さくらまつり 



道路沿いの桜



青空マーケット (開店早々)



青空マーケット (食べ物屋)



青空マーケット (衣類、小物類)



お絵描きのコーナー



紙灯籠



1600個の灯籠に点灯する



竹の灯籠
『さくらに誘われて出てきませんか』

今年は桜の開花が遅れているという情報もあって、町の桜祭りは昨

年より1週間遅れて4月7日、8日に開催された。初日は快晴、風は少

し冷たいが、まずまずの花見日和である。予報では、気温はだんだん

あがって、2日目の日曜日はぽかぽか陽気とのこと。関係者は8時ご

ろから会場作りをしていた。

つぼみの多かった桜は、人の熱気と気温の上昇で徐々に開花してき

た。会場の町役場は利根川沿いにあり、桜の木が多い。利根川は板

東太郎と呼ばれて、群馬、栃木、埼玉、茨城、千葉の5県にまたがっ

て流れていて、この町の発展にも大きくかかわってきた。

ちなみに、江戸末期、利根川沿岸の名所や旧跡・風俗・産物などを挿

絵で著した『利根川図志』の著者・赤松宗旦は、この布川の人である

。運送船・高瀬舟が利根川を往来した当時の賑わいは望むべくもない

が、町の発展は人口1万8千人の町民の願いだ。

桜まつり実行委員会は、いろんなイベントを企画された。

五階建ての役場の一階ホールには、桜の写真が展示され、お茶席が

設けられ,小学生も参加してお点前をしていた。

多目的ホールでは町民によるライブ。200席ほどの座席は満席になっ

た。津軽三味線、ハーモニカ、琴、オカリナ、ギター、太鼓、フラダンス

、テナーサックス演奏など、盛り沢山である。みなさんの玄人はだしの

芸には惜しみない拍手が響いた。

役場の駐車場では、二日間にわたり青空マーケットが開催された。

出店した店は、22軒である。

「花よりだんご」ということもあって、地元の和菓子屋さんが串だんご、

米粉で作った饅頭、かりんとう饅頭など、自慢の品を並べた。また、焼

き鳥、佃煮、混ぜご飯、豚汁、赤飯、巻き寿司、てんぷら等々もあって

昼食のためにわざわざ買いに来られる方もいた。

農協では果物と地元の新鮮な野菜を売っていた。お酒の店には酒粕

もあり、甘酒も売られていた。むろん、子どもの好きなアイスクリーム

やジュース 、綿あめなどもあった。

愉快な企画としては、サクランボの種飛ばしがあった。飛ばす距離に

よって、地面に描かれた丸に景品が置かれた。賞品は、それぞれの

店で販売している玩具やお饅頭、卵、花などだった。

これは子どもや若者には人気があって、とんでもない方向に飛ばした

り、みごと命中させたり、その都度、笑いと拍手が起こった。

一方、「利根町歩く会」のメンバーは、「さくらまつりウォーク」と銘うっ

て桜の名所を3時間かけて歩いた。ちょうど12時に青空広場に到着。

出店を見てまわっていた。私も歩く会の仲間なのだが、このたびは

ボランティアグループのコーヒー販売で、260杯近いコーヒー豆を漉し

て提供していた。一杯100円で売れ行きは上々だった。

土曜日の夜のメインイベントは、子ども達を中心に絵を描いてもらった

灯籠に灯火を入れた夜桜の観賞である。

その数は、なんと1600 個。半分に切ったペットボトルが250本。燃

えない紙の袋に描いてもらったものが、600枚。

竹を素材にいろいろなものを作っている木楽竹楽の会から提供された

竹灯籠が750本。それぞれに濡れた砂を少し入れて、直径も高さも3

cmほどの燭台を入れる。暗くなったらこれに火を灯すのである。

あいにく土曜日の夕方は、冷たい風が吹き、小雨がばらついたが、何

日も前から準備をしていたイベントを、中止にしたくないという祈りが届

いたのだろうか。静かな鎮魂の演奏を聴いているうちに雨があがり、

風も弱まってくれた。

点灯は薄暗くなった5時30分。30名ほどで中のロウソクに火を点け

た。微風があって、なかなか点ってくれないものもあったが、石段にも

並べられた灯籠の数には圧倒された。加えてレイアウトも良かった。

絵を描いたペットボトルは、「2012・希望と絆」の文字に置かれた。東

日本大震災から1年が過ぎ、復興の道のりはまだ険しいが、希望を

もって、みんなで力を合わせてがんばろうと、呼びかけたものだった。

暗くなった役所の敷地内の灯籠は美しかった。ささやかなライトアップ

に、夜桜が白く浮かび上がった。その一隅で、女性5,6人が輪になっ

て飲食していた。少々寒いが、夜桜の下で、一献傾けて談笑している

様は絵になる。7時には消灯。消した燭台を取り出し、器を集める。  

砂も砂袋に戻す。花火ほどの一瞬の美ではないが、眼に焼きつけた

灯りで、暗い中を黙々と作業をした。