笹団子

 新潟の姉から名物の笹団子(ちまき)が50個も送られてきました。
私がお中元に送ったゼリーのお返しです。「エビで鯛を釣った」ようなうれしい
気持ちです。私は笹団子が大好きなのです。
子どものころ、笹団子は母が作っていました。団子を包む笹の葉は近くの山へ
採りに行き、きれいに洗って、茹でて乾燥させていました。
 小豆を柔らかく煮てたっぷり砂糖を入れた餡を、お米を粉にして練った皮で
包みます。母や姉が薄く円形にのばした皮に、大きめな梅干ほどに丸めた餡を
載せます。ときどき味見をする特権がありますので、私は進んで手伝います。
餡も大きさが肝心で大き過ぎると、蒸したときにパンクしますし、小さいと美味し
くありません。母は毎年作るので、手順も分量も心得ていました。
 それでも、5日ほども前から準備にかかっていました。笹団子を作るえんま市は
6月の中旬で、ちょうど田植えが済んだ時期でもありますので、休養を兼ねて
一大イベントでした。学校も半日となり、こぞって柏崎市街に出かけ、 露店で
着せ替え人形や本などを買い、仮設のサーカス小屋で曲芸を見ました。
小学生時代は、教師だった父といっしょでしたから、窮屈でした。
 当時はまだ冷蔵庫がありませんでした。笹団子は窓辺の涼しい場所に
吊るしていました。
 学校から帰ると、お腹がすいていましたので、3つも4つも夢中で食べました。
7人家族が充分に食べていましたから、100個は作っていたかもしれません。