平成28年 問題1〜10

 
問題 1金属の腐食に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
 
(1)異なった2種類の金属が電解質溶液中で電気的に接触している場合、電極電位が高い金属が腐食される。
(2)流動する環境で物質や流体が衝突し、金属を消耗腐食させる現象をエロージョン・コロージョンという。
(3)フランジ継手のガスケット部や合わせ板、金属表面に付着した異物等において、局部的に起きるものをすき間腐食という。
(4)腐食反応は、電子の授受が関与する化学反応、すなわち電気化学反応として取り扱われている。

正答 ➠   
 異種金属接触腐食という。異なる種類の金属材料が電気的に接触して、相互に影響し合って生じる腐食現象で、電極電位が低い方が先に腐食する。
 これを応用したのがトタン板。亜鉛めっき層に傷が付いた場合、亜鉛が犠牲的に先に溶解し、下地の鉄部分の腐食速度が減少する(寿命が伸びる)。
 
 
問題 2管の圧力損失に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
 
(1)管の断面積が急に広くなる場合は、急拡大部で渦ができてしまい、圧力的には大きな損失が発生する。
(2)管の断面積が緩やかに広くなる場合は渦ができないため、流れは壁面に沿って流れる。
(3)流れの方向を変化させるために管を曲げると、管内部の流体粒子に遠心力が働き、流速が速い場合には管内に渦が発生する。
(4)曲がり管内では、速度分布が不均一になるため、粘性による引張応力が大きくなる。

正答 ➠ 4  
 曲がり管部分では、粘性によるせん断応力が発生する。1〜3がすべて渦について書いているように、曲がり管内では渦が発生して、非常に複雑だ。
 水理学は普段から勉強することもないので、「捨ててもいい!」と思って望むのも手だ。


 
 
問題 3水質汚濁に係る環境基準において、人の健康の保護に関する環境基準の項目として、誤っているものは次のうちどれか。
 
(1)全シアン
(2)ジクロロメタン
(3)硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
(4)溶存酸素量

正答 ➠ 4  
 公共用水域の水質汚濁に係る環境基準は、①人の健康の保護、②生活環境の保全の二通りある。問題の①は、もっぱら毒物系で、シアン、カドミウム・・・・。溶存酸素は人の健康には無関係だから簡単に答える。
 
 
問題 4BOD除去率 90% 及びT-N除去率 60% の処理性能を有する浄化槽の放流水質として、最も適当なものは次のうちどれか。ただし、流入汚水のBOD濃度 180 mg/L、T-N濃度 50 mg/L、流入汚水量 200 L/(人・日)とする。
 
   BOD(mg/L)   T-N(mg/L)
(1)  20       25
(2)  20       20
(3)  18       20
(4)  10       10

正答 ➠ 3  
 BODなら、入が180mg/Lで90%除去だから18mg/Lが残る。T-Nなら、50mg/Lで入って60%除去だから20mg/Lが残る。この問題では流入汚水量200L/人・日は計算に使わないダミーの数値である。
 
 
問題 5電線の電圧降下に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
 
(1)電圧降下は、電線を流れる電流に比例する。
(2)電圧降下は、電線の断面積に比例する。
(3)電圧降下は、電線の抵抗率に比例する。
(4)電圧降下は、電線の長さに比例する。

正答 ➠ 2  
 断面積が大きくなれば(電線が太くなれば)電圧降下が大きく(抵抗が大きく)なる・・・なんてことは絶対にあり得ない。正しくは反比例。
 
 
問題 6コンクリート及び鉄筋コンクリートに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
 
(1)スランプを大きくすると、付着強度が低下する。
(2)かぶり厚さは、コンクリートの中性化による鉄筋の腐食に影響する。
(3)水セメント比が大きいほど、圧縮強度が大きい。
(4)コンクリートと鉄筋の線膨張率は、常温においてほぼ等しい。

正答 ➠ 3  
 水セメント比とは、水とセメントとの割合で、水量をw、セメント量をcとすると「w/c」の%値。分子の水が多いほど練り混ぜしやすく、打ち込みやすいけど、コンクリートの強度は低下する。
 建築用コンクリートでは水セメント比は50〜65%程度と憶えておく。
 
 
問題 7図に示す曲げモーメント図に対応する梁として、最も適当なものは次のうちどれか。
 



正答 ➠ 2  
 両端に反力が表れているから、これは「両端固定」だ。モーメントが曲線だから、これは「等分布荷重」だ。
 
 
問題 8「公共工事標準請負契約約款」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
 
(1)発注者は、受注者から請負代金の支払い請求があったとき、請求を受けた日から十四日以内に請負代金を支払わなければならない。
(2)設計図書を変更したため、請負代金額が三分の二以上減少したとき、受注者は、契約を解除することができる。
(3)受注者の解除権の行使により契約が解除された場合において、出来形部分を最小限度破壊して検査する際に直接要する費用は、受注者の負担とする。
(4)受注者が主任技術者または監理技術者を設置しなかったとき、発注者は、契約を解除することができる。

正答 ➠ 1  
 (検査及び引渡し)第三十一条 乙(受注者)は、工事を完成したときは、その旨を甲(発注者)に通知しなければならない。
             以下 略
 (請負代金の支払)第三十二条 乙は、前条第二項の検査に合格したときは、請負代金の支払を請求することができる。 甲は、前項の規定による請求があったときは、請求を受けた日から40日以内に請負代金を支払わなければならない。
 
 
問題 9ばっ気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
 
(1)ばっ気の目的には、微生物に対する酸素供給と槽内水の撹拌がある。
(2)空気中には、約21% の酸素が含まれる。
(3)ばっ気強度とは、単位容量当たりの空気供給量である。
(4)飽和溶存酸素濃度は、水温が高いほど高くなる。

正答 ➠ 4  
 飽和溶存酸素濃度は水温が低いと高くなる。サイダーを考えてみると、冷えている方が炭酸ガスが多く解けていて美味しい。
 
 
問題 10生活排水の好気性生物処理における食物連鎖の順序として、最も適当なものは次のうちどれか。
 
(1)有機物質 → 細 菌    → 原生動物   → 微小後生動物
(2)有機物質 → 原生動物   → 細 菌    → 微小後生動物
(3)有機物質 → 微小後生動物 → 原生動物   → 細 菌
(4)有機物質 → 細 菌    → 微小後生動物 → 原生動物

正答 ➠ 1  
 まずは大きさで並べてみる。次に動物なら、言葉上で原生より後生の方が何となく高等に思える、それでいい。