臨時現代美術館


   


静まり返っていた校庭に500個のキャンドルが並び、学校に活気が蘇りました。 2年前まで遊びまわっていた生徒たちの歓声が聞こえてくるようです。
暗くなるとほのかなやわらかい光が闇から無数に浮かび上がり、ロマンチックな夜を演出しました。

少子化で閉校になった小学校が11月1日から15日まで現代美術館になったのです。今年は2年目です。

出品されたアーティストは、ドイツから参加された2名とあわせて22名。
芸術を専門に学ばれた若者たちの発想は豊かで、夢があります。観る者の心にその一途さが伝わってきます。 

左の作品は「起きて半畳、寝て一畳」、なんともユニークな作品、昔からこれだけの広さがあれば最低の生活はできるといわれていましたけれど、現代っ子はどうなのでしょうか。なぜかテレビがあるのが、今風ですね。 
 

左の作品は渡り廊下に展示された「視覚と意識」。もっと大きな作品の一部で、この廊下に合うようにくふうされたようです。
ヨチヨチ歩きの男の子が背伸びをして作品に触れ、ママに注意されていたのが印象に残りました。

右は巨木、魂(みたま)と名づけられています。ごつごつした幹には耐えてきた長い年月の傷あとがくっきり刻まれています。細かい葉の一枚一枚を描いていく根気、芸術家ってすごいですねえ。

左の作品は「降る雨の理由 紅雲」で、高さは3メートルほど、横は8メートル以上もあって、よく見るとカットされた枯葉が無数に貼ってあります。 発想もさることながら、労力を惜しまずに創りあげる姿勢に、これまた脱帽です。 

右はドイツ人の女性作家の作品、日本間の障子など数点ありました。世界中を旅行していらっしゃるせいか、いつもチャーミングな笑顔を浮かべて親しみやすい方でした。

会場では子どもや町民に楽しんでもらおうと、いろんなイベントが企画されていました。

左の二人の書家による『書の世界・大きな字を書こう』の部屋では、実際に大きな紙に太い筆で書く体験ができました。そんなチャンスはめったにないので人気がありました。

右は和紙ではたきを作っている部屋です。
日本画を専門にされている若いアーティストたちが和紙の切れ端を持参して、作り方はむろんのこと、原料のコウゾ・ミツマタ・ガンピまでも説明してくださいました。


『粘土で小物を作る』のコーナーでは親子で挑戦していました。 自分だけの一品を作るのに大好きな漫画のキャラクターを模様にして、大人顔負けの作品を作っていました。

子どもに人気のあったのが、紙飛行機や竹とんぼ作りで、親子で作った作品を校庭で飛ばして楽しんでいました。
少子化といわれているのに、こんなにも子どもが集まってくれたことに、町民の一人としてとても感激しました。

右の写真は、『アイヌシモリに育まれたアイヌ文化の世界』の講演。 合間にご主人と二人の楽器の演奏があり、楽器の名前は忘れましたが、素朴ないい音色でした。アイヌ刺繍の手解きもしていました。

左は地元のいわゆる主婦作家が、和布で作った洋服や草木染です。不器用な同年代の筆者としては、羨ましいの一言です。
  

 


各教室、廊下、階段、玄関に作品が展示されて、すべて紹介できないのが残念ですけれど、小さな町の美術館、とても素晴らしかったですよ。


この美術館には大勢のボランテアが携わりました。私も受付と喫茶室の抹茶を担当しました。
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