運 動 会
           



 

   



  

東京都世田谷区と狛江市の間を流れている野川は、前日の雨で少し水かさを増して

いたが、水は澄んで泳いでいる魚の姿がはっきり見える。

木々は緑を深め、気持ちの良い朝だ。ときおりウグイスの鳴き声が聞こえ、1時間半も

満員電車に揺られた苦痛が和らいだ。

この川沿いの道を左折して住宅街に入ると、Kの通う小学校がある。

土曜日に開催予定だった運動会が雨で順延となり、ようやく今日(火曜日5/31)実施

されることになった。 Kは腕白盛りの4年生、運動が大好きな孫である。

「絶対に見に来てね。リレーの選手になったから、おみやげ持ってね!」

こちらの都合も聞かず、電話は切れた。

どちらかと言えば私は小学生のころ、運動会が苦手だったが、紅白の帽子で整列

している子ども達が見えてくると、心が浮き立つ。

1年生は小学生になってまだ2か月。走っている姿がとても可愛い。「ガンバレ!」と

思わず声援を送る。 小さいながらも走り終わると案内する上級生の言いつけを守って、

順位の書かれた旗の前で座っている。

5、6年生による騎馬戦。高学年になると、さすが頼もしく見える。 昔は男子の種目だと

思っていたが、今は女子も堂々と戦っている。むしろ迫力がある。

応援団長も女子がやっている。 今年中学生になったKの兄のYは、6年生のとき応援

団長に立候補したが、少しの差で女子に敗れて副団長になったと残念がっていた。

恒例の6年生の組体操は見ごたえがあった。90数名の生徒がやさしい技から徐々に

難度をあげていく。全員の生徒が取り組むのだから怪我をしないよう教師も真剣に指導

されたのだろう。 今年は中に一人教師が混じっていた。模範演技のためではなく欠場

した生徒の代わりだった。最後のあいさつで腕に包帯を巻いた生徒と交代していた。

4年生のダンスは「八木節」である。三尺帯はたすきがけ、手にはカスタネット、担任の

先生の太鼓の音に合わせて機敏に動いている。 照れ屋のKだが、今年はカメラを意識

せず真面目に踊っていた。

日差しが強かったので、私もテント内の敬老席に座っていたが、応援のおじいちゃん

おばあちゃんは熱心で、勝敗にもこだわっていた。

結果は赤が白に5点差で勝った。優勝旗、準優勝杯が授与され、双方とも健闘が

たたえられた。


帰りに寄った娘宅には、ベランダの物干し竿にK手作りの小さな照る照る坊主がぶら下がっていた。