バトルテックとはなんぞや?



クルツ:「はじめまして、もしくは毎度あり。さて、ありがたいことに、というか、なぜかこのサイトの

     看板となった、通称『クルツシリーズ』の母体である『バトルテック』なるものについて、

     簡単に説明していこうと思う。解説役は、この俺、トマスン・クルツ。で、アシスタントに

     リオを加えて進めて行きたいと思う」

リオ:「なんか、いまさらじゃのぅ」

クルツ:「まあ、そう言うな。クルツシリーズがバトルテックを元にした作品である以上、フォロー

     なりサポートなりは避けられない課題だ。なにしろ、文字通り『知る人ぞ知る』といった

     作品だからな。中には、『バトルテックとはなんぞや』と思うお客さんもいることだろう。

     どれだけいるかは知らんが」

リオ:「その、いつも思うんじゃけど、『クルツシリーズ』って、ホンマなんのひねりもないのぅ」

クルツ:「うるさいよ」

リオ:「なんか今の言い方、ゴリラっぽかったけん」

クルツ:「あのな、お前。まあそれはともかくだな、そもそも『バトルテック』というものがなんなの

     か、まずはここからせめていこうと思う」

リオ:「名前からして、なんか戦いそうな感じゃけぇね」

クルツ:「そうだな、バトルテック、本家本元のつづりじゃ『BattleTech』となるわけなんだが」

リオ:「ばとるてっち?」

クルツ:「ちゃんと勉強してんのかお前は、ハナヱさんとこで遊んでるだけなんじゃないだろう

     な?」

リオ:「軽い冗談じゃけん」

クルツ:「まあ、それはいいとして。『BattleTech』だが、直訳すると『戦い技術者』となって非常

     に変なわけなんだが、これは『戦いの技術』ひいては『戦闘技巧』とイメージしてもいいだ

     ろうな。まあ、それはともかくとして、バトルテックというのは、もともとはアメリカのゲーム

     メーカー、『FASA』ってところが製作した、近未来、といっても、一番近くて西暦2400年

     代くらいなんだが、その世界を舞台にした、この世界における究極の陸戦兵器である

     戦闘ロボット、『バトルメック』の戦闘をプレイするウォー・シミュレーションゲームになる」

リオ:「他にもいろいろシリーズがあるみたいじゃけど、この呼び方が一番の看板になるんじゃ

    ろ?」

クルツ:「だいたいそうなるな、派生作品については、ここでいちいち説明したらえらいことになる

     から今回は割愛するとして、件のバトルテックなんだが、物自体は1984年に登場した

     ボードゲームだ」

リオ:「ボードゲーム?」

クルツ:「要するに、マス割されたボードがあって、これがゲームフィールドになる。そして、その

     上に、ゲームユニットになるコマをおいて、地形、距離、互いの位置関係を勘定した上

     で、サイコロを振って行動の成否を決めたりする。平たく言えば、そういった面倒ごとを

     すべてコンピューターが片付けてくれる今時の奴が『コンピューターゲーム』というのに

     対して、これらは『アナログゲーム』という位置づけになるというわけだな』

リオ:「でも、1984年って、だいぶ前じゃのぅ」

クルツ:「そうだな、あの当時は、コンピューターゲームがそろそろ発展しだしたころだが、ボード

     ゲームの人気はまだまだ主流気味だった。だからこその誕生背景ともいえるだろうな。

     ちなみに、1984年当時、管理人はゾイドにはまったそうだ。それはいいが、地元が超

     僻地を通り越した有様だったから、店で現物を見たことがなく、雑誌掲載のバトルストー

     リーを見て悶々としてたそうだ」

リオ:「そんなのどうでもええけん」

クルツ:「薄情な奴だね、お前は。で、だ。ボードゲームのバトルテックの話に戻るが、さっきも言

     ったように、ボードをフィールドにして、ユニットになるコマと、サイコロを用意する。バト

     ルテックでは、六角マス目で割った『ヘックスマップ』の上に、このゲームの主役でもある

     戦闘ロボ、『バトルメック』を現すコマを複数配置する。移動はユニットのステータス準

     拠、射撃等の行動の成否はサイコロ二個を振った出目で決まるって具合だ」

リオ:「でも、今はボードゲームだけじゃなくて、いろいろ出とるんじゃろ?」

クルツ:「そうだ、コンピューターゲームとしては、パソコンゲームが主流といっていいかもな。そ

     れと、最近じゃ、X−BOXでもコンシューマー化されている。ちなみに、X−BOX版は

     『メックアサルト』といって、メックフィギュアの抽選葉書がついていた。ダメモトで送った

     管理人は、忘れた頃に心当たりのないマイクロソフトからの郵便物が届き、本気でビビッ

     てしばらく放置していたそうだ」

リオ:「なんで?」

クルツ:「本当に忘れていたというのと、管理人は懸賞の名がつくものに一度も当たったためしが

     無い。そういった要素がいろいろ混ざって、ウルフ竜騎兵団仕様のクーガーは、二週間

     ばかり袋詰めのままになっていた」

リオ:「なんちゅうか、マヌケじゃのぅ」

クルツ:「俺もそう思うよ、あと、自分にも当たったということは、よほど応募数が少ない。ひいて

     は、相当売れなかったのだろう。とマイクロソフト的に大きなお世話な心配をしたらしい」

リオ:「ホンマに大きなお世話じゃのぅ」

クルツ:「まあ、管理人の益体も無い身の上話はともかく、このバトルテック、ゲームもそうだが、

     バトルメックの戦闘は質実剛健というか、そのスパルタンな描写が結構おもしろい」

リオ:「どんなふうに?」

クルツ:「バトルメック、面倒だからここからはメックと呼ぶが、メックの戦闘は、お互いにとにかく

     攻撃を喰らわせて、装甲といわず武装といわずぶっ壊す。ガワをぶっ壊し尽くしたら中

     枢機関、つまり内部フレーム等の構造材をぶっ壊す。という、泥仕合じみた打撃戦が基

     本となる。機動としては、とにかく走る、もしくは歩く。ジャンプジェットを装備していれば、

     上空へ飛び上がることも可能だが、空中でヒラヒラと方向転換とか、ジェットホバーで地

     上すれすれをロケットみたいにかっ飛ばすなんてことは、できないし概念にない」

リオ:「日本のロボットアニメとはぜんぜんちがうのぅ、ちっともスカッとしないけん」

クルツ:「だな、まあ、某モビノレスーツとかみたいに一発喰らったら風船みたいに破裂したりと

     か、どっかの自由極まりない奴みたいに、空力や重力を完全無視して空を自由自在に

     舞い踊るという、アイザック・ニュートンに真正面から喧嘩を売るような大型兵器ってのも

     一体どうよとは思うが、機体の持つ耐久力を前面に押し出した描写ってのは、なかなか

     面白い。ただ、頭にあるコクピットやエンジン、あと弾薬搭載スペースに直撃を喰らった

     場合、盛大に吹っ飛んでおしまい。という、素敵な仕様も用意されている」

リオ:「まるで戦車みたいじゃのぅ」

クルツ:「製作側のメックの概念がそれに近いらしいからな、本物の戦車乗りとか、軍隊経験者も

     結構スタッフにいるからな。だから、装甲及び機体強度、そして搭載限界量の概念がき

     ちんと存在しているのが楽しいな。あとは、装備や装甲のカスタマイズもできる。機種の

     クラスごとに搭載量が決まっているが、その範囲内なら配置を変更できる。ギリギリまで

     装甲を積み、武装は小口径レーザー一丁なんて馬鹿な仕様にすることもできる。もっと

     も、そんな真似をするのは、管理人ぐらいだろう」

リオ:「ホンマにそんなことやらかしたんか?」

クルツ:「実際にやったのは、(クラスター本部検閲により削除)数ターン持たずに木っ端微塵

     にされたわけだが」

リオ:「ホンマ、アホじゃのぅ・・・・・・」

クルツ:「まあ、そんな益体も無い昔話はともかく、ゲームにおいてのメックは、戦闘以外にもいろ

     いろ気をつけないとならないことはある。中でも、熱問題と足への被弾だ」

リオ:「熱?」

クルツ:「メックは動く時もそうだが、装備している武器を使っても熱が出る。ヒートシンクという装

     備で冷却することができるが、度を越すとそれが追いつかなくなる。ちなみに、メックの

     エンジンは核融合炉だ。オーバーヒートなんて生やさしいものじゃない、早い話がメルト

     ダウンってやつだ。そうなると、熱が溜まり過ぎて全システムが停止するのはもちろん、

     最悪自爆する」

リオ:「ぶちごっついのぅ・・・・・・」

クルツ:「まあ、熱はプレイヤーが気をつければいいだけの話だから、十分避けられる問題では

     あるが、足の被弾については、それはもう運任せ風任せだ。いずれにしても動きが止ま

     れば、あとは敵からフルボッコを喰らうだけだ。とにかく、ゲームにおいての戦闘は、相

     手の出方を読み、いかに相手よりいい位置をとるか、それにかかってくるってわけだ。

     敵の攻撃は、外れる弾はあっても、こちらから能動的に避けられるなんてことはまず無

     い。地形の効果を最大限に活用するのはもちろんだが、防御は装甲値と機体強度がす

     べてだ」

リオ:「で、それみんなサイコロ振ったり、シート書いたりしながら遊ぶわけなんか?」

クルツ:「そうだ、ボードゲームってのはそういうもんだからな。まあ、あれこれ話したわけなんだ

     が、『バトルテック』ってのは、そういうゲームから生まれたメディアだ。今じゃ、さっき言っ

     たみたいにコンピューターゲームもあるが、基本的なコンセプトはボードゲームを踏襲し

     ていると言っていい。本場アメリカじゃ、ムックや小説、テレビアニメと様々なメディアで展

     開している。管理人が、『夏色攻撃隊』なんて益体も無い呼び方をしている、(クラスター

    本部検閲により削除)」

リオ:「ぶち人気あるんじゃのぅ」

クルツ:「そうだな、バトルテックは、トランスフォーマーやロボテックと並んで、アメリカにおけるロボ

     ット物の代表作のひとつと言っていいだろうな」

リオ:「ロボテック?」

クルツ:「アメリカのハーモニーゴールドという会社がこしらえた・・・と言っていいんかね、ともかく、

     マクロスやモスピーダ、サザンクロスをまとめて佃煮にしたようなアニメだ。もちろん、版権

     はタツノコプロときちんと契約しているから問題は無い。ちと話が横道ったが、バトルテック

     は出版物や映像作品だけじゃなく、玩具やガレージキット、メタルフィギュアとかの立体商

     品の展開もしている。玩具といえば、管理人はせっかく譲り受けたビッグモデル・マッドキ

     ャットIIを、いまだにブリスターパックを開ける勇気を出せずにいて、今でも御神体同然に

     崇め奉っているそうだ」

リオ:「ホンマ、デズグラじゃのぅ。オモチャは、開けて遊んでなんぼじゃろ」

クルツ:「デズグラ・・・まあ、確かにチキンっちゃチキンなんだろうが、アメリカならともかく、日本じゃ

     まず手に入らないレアものだからな。せめて、ボックスパッケージだったらよかったんだろう

     けどな。気持ちはわからんでもないが」

リオ:「でも、日本じゃパッとせんのはなんでかのぅ。日本人って、三度のご飯よりロボットが好きなん

   じゃろ?」

クルツ:「理由はいろいろあるが、まあ、肝心のロボのデザインが、日本人的にあまりにもままならな

     さすぎた。ってのが致命的だったんだろうな。特に、最初期デザインのうち何点かは、あり

     とあらゆる意味で苦笑しかでてこないものも存在する。今じゃぼちぼちアップに耐える奴も

     出てきちゃいるが、それでも、70年代後半から80年代前半のテイスト気味で、味があると

     いえばあるんだがな。だが、それでやっていることは、第二次世界大戦の独露戦や、ユー

     ゴスラビア内戦も裸足で逃げ出す、血生臭さ満点のデスマッチだから恐れ入る。そのギャッ

     プが、大きいんだろうな」

リオ:「なんか、もったいない話じゃのぅ」

クルツ:「俺もそう思うけどな、まあ、日本人の目が肥えすぎてたってのが、一番大きいのかもしれな

     いな」

リオ:「じゃろね」

クルツ:「ただ、誤解して欲しくないのは、日本人の好みの水準に達していないのは、ヴィジュアル

     面だけだということだ。こと、SFというジャンルにおいて考えれば、これほど高度に世界を

     構築している作品も珍しい」

リオ:「どんなふうに?」

クルツ:「バトルテックは、ただ戦闘ロボが戦場でドンパチやらかすだけの作品じゃない。作中に

     は、現実世界と同じく、それぞれの主義主張をもった国家や組織が、確固とした世界観

     の元に存在している。そして、そのそれぞれの思惑が交差し、ぶつかり合うまさにその場

     所に、決戦兵器ともいえるバトルメックが存在するんだ」

リオ:「そういうの、群雄割拠って言うんじゃろ?」

クルツ:「そんな小難しいこと良く知ってるな、そう、そのとおりだ。バトルテックには、国家や組織が

     存在し、そして、そこに生きる人々は、生々しくさえ感じる意思と生命感をもって存在して

     いる。さっき群雄割拠って言ったが、古くは三国志、現代においては、スターウォーズや

     銀河英雄伝説、ファイブスターストーリーズとかと比べても少しも引けをとらない、実にハー

     ドな物語がある。さっき並べたこれらの作品が、日本において根強い人気を持ち続けてい

     ることは、いまさら言うまでもないだろう」

リオ:「そうじゃね、バトルテックに出てくる国ちゅうと・・・・・・ええと、ハナヱ姉ちゃんのおるドラコ連合

   に、クルツが昔おったコムスター、それと、ダヴィオン恒星連邦にライラ共和国、マーリック自

   由世界同盟・・・・・・」

クルツ:「そうだな、ちなみに、コムスターは国じゃなくて企業だぞ。まあ、企業っちゅうよりも、結社と

     言った方が正しいかもな。あと他にも、自由レイザルハーグ共和国、カペラ大連邦国なんて

     国家もある。そして、大国列強や大組織だけじゃない、辺境国家とひとくくりにされちゃいる

     が、小規模だが自国の生き残りと勢力拡大に血道を上げる国家も多数存在する。これらの

     世界は、中心領域勢力と呼ばれている。地球を離れた人類が、勢力を拡大して言った末に

     出来上がった、人類の新しい生存圏といったところだ」

リオ:「地球におさまりきらなくなったってわけなんか」

クルツ:「そういえるな、それと忘れてはならないのが、新たな勢力として台頭した、『氏族』がある。

     『クラン』とも呼ばれ、中心領域圏の遥か外宇宙からやってきた勢力だ。この、氏族の出現

     によって、中心領域に大きな衝撃を与え、良くも悪くもこれまでの姿勢の改革を余儀なくさ

     れたという状況にまで追い込んだ、極めて精強無比な勢力だ」

リオ:「いろんな考え方をしている所が、ぶちたくさん増えたけん、そいでますます宇宙が騒がしゅう

   なったわけなんじゃね」

クルツ:「そうだ、それぞれがそれぞれの正義と信念、思惑の元に生き、そして戦っている。だから、

     バトルテックはある意味群像劇ともいえるだろうな。明確な主役陣営、そして悪役陣営は存

     在しない。それぞれの主観と価値観で判断した数だけ、主役も、そして悪役も存在するん

     だ」

リオ:「でも、それじゃ誰を主人公にしたらええんかわからんね」

クルツ:「確かにな、よくある『共和国対帝国』とか『防衛軍対侵略軍』といった明確な二極化はな

     い。なにせ、バトルテック世界の国家が、王家を元にした立憲君主制、もしくは絶対君主制

     を敷く、ある意味全部帝国みたいなもんだ。安直な区分けができるわけがない。だが、『体

     制に腐敗あり、異端に道義あり』という、良くも悪くも善悪の基準がグレーになりつつある対

     立構造が流行りな今、受けない要素はないと思うんだが」

リオ:「でも、それってある程度いいもんわるもんが決まらんと、駄目なんと違うんか?」

クルツ:「そうだな、それに、バトルテックの世界観は、今現在の時点でだいぶ大きく、そして成熟し

     ている。それをいきなり全部理解しろというのは、ファンタしか飲めない中学生に、いきなり

     ブランデーを飲ませるようなもんだ。だから、最初はなんとなく琴線に触れた陣営を追い、

     そこから世界を広げていく。それが理想なんじゃないかと思う。現に、管理人は無類の猫好

     きなんだが、『キャット』というワードだけでノヴァキャット氏族陣営を、日本人であるという理

     由だけで、ドラコ連合という国家に注目し、それから色々と世界を膨らませていったらしい。

     あの管理人ですらできることだ、そんなに難しいことじゃないはずさ」

リオ:「そうじゃね、食わず嫌いじゃ、ホンマ、ぶちもったいないけん」

クルツ:「お前が言うとおり、確かにもったいない話ではある。(クラスター本部検閲により削除)」

リオ:「そうなんか?」

クルツ:「そうとも、(クラスター本部検閲により削除)」

リオ:「そんなら、バトルテックも映画とか作られればええのにのぅ」

クルツ:「実は、(クラスター本部検閲により削除)時間はかかっても、実現してくれると俺は信じて

     いる」

リオ:「なんだか、お願いばっかりになってきたのぅ」

クルツ:「しかたないだろう、さっきも言ったが、(クラスター本部検閲により削除)」

リオ:「そんなにひどかったんか?」

クルツ:「(クラスター本部検閲により削除)」

リオ:「うーん、なんとかならんもんかのぅ」

クルツ:「今の時点では、脳内補完しか手段が無いのも確かだが、その労力に見合う価値がある作

     品だと俺は思うぞ」

リオ:「じゃね、こうなったら、みんなで脳内補完計画じゃ」

クルツ:「なんか微妙かつデンジャーな言い方だが、公式Webサイトのアートギャラリーは、スターウォ

     ーズもかくやというくらいの壮大美麗な力作が揃っている。どれも泥土と鉄の匂いが漂い、

     日本のロボット物のようにプラスチッククリーンなイメージというわけにもいかないが、そもそ

     も、それこそがバトルテックだ」

リオ:「兵器なんじゃけん、泥と鉄の匂いがするっちゅうことは、ほめ言葉じゃと思うけん」

クルツ:「そうだな、そして、国家の思惑とは関係なしに、戦場に立たざるを得ない、あるいは、己が

     信じる何かのために戦場に立つ。そんな兵士の気分に浸れることは十分に保証できる、そ

     ういったところだな」

リオ:「じゃね」