ある休日
            福谷美奈子

 波音と椰子の葉音と重なりて聞こゆる島にひととき憩ふ

 去年逝きし友の歌集をとり出し幸せなる日の歌に安堵す

 やはらかきアスパラガスを朝切りて病む友の見舞い今日果さむ

 むし暑く空気湿れる梅雨空に土を満たししクレーン上がる

 休日の公園に若き父多し満ちたりし顔に幼と遊ぶ

 夕海の向こうに見ゆる公園に幼の乗りしシーソー上がる

 戦ひは互みに酷し英兵士の墓碑に彫られし年齢若く

 発動機の音を港に聞きをりて不思議にわれに活力の湧く

 製材の音緩慢に聞こえくるいつ来ても寂し海に沿う町