夕顔の花―十句
       山内美恵子

夕顔を垣根に這はせ源氏読む

初咲きの夕顔一点のくもりなき

夕顔は一輪なれど圧倒す

夕顔の儚きいのち天翔(あまがけ)る

夕顔は白き一夜の灯をともす

われ病めば庭も病みをり夕顔咲く

夕顔咲く浄土の師友の数なりき

夕顔は浄土の花よ師友の恩

夕顔は花をたたみていのち果つ

夕顔の一夜のいのち両の掌に