桜 草 ―十句―
       山内美恵子

花と絵をたつぷり充電上野の杜

花の象(ぞう)優しきまなこ深き襞

磨かれて救急車待機花の昼

花屑にまみれゐ園児口達者

メタセコイア芽吹きは天の果てまでも

一年生に声かけて一日始まれり

鶯(うぐいす)の声を恃みや万歩計

桜草ひとり子長閑に育ちけり

聖母月子の優しさもわが力

見るよりも育てる至福桜草