ノジギク ー 野路菊 

六甲山系  のじぎく探索記U

 ー 北六甲(北神戸)に のじぎく は存在するのか?
 − 南六甲の実情は?

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のじぎく
当サイトでは兵庫県神戸市での野路菊の探索を行っています。

兵庫県は西日本に自生する のじぎく(野路菊) という名前の野菊の日本での 東の端および北の端 に当たります。

ノジギクとは? ノジギクの育て方  等については別のページを作成しています。
<ノジギクの見分け方 育て方>← click  

県内の主な自生地は 県西部の播州の姫路を中心とした地域とされていますが 神戸の六甲山系にも僅かながら自生するのではないかといわれています。
姫路地区と六甲山系とはかなり離れ 生態系に違いがあるはずなので兵庫県のノジギクは二系統に分けるのが妥当ではないでしょうか。
(1) 県西部の姫路を中心とする播州地区の のじぎく
(2) 神戸の六甲山系周辺の のじぎ (もし僅かでも自生がある場合ですが)

なお 淡路島での状況は分からないので今回は省いています。

 <註>  ノジギクは同じ地域内でさえも変異の多い野菊ですが。
播州姫路地区のものと神戸六甲山系のものとでは 葉の形に違いがあります。   3裂5裂するのは同じですが姫路地区のものに比べると 神戸地区の葉はやや丸み を帯びたものが多い という違いがあるため 両者を区別する必要があるのは明らかです。    神戸のものは六甲山系の地域変種として ロッコウノジギク とでも呼んだらいいかもしれませんね。
<*>
但しノジギクは 本州西部 四国 九州などに少しずつ形態を違えながら広く自生するものであり 姫路地区のものを  ノジギクの標準  とすることは できません。  ですから自生地全体からみれば 姫路地区のものも 地方変種の一つ と考えられるのですが・・・。 

播州系統の野路菊は自治体や住民によって大切に守られて繁栄し見事な大群落を形成しています。  減少や絶滅の危惧など全くありません。 

一方 神戸の六甲山系の野路菊は かって僅かに自生していたがその後は消滅したという方々が多いようです。    しかし六甲山系はもし僅かでも自生があれば 日本でのノジギク自生の 東端及び北端 という重要な意味があります。   そして その東端及び北端は
     神戸市東灘区の住吉川上流あたり
と主張する方々が多いようです。   しかし十分調査が行われたものではなく 風聞によるもののようです。

北六甲での野路菊探索

しかしもっと北の六甲山を超えた北側に ”野路菊に似た野菊” が存在すること気付き 2010年11月初旬 2011年11月初旬 にかけ 調査してみることにしました。

手始めに北区の 「神鉄六甲駅」近くに自生する ”野路菊に似た野菊” (左の写真) のサンプルを野路菊展の開催されている姫路の植物園に持ち込み 鑑定を依頼しました。    ノ ジギクに詳しい方から ノジギクです という確認を得ました。 
これで北六甲に ノジギクが存在することが確認されたわけです。

一旦そうなると北六甲地域には大群落こそありませんが 分散的ながら小群落がなりあることが分かってきました。     なおイエギクとの交雑の可能性のあるもの 明らかによそから移植されたもの などは対象を外しています。

存在する例として北区内では 唐櫃地区のほか 北鈴蘭台および鈴蘭台の一部地区  大池地区 山の街地区(駅近辺)  花山地区などです。
下は神戸市北区の鈴蘭台。  末広稲荷神社近く。(鈴蘭台北町1丁目) 

ノコンギクなどと共生しながらの注目すべき小群落。
この近所には他に 末広稲荷社を含め もっと小さな群落が2−3あり 住民から守られているのかもしれません。
鈴蘭台東町1丁目の モータープールの入口付近でも 10ー20株の美しい群落を確認しました。


下は北区西大池 市営西大池住宅あたりの例です。


また 北区星和台 小部 の例です。
のじぎく

北区 甲栄台と泉台とをむすぶ陸橋付近です。 ↓
のじぎく のじぎく

北区山田町福地  県道428 福地トンネル 入り口両側に小さな群落があります。


北区ひよどり台にも自生店があるという情報がありましたがうまく確認できませんでした。

また 兵庫区鵯越 長田区丸山 にはかなりの群落を見つけました。


こうした地区は宅地ではありますが 土地の起伏が多いので半端な空き地があるのが幸いして 自生していたものが生き残ってきたとみられます。

長田区鹿松町

情報をよせられる方があり  長田区鹿松町付近の シシケ池へ向かう道 老人フォーム「長田すみれ園}前の崖などを中心に 小群落がかなりな数で存在してしているのを確認しました。 長田区の山より地区は注目すべき地区です。

有馬温泉地区では有馬街道ぞいの有馬入り口あたりに幾つか小群落があるのを 見つけました。  龍泉閣/有馬離宮 入口付近に100−200株が雑草的に生えてます。 
  のじぎく のじぎく
また湯山稲荷神社近くにも 花びら(舌状花)が12−3枚のやや原始的な形状のものが少数存在しています。
なお 有馬地区より東では全く見つからず 分布限界点地区というものを感じました。

調査現時点での最北端の自生は 北区唐櫃地区の 「多聞寺」の近辺 です。
このあたりは 上唐櫃地区 ともいいますが地区全体として野路菊の日本での北限というべきで 多聞寺はその目印ということになります。  
多聞寺とは?  ← click

恐らく日本北限と思われる野路菊の写真を添えます。  またこの付近では キバナノジギクのみ20株ほどの注目すべき自生点 も見つかっています。 
↓日本で最も北に咲くノジギクと思われるもの。 「多聞寺」やや南
のじぎく のじぎく
野路菊

← 北限のキバナノジギク
「多聞寺」やや南。  阪急/神鉄バス車庫入り口付近。 
クズなどに囲まれながら懸命に咲いていました。   発見後まわりを整備するなど保護を講じました。
現在は20株ほどが 草丈1メートル近くにも達する元気な群落になっています。 
これより北にキバナノジギクは目撃されておらず これらがキバナとしての日本の北限のものに相違ないと 考えられます。
野路菊
なお やや近くには白花のかなり原始的な形体のように見える小群落もありました。
ただし日照の加減による変異かもしれません。







神戸電鉄線路沿いに小群落が点在>
意外な盲点は神戸電鉄の線路ぞいにありました。   線路にそった崖や土手 のり面などに小さな群落が少なからずあることが分かりました。
「箕谷」駅 − 「長田」駅 の間に点在します。
特に「丸山」 「鵯越」駅周辺に注目すべき群落があります。

下は神戸電鉄の線路沿いに自生点が生き残っている一例
野路菊 野路菊
線路に下りるわけにもいかず 一部を望遠レンズで無理やりに写しました。

「鵯越」駅近くです 。  線路側からしか見えないので 伐採を免れて生き延びてきたとみられます。
「丸山」 駅近辺では上記の10倍以上の群落が線路側に2-3箇所あります。 (神鉄さんの許可を得て線路に降りて少し歩かない限り撮影不可能)。

神鉄「長田」駅の下の のり面のものは撮影できました。
ノジギク ノジギク

たまたまそうなったとしても 神戸電鉄の路線がノジギクの伐採を防いで保護する大きな役割を果たしてきたことになります。

北六甲全般には少数ながら リュウノウギク の自生もあります。 
ノジギクの近くにある場合はノジギクに圧倒されているようです。 

野路菊は潮風の影響を好み 海岸から数キロ以内しか生育しない という主張があるようですが 必ずしもそうではないこと が分かりました。   潮風のない内陸部の北六甲でも元気に生育しているからです。

とりあえずは六甲山系のノジギクは分散的ながら 合計するとかなり存在することが分かりました。

しかし 手厚く保護されている播州姫路の野路菊と大きく違って 六甲山系の野路菊 については人々の関心は薄く ろくに調査もされたこともなく 誰にも保護されていないのです。
そして この素晴らしい野菊を雑草としか見ない人達によって伐採が進み どの自生点も絶滅の危機におかれています。  生命力旺盛な野菊ですから 伐採以外に絶滅の原因はないのです。

六甲山系のノジギクは 「自生している」 というものではなく どの地点でも かろうじて「生き残っている」 と表現すべきでしょう。

注目されることもなく ただ伐採に追われながらも 懸命に命をつなぎ 凛として美しく咲いている姿 には感動を覚えるばかりでした。

 


≪追記≫
六甲山南側 (神戸市東灘区 灘区) での探索。

<*>
「六甲ケーブル下」駅 の近辺でノジギクの群落を発見!!!
明治40年に牧野博士(又は 山鳥吉五郎氏)が兵庫県で初めてのじぎくを発見された故事をふまえて探索をしてみました。
六甲ケーブル下駅から直線距離で北東約300メートルの地点の道路わきで見つけることが出来ました。  (六甲台翠光園奥。 油コブシ台へ向かう登山道の入り口のような所)。
キバナ数株を含め かなり大振りな株が数十株ほど元気に自生していました。   
今は生き残っているものの 雑草と見なす人達に伐採されてしまうのが心配されます。  
六甲ケーブル下駅近くのノジギク小群落 ↓
六甲ケーブル近く 六甲ケーブル近く


なお その他地域の 南六甲(南神戸)のノジギク探索は別ブログとして作成しています。
→ 南六甲ノジギク探索紀


なお現時点での日本のノジギク自生の東限は
神戸市東灘区岡本付近  (八幡谷あたり 住吉川東約1キロ) 
又は神戸市北区 有馬温泉地区   

どちらも自生が確認されているので 地理的にどちらが東寄りか によります。

北限は
神戸市北区 上唐櫃地区 「多聞寺」付近<
又は
神戸市北区 有馬温泉地区   

同じく自生が確認されており地理的にどちらが北寄りかによります。

そうすると ”有馬温泉地区” は注目すべき自生点になりますね。



ノジギク <補1>
六甲山及び六甲山系では 400メートル以上の高所では気温が低いため生育の可能性はほとんどありません。    ですから六甲山系南面でも 高度の低いふもとあたりを開花期にノジギクに特化して 調査すれば少なからず見つかるのではないでしょうか。
六甲山上など高所で見つかった場合は 人為的に植えられたもの ないし良く似たリュウノウギクと思われます。    (六甲山上でリュウノウギクの自生は確認ずみです)。

<補2>
イエギクとの交雑はさほどおきるものでしょうか?
ノジギクは ハナアブという昆虫などにより交雑がおきやすいといわれます。 両者の染色体数が54なので交雑しやすいとも言われます。  分布が濃密な播州地区などではそうした昆虫が繁殖しやすく 交雑が起きる可能性はあるかも知れません。 
しかし 交雑などさほど起きるのか という疑問もあります。 
ノジギクには交雑したものが多い  という見解は誰か有力な研究者が唱えた説が 実情以上にオーバーに伝播し  十分な検証もされないまま多くの人達の意見になってしまっている とも考えられなくもありません。

交雑が起きるにはそれなりの環境がそろう必要があるはずです。
ハナアブなどの花粉媒介昆虫が活動が可能な範囲内にイエギクが存在すること。
さらにそのイエギクの形態がかなりノジギクに近いものであること。
が必要です。
膨大な数のノジギクが交雑するには膨大な数のイエギクの存在が必要なはずです。
しかしイエギクは人家 施設 寺や墓地 など人里近くの狭い範囲に存在が限られます。
さらに 昔はイエギクは限られた場所にしか栽培されない特殊で高級な花卉であり 一般に栽培が広まってからさほど年月が経っていません。

また 長年イエギクとノジギクをそばに寄せて栽培をしていても交雑はさほど多くおきていない ということも見逃せないポイントになります。

簡単にイエギクとの交雑が起きるのなら ノジギクの咲く山野は 色とりどり 大きさ様々 七重八重まちまち の交雑のじぎくが賑々しく咲き乱れる光景になってしまう のではないでしょうか?

またイエギクにもノジギクと交雑したものが大量に生まれることになり イエギクの起源についての説 にも多大な影響が出ることになるのではないでしょうか?
特にイエギクの起源は中国からのものでありノジギクに起源はない という説にこだわる人達の論理を危うくするということになります。

<補3>
のじぎくは 変異mutation を人為的に利用することにより イエギクの原種の一つとなったともいわれています。
人の関与しない自然界においても 地域により独自の変異や進化が起きている と推測してもおかしくありません。 
或る地域で 少し変わった形態のものが見つかっても 交雑natural crossbreeding によるものではなく 進化evolution なのかも知れません。 
    

ー − − − − − − − − 

なお 当ページのノジギク探索の内容につき 否定的な意見を述べられる方々があり 紹介しておきます。

<※>当サイトでノジギクと称するものは 播州姫路付近のものと比較すると 葉の形態に違いがあり 従ってノジギク ではないのではないか?
というものです。   また反対に
<※>神戸六甲山系のノジギクはほとんどが播州姫路から移植されたものである。
というものもあります。 
ノジギクの形態について相反するものであるところが興味深いところです。

姫路地域は野路菊の自生が日本では最も多いとされ また手厚く保護されているので ノジギクの本場 と言えます。
しかしノジギクは 形態を少しずつ違えながら四国 九州 南西諸島を含めた西日本各地に広く自生するものです。

全体から見れば姫路地域は自生地の一つであり 姫路地域固有の形態をもつものであり日本の ノジギクの標準  とまで 言えません。   ですから 姫路のものと形態が少し違うので ノジギクではない  とするのは正しい見解ではありません。
六甲山系のものはノジギクとしての特徴を総てそなえており その上でその気候風土にそった個性を持つものに進化を してきたものとするのが妥当です。

野路菊は非常に変異の多い野菊であり 数ある自生地のうちどの地域のものを 標準のノジギク とするのかは結論の 難しい問題です。 今日では 原種ノジギク or 原始ノジギク といえるものは消滅しているとも考えられます。


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ノジギク 野路菊にあまり詳しくない方は下記をご覧ください。
ノジギクとは? 見分け方。 育て方

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南六甲山系ノジギク探索記

神戸市のノジギク探索メモ (筆者メモ用)

ノジギクの分布など

有馬温泉  ノジギク自生の北限か?

秋の野草いろいろ 

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筆者 profile:
貿易関係のビジネスマンを退職後 イラストレーター。
かたわら市井の野草研究家。

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