日本貿易振興会)
18.南半球のザ・ジャパニ−ズ 醍醐 麻沙夫(文藝春秋)
19.人力地球縦断(中南米編) 九里 徳泰(山と渓谷社)
20.そよそよ族の南米大陸 太田 明子(潮出版社)
21.アンデスの花 千葉 治平(家の光協会)
22.ボリビア移民聞書 石田 甚太郎(現代企画室)
23.OS ANDES(EDITORA CIDADE CULTURAL LTDA)
24.A GRANDE BARREIRA DE RECIFES(EDITORA CIDADE CULTURAL LTDA)
25.ASSIM E O PARANA/MANOEL LUIZ DO AMARAL(Artes Graficas em Geral Ltda)
26.Brasil Paraiso de Pedras Preciosas/Jules Roger Sauer
27.パラグアイに住む 田中 裕一(アゴスト)