稲刈り

今年(平成22年)は連日の猛暑日で、家に籠もって針仕事などしながら、
ひたすら暑さに耐えています。けれど、どんなに気温の高い夏でも、自然界
は一歩一歩秋に向かっています。周囲の田んぼの稲はたわわに実り、刈
入れの時期を迎えていました。
八月の中旬、いよいよ早生稲の収穫が始まりました。稲刈機の音が響き
渡ります。今年の出来具合は良いようです。
兼業農家がほとんどなので、土曜、日曜はあちこちで機械を操縦していま
す。
現在の稲刈機は、刈るだけではなく、脱穀をして、籾殻(もみがら)まで取る
優れものだそうです。
藁(わら)は十センチほどに切って、田んぼに散らしてあります。
ずいぶん進歩した機械が登場して、農家の人手不足を助けています。
ただ、値段が高いのでしょう。機械のローンのために働いているのだと嘆
いているのを耳にしたことがあります。
私の子どものころは、手で一株ずつ刈って、十株くらいを一束にまとめ、
藁で括っていました。それをハサに架けて乾燥させるのです。
最近はそんな情景を目にすることがなかったのですが、偶然、公民館の帰
りに見かけました。
田んぼを借りて昔ながらの米作りにこだわっておられるとのこと、頭が下が
りました。一株ごとノコギリ鎌で刈った不揃いな切り株は、なぜかぬくもりを
感じました。
もっと近寄ってカメラを向けたいと思ったのですが、野次馬根性を見透か
されそうな気がして、いえ、それよりも素人の私が、懸命に働いている人を
興味本位で被写体にしてはいけないと、遠慮しました。