ハイテクツアーインヨーロッパ
カタール航空が49,800円のチケットを売り出したので、ヨーロッパでも日本人があまり行かない国ということでウクライナに行くことにした。ドーハ乗換えでヨーロッパのドイツへ、さらに列車か飛行機でウクライナに入る。行きはベルリン、帰りはイスタンブールのオープンジョーとした。列車ではドイツ、ポーランドを経由して丸1日でキエフに着く。DBというドイツ国鉄のHPで切符が買えることになっているが、この区間は遠すぎて不可能だ。ドイツで買うか、ポーランドで買うかしかない。441列車が直通であり寝台車のみである。もし寝台予約が現地で取れないと時間、ホテル代が余分にかかる。ドイツからの列車賃は安くはない。確実に席を取るなら飛行機だ。ルフトハンザなんか使うと目の玉が飛び出るほど高い。インターネットにて探してみる。エアーバルチックがベルリン、リガ(ラトビア)、キエフのチケットをオンラインで18,000円で売っている。購入手続きをパソコンで処理し予約確認書をプリントアウトする。今回の訪問国は次のとおり。

ラトビア ウクライナ ルーマニア トルコ
首都 リガ キエフ ブカレスト イスタンブール
面積(対日本)
通貨 ラッツ180円 グリブナ13円 ロン30 リラ65円
訪問地 リガ キエフ、ヤルタ、リビウ ブカレスト イスタンブール
交通手段 飛行機、バス 飛行機、列車、バス、メトロ 列車、バス 列車、メトロ、トラム

ウクライナは日本の1.6倍ある広大な国だ。バスより列車がよい。値段が安いし、長距離はすべてが寝台だからだ。キエフ−シンフェロポリ1,174km、15時間、シンフェロポリ−リビウ1,570km、24時間、リビウ−チェルノウイッツイ300km、7時間である。チケットの購入が大仕事だ。現地購入は能率が悪い。おそらく席はないだろう。ウクライナの列車は切符がないと乗れない。ぜひ日本出発前に切符の手配を済ませたい。インターネットにアクセスする。Solo East Travelがヒットした。申し込んでみる。早速返事が来た。2等寝台クペーがそれぞれ35ドル、35ドル、20ドル信じられない安さだ。手数料は30ドル。問題はチケットの受け取りだ。キエフポリスボリ空港での迎え及びホテルへの送りで40ドル、国際宅急便で80ドル、ホテルでの受け取りで10ドルである。勿論ホテルでの受け取りを伝える。スケジュールの作成に取り掛かる。エージェントに正確に伝えないといけない。トーマスクックの時刻表と首っ引きである。キエフ、ヤルタ、リビウで1泊づつ、列車で1泊づつ、ウクライナ6泊7日のスケジュールができた。キエフのホテルはエージェントに依頼する。鉄道駅から近く、50ドルくらいという条件をつけておいた。チェルノウィッイからルーマニアのスチャバまでの列車切符も依頼したが、100ドルといわれ拒否した。100kmぐらいだから20ドルもあれば充分だ。次は払い込みだ。クレジットカードで個人情報を入れる。携帯の番号を入れねばならない。auの番号を入れるとパスワードをくれるはずだが、上手くいかない。SMSメッセージ機能のあるドコモ、ソフトバンクなら対応できるということが分かった。やっとのことでパスワードを獲得した。ウクライナと日本では6時間の時差があり、結構時間がかかる。やっと支払が終わったようである。エージェントの返事待ちである。メール、スカイプを使って何回もエージェントとやり取りする。金を払ったのにネコババということもある。結構疲れる。やっとのことで返事があり、切符とホテルのインボイスを送ってきた。これで準備は完了。旅は段取りが肝心。現地で待ちぼうけを食らわないようにするためならこれくらいは辛抱しなければなるまい。

2009/5/26 関空、ドーハ、ベルリン、リガ
関空からドーハへ0:20に出発。西へ向かうので時間の経過は遅い。すぐ機内食が出る。定員の半分の乗客。ドーハには定刻の5:30に到着。殆どの客は乗換えだ。待合室のドリンク、食料は高い。機内食の残りを食う。ベルリン行きは8:00、しかし7:00に集合がかかる。ゲートを通過してカンカン照りの待合室に通される。7:45にやっと搭乗できた。コックピットは開いたまま。8:00にベルト着用のサインが出た。エプロンから滑走路に進む。ところがエンジンを止めてしまった。8:30にやっと離陸した。ベルリンでの乗りかえが気になる。眼下は砂、石の褐色の世界。サウジ、ヨルダン、シリアを飛んでいるようだ。大きな湖、否海が見える。黒海だ。トルコをすぎてバルカン半島に入る。天気はよい。機内食が出る。緑が増えてきた。中央ヨーロッパに入る。ベルリン到着時刻が気になる。ほぼ定刻どおり運行しているようだ。ポーランドのポズナム、ワルシャワの表示が出る。ベルリンのマークが地図に出るがなかなか近づかない。ベルト着用のサインが出た。アラビア語、英語、ドイツ語、のアナウンスが流れる。雨が窓にかかる。コンクリート、レンガの建物が雨にかすんでいる。大きな道路、緑豊かな大地、すいすいと走る車が眼下にくっきり。脚がゴトンという音とともに出た。13:30にテーゲル空港に到着した。5分遅れだ。日本から20時間のフライトだ。蛇腹が伸びる。空港は雨、職員は長袖を着ている。寒そうだ。 Aターミナルに着いた。パスポートコントロールがある。エアーバルチックは14:45発だ。Cターミナルから出発だ。14:00にチェックインできだ。やれやれ。やがて雨の中タラップをあがる。生きている間にもうのることはないエアーバルチック。定員の半分で出発。機内サービスは一切ない。その代わり機内販売はある。1時間半のフライトの後17:15にラトビアのリガに到着。時差は1時間ある。両替はドル、ユーロのみ。ウクライナのグリブナはダメ。ということはラトビアのラッツはウクライナでは両替できないことになる。このことが肝心。余分な外貨は紙くず同然。ためしに20ユーロ両替する。14ラッツ。手数料が0.7ラッツ。ずいぶん取る。パスポートコントロールはない。外は抜けるような青空。バス代は0.5ラッツ。ドライバーに支払う。国道、住宅街を抜けて大きな川を渡る。映画館の前に着く。18:00になっているのにずいぶん明るい。乗り継ぎのためだけのリガの町、ベッドさえあればよい。 Riga Old Town Hostel 7ラッツのドーミトリ。10個のベッドがある。シャワー、トイレがある。早速散歩する。鉄道ガードを抜けるとバスターミナル、中央市場がある。20:00になっているので市場はしまっている。トラムが走っており、レトロな感じがする。21:00にホステル近くのレストランで夕食。完璧な英語を話す超グラマーな女主人が勧める網焼き豚肉セットを食う。フライドポテト、サラダが肉とともに1皿に盛ってある。4ラッツ。味は悪くない。スープがないからビールを飲む。
本日の出費12ラッツ

2009/5/27 リガ、キエフ
7時起床。ホステルの扉に物騒な張り紙がある。いわくリガは安全な町だが、すりには気をつけろ。鉄道ガードが危ない。市場に行くには通らざるを得ない。用心しよう。リガの町はコンパクトだ。ダウガバ川、ブラックヘッドの会館、聖ペテロ教会、リガ大聖堂、市庁舎広場が見所。飛行機は13:15だから10時半には町を出たい。3時間ばかりの観光だ。ガード下を通って市場へ。用心する。市場に安食堂がある。見本があるので黙って指差しすればよい。シャシリクという串焼きが旨い。濃厚なスープも注文する。パンは付いてくる。立ち食い。3.1ラッツ。おいしくておなかがいっぱいで大満足。露天があり果物がいっぱい。チェリーを買う。ガードを通ってホステルに帰ろう。ミネラルウオーターを手に持って。少し隙があったのかも。上着のポケットの小さいデジタルカメラに手が伸びてきた。幸いボタンがきっちりしてあった。おばさんが叫んだのですりは行ってしまった。一瞬の出来事。盗難はまぬかれたが、ヒヤッとした。どうしてカメラがあると分かるのか。彼女が飛んできて気をつけなければと忠告する。ズボンの上にシャツを出し、上着のボタンはきっちりとして、再び町に出る。外国人は不案内、金があるのでターゲットになりやすい。リガは中世の趣を残す、静かな石畳の町。一生暮らすのには向いていない。冬なんてどんなにつまらないか、退屈できっと死にそうになるだろう。10時半になり、空港行きのバスに乗り11時半に付いた。ロビーはにぎやかだ。パスポートコントロールがあり搭乗ゲートに行く。 EUから出るということでスタンプを押す。ラッツは使い果たした。搭乗案内により機内へ。今度は満席だ。18,000円でベルリンからキエフまで乗れる。インターネット様様だ。ベラルーシの上空を飛んでいる。緑一色、川があり、平野がある。山はなく、砂はない。ポリスボル空港までは1時間半のフライトだ。14:50に到着。時差はない。ルフトハンザ、ウクライナ、オーストリア航空が着く。パスポートコントロールがのろい。旧ソ連の名残か。出国カードにスタンプを押して返してくれる。両替はドル、ユーロのみ。ラッツはできない。グリブナに替える。手数料はない。タクシーが声を掛けるがバス乗り場に向かう。ところがキリル文字に変わっており読めない。案内嬢の下手な英語に教えてもらい、それらしきところに行くとバスがいる。時刻表はない。バグザールとバスの表示がキリル文字で出ている。ドライバーにザリズニーチニー・バグザール(鉄道駅)かと聞く。ダー(そうだ)と答えた。25グリブナをバス内で支払う。キエフは暑い。ぎらぎらする太陽の下、かなりなスピードで走る。16:00に駅に着く。Express Hotelを探す。バスは駅の裏に着いたようで少し混乱する。表に回ると仰山の人、露店が出てにぎやかだ。レストラン、銀行、両替商なんかが道中にある。タラスチェンコ大通りにホテルがあった。駅から迷わなければ10分だ。チェックインをするとエージェントからのチケットが届いている。3列車分のチケットがスケジュールどおり発券されている。部屋はシャワーのないシングルルーム、日本のビジネスホテルといったところ。街中のレストランに行く。ボルシチとビールで70グリブナ、意外と高い。駅前のファーストフードに腹を満たすために行く。おいしくないが値段はまあまあ。

ブラックヘッドの会館


リガ大聖堂

本日の出費7ラッツ。145グリブナ。

2009/5/28キエフ
朝食は豪華だ。チーズ、ハム、ベーコン、フルーツ、ミルク、ジュース、パン、コーヒなんでもある。バイキング形式。昼の分も詰め込んでおく。デザートも充実している。町歩きの目的地はペチェールスカ大修道院、ソフィア大聖堂、これを見ずに何しにキエフに来たのか。荷物を預けたら6グリブナを取られた。フロントにメトロのウニベルシテットを聞く。歩いて5分らしい。しばらくすると多くの人が出てきた。メトロ駅だ。1.7グリブナ、ジェトンを改札口に入れる。ターンスティールを押してエスカレータへ。モスクワのメトロと同じくものすごいスピードで奥深く降りていく。ホームに出る。壁に駅一覧があるので方向は間違わない。キリル文字にはなれないが何とか理解する。車両はぼろいが30秒ごとに来るのでダイヤなんてない。フレーシャーシク駅で降りる。地下通路をマイダン駅に向かう。御堂筋線から四つ橋線に向かう感じ。地上に出るとマイダーンネザリェージュノスチ(独立広場)がある。ガイドブックと同じ風景が現れる。ドニエプルホテルからバスが出ているらしい。フロントが在る。キエーボ・ペチェールスカ・ラーブラを聞く。こんな長い名前しんどい。礼を言ってバスに乗る。バスにキリル文字でキエーボ、、、と書いてある。1・5グリブナ。30分ほどで金ぴかのたまねぎが見えた。キエフ市民の憩いの場、子供、親子、アベック色々な人がいる。お土産屋もある。ロシア正教ウクライナ支部の総本山とのこと。たまねぎをいただいた建物は石造りの立派なものだ。仰山の建物があり迷子になりそう。証拠に写真をパチリ。ドニエプル川を望む高台に行く。地平線が見え、川がうねうね、金たまねぎ群がキラキラ。キエフ絶好調。洞窟がある。ローソクをもってミイラを見るのだ。立派な棺、衣装、きっと偉い人なんだろう。これでキエーボは終わり。ソフィア大聖堂に向かう。途中チェルノブイリ博物館を見たい。メトロのコントラクトバ・ブローシチャ駅に行く。博物館が見当たらぬ。花屋に飛び込んだらえらい別嬪が出てきた。彼女英語ができない。一生懸命説明してくれるが、結局わからずじまい。インテリおっさんを捕まえると連れて行ってくれた。館内はパソコン、映画で要領よく説明がなされている。発電所冷却パイプが破損し、放射能が飛散したらしい。甲状腺にヨードが沈着し子供に影響が出ているらしい。最後はソフィア大聖堂。壁に囲まれた敷地にある。建物は一つ、庭園がよく整備されている。15:30になった。列車は17:50発。そろそろホテルに帰らなくては。乗り遅れたらすべてがおじゃんになる。夕食を食いホテルでシャワーを浴び、駅に着いたのが20分前。ああしんど。列車名はSlavotich というんだそうだ。車掌が扉にいて切符をチェックしている。切符がなければ乗れない。コンパートメントは2段ベッドが2組、4人部屋だ。下段ベッドを取ってくれたエージェントの心配りが嬉しい。向かいは金髪の親子、上はサラリーマン、客層は悪くない。車掌が切符を取りにくる。降りるときに返してくれるのだ。中国の列車みたい。定刻に発車、5分ほどで市街地を抜ける。緑の畑、森を進む。かんかん照り。車内では上半身裸で歩いている人もいる。女の人はサンダル履き。給湯設備がありカップ麺なんか食っている。列車が駅に近づくとトイレに鍵がかかるので注意が必要だ。ウクライナ人の親子は別嬪だ。男も彫りが深い。骨格もしっかりしている。アジア人は見劣りする。こうなったら頭で勝負するしかない。乗車前にたらふく中華料理を食ったのがよかった。他の乗客は弁当らしきものを食っている。パンにバターなんかつけている。停車時間の長い駅があり、ビール、ミネラルウオーター、サンドイッチを買った。16グリブナ。 夜になり鍵を掛けて皆さん就寝

ペチェールスカ大修道院よりドニエプル河をみる


ソフィア大聖堂

本日の出費114グリブナ。

2009/5/29 ヤルタ
通路に人の動きがある。夜が明けたようだ。女の人が化粧を始める。シンフェロポリに8:54に到着予定。現在7時を過ぎている。車掌がトイレの鍵をかけた。サラリーマン風の男は高等裁判所の判事といっている。英語が少し話せる。16年やっているという。腐敗が蔓延しているという。お金が絡む事件が多いということ。定刻どおり列車が到着。みんな降りる。もの凄い荷物を持っている。ホームは1本、長い屋根のないやつだ。20両の車両の最後尾から延々と判事と歩く。地下道も陸橋もない。かんかん照りのなかひたすら歩く。ヤルタ行きの乗り合いタクシー乗り場に連れて行ってくれる。満員になり出発。20グリブナ。新フェローポリは政令都市でヤルタはちっぽけな港町。日本人は反対のイメージを持っていた。2車線の道をぶっとばす。トロリーバスは遅い。道に少し起伏がある。峠らしいところを超えたと思ったらいきなり海が出てきた。黒海だ。ウクライナは山が少ない。南部にカルパチア山脈がある。ここヤルタでは山がいきなり海に落ちている。真っ青な海と空の区別がつかない。クリミアの真珠だけのことがある。バスターミナルに着き全員降りた。オートバグザールと書いてある。ロシア語ではバグザールはターミナルのこと。ザリズニーチェ、レチノイ、が着けば鉄道ターミナル、ポートターミナルとなる。クバルチーラと書いたプラカードを持った宿の売込みがバスに集まってくる。誰も英語を話さない。グリブナ、ユーロ、ドルさまざまな値段を言う。どうやら1,500から2,000円ということがわかった。15ドルのおっさんに決めた。おっさんどんどんバッグも持って足早に歩いていく。取られたらかなわんから必死でついていく。10分で着いた。洗濯物が揺れてアットホームな感じ。庭を囲んで部屋が5つある。トイレ、キッチン、バス、アイロン、洗濯機、ベッドなんでもある。テレビも。キーを貰い、金を払うとおっさんは消えてしまった。バスタブに湯をいれ、洗濯機を回して干して一通り用事を済ませて、キッチンで湯を沸かして列車の食事の残りを食べる。バスセンターに向かい、リバーディア宮殿へ行くことにする。バス代は2グリブナ。デーリバーディア(リバーディアはどこですか)と聞きながら、宮殿に着く。白亜の建物で入場料は40グリブナ。米英ソの首脳が戦後処理を討議した場所だ。ルーズベルトの体調は最悪だったらしい。スターリンのペースで進んでみたい。チャーチルもそんなには長旅でなかったので元気だったようだ。黒海を見下ろす絶景のロケーションにある。その後チェホフの家に向かう。市内に出てバスを乗り換えていかねばならない。レーニン海岸通を何回も往復する。スパルタクというところが経由地である。ドライバーが家のまん前でおろしてくれた。入場料は25グリブナ。チェーホフの部屋、備品が展示してある。白いダーチャ(別荘)に行く。年配のおばさんが説明してくれる。観光を終え再びレーニン海岸通へ行く。港にはヨットがあり、山が海に落ちている。ヤルタはこれでおしまい。夕食は宿の近くのマーケットにしよう。肉、魚、野菜なんでもある。食堂で、ボルシチ、ペリメニ(丸い水餃子)を食う。別の食堂でシャシリク、ビールをオーダする。たまねぎスライス、パンは無料。キッチンで火が使えるので35グリブナで紅茶パック、パン、ミルクを買った。

ヤルタ会談


チェ-ホフ

本日の出費 227グリブナ 15ドル

2009/5/30 ヤルタ
列車は13:12にシンフェローポリを発車する。ヤルタからは2時間かかるから3時間前には宿を出なければ成らない。客引きのおっさんは9:30に来るといっていたが、8:40にわけのわからんおばはんが来た。キーを返せとのことらしい。時間が違うと追っ払った。今日の列車は24時間揺られるから、充分な食料を用意しなければならぬ。宿の近くの市場で買い物だ。ハム、ピクルス、パン、果物なんかは絶対必要だ。昼、晩、朝の3食分を買う。80グリブナ。安いと思う。宿に帰り、出発の準備をすると、おばはんが来た。キーを返す。バスターミナルから乗ったバンはもの凄い速度で飛ばす。1時間半で着いてしまった。鉄道駅に近づくにつれて、この町は大きな都市ということがわかってきた。ドニエプロペトロフスクに次ぐウクライナ3番目の都会だ。ソ連時代の名残か、駅は立派な建物だ。天井が高く圧倒される。コンコースもやたらでかい。キリル文字の電光掲示板があり、列車の表示とホームの番号を知らせている。ミネラルウオーター、ビールなんか重たいものを買い列車に入る。クペの4人部屋、私は下段のベッド、エージェントに感謝だ。この列車にはプラッカートニという3等寝台もあるが、貧乏旅行者のための車両であり問題外。かんかん照りの中、列車は定刻に発車。途中大きな駅に停車するたびに、売り子がペリメニなんかを見せる。ひるめしか晩飯かわからんうちに、同室の男が食いだした。こちらも食い始める。持ち込み食料が無かったら、きっと寂しい思いをし、お互いにきまずい雰囲気になるだろう。段取りが大切だ。何となく会話が始まる。ジャーナリストだという。地方版のタブロイド紙を週1回出版しているのだという。発行部数は1万ほど。お世辞かもしれないが、日本は大好きだという。ウクライナのエージェントのおかげで楽しい旅行ができているというと、嬉しそうにおっさんがうなづいている。バウチャー、時刻表、ガイドブックなんか見せてやると、多少は英語がわかるらしくお互いになんか言いあっている。ガイドブックは日本語だから、絵のみを見ている。一番若い男がチョコレートをくれた。私にはあげるものがない。キャンデーもくれる。私は意を決してチェリーをあげた。若い男とひげの男前は手を出さない。ジャーナリストが2房を食べた。人から貰うよりも勧めるほうが難しい。ドニエプルペドロフスクという駅をすぎると暗くなる。金属精錬所がある。ドニエプル河が流れている。大陸の川はスケールが違う。水を満々とたたえている。

ドニエプル河

本日の出費200グリブナ

2009/5/31 リビウ
一番年下の男が携帯でリビウの天気は雨だと調べてくれる。気温も低い。外は雨がやみ虹が出た。モーニングティーが飲みたい。給湯器があるのでリプトンで紅茶の出来上がり。ジャーナリストに紙コップとリプトンをあげる。おっさん大喜びで紅茶をすすっている。おっさん絵を描くのが好きらしく、10枚ほど見せてくれる。そのうち1枚を取り出して私にくれるという。おっさんたちはリビウの手前で下車するようだ。隣のコンパートメントの人にリビウ駅からホテルまでのバスに私を案内するように頼んだという。ありがたいことだ。ついでに携帯でホテルを呼び出し、行き方なんかを聞き出してくれた。3人とお別れの挨拶をして、列車は予定通り、14:07リビウ到着。若夫婦についていく。マルシュルートカという小型バスに乗る。ドライバーに日本のお客さんをホテルで下ろしてやってくれといってくれる。バス代1.5グリブナ。ロシアと同じく後ろの乗客の運賃を順々に前に手渡すシステムだ。今日は母親に連れられた子供が一生懸命にお金を運んでいる。ホテルに着き150グリブナを払う。部屋にはバスタブがある。お湯は出ない。冷たいシャワーを浴びる。外は曇天。寒そうだ。ヤルタが恋しい。リビウはウクライナの京都というらしい。リノック広場が見物の始まり。トラムを越え、商店を抜けると広場がある。薬局博物館で万病に効くという鉄ワインを求めるがないという。歴史博物館、民族博物館に行く。貴族の館らしい。家具、食器、装飾品なんかが語かだ。英語の説明がある。カーペットの床の保護のために、靴にビニールカバーを掛ける。夕食はガイドブックに従い、ファーストフードレストランに入る。ピザを食う。40グリブナ、あまりおいしいとはいえない。個人スーパーで食糧を買う。ハム、ビール、果物、パン、ニシンの塩漬けなど15グリブナ。ハムは日本よりおいしい。パンはすごいボリューム。雨が降って肌寒い
リノック広場
本日の出費 230グリブナ

2009/6/1 リビウ
ホテルにレストランがある。スープ、コーヒ、パンがでて15グリブナ。高い城砦へ行く。ビシーキーザーモクというんだそうな。丘を登ったところにあり、眺望がよい。限りない地平線、眼下に鉄道駅、大聖堂、リノック広場がある。帰る途中に露天がありトマトとハムを買う。ホテルで食いなおしだ。温かいお湯が出る。バスタブにいっぱい入れる。荷物をフロントに預ける。列車は23:30発だ。どのように過ごせばよいか。相変わらず寒い。武器庫に行く。世界から集めた人間殺戮器の数々。あきれてしまう。守衛が暇そうにして話しかけてくる。日本に行ったことがある、函館、横浜、神戸など。小学生が団体でいる。時間の経過が遅い。今度はリビウ1番のグランドホテルに行く。トイレを借りる。ロビーがあるがフロントの前で長居はできない。リビウホテルに戻る。ロビーがフロントと離れているのでありがたい。薄ら寒い館内でひたすら時間をつぶす。時々町へ出てカメラ店、パソコン店なんかを覘く。両替商は多い。ドル、ユーロ、ルーブルを取り扱っている。ルーマニアのロンはない。ということはルーマニアではグリブナが両替できないことになる。深夜の列車に乗る前に腹を満たすために、レストランに行く。ガイドブックに従う。ウバニスフツイというレストランだ。ウクライナの民族衣装の楽団が演奏している。ウエートレスも民族衣装だ。55グリブナで夕食を済ます。外は雨が降っている。20時になっている。ホテルに戻り荷物をとり駅へ行く。待合室は少し暖かい。浮浪者が眠りこけている。警官が追い出しにかかる。やっとのことで乗車の時間になり車内へ。コンパートメントは私1人、ウクライナの辺境に向かう。
高い城壁から見たリビウ市街

本日の出費200グリブナ

2009/6/2 チェルノフィツイ、スチャバ
チェルノフィツイ5:36着である。ルーマニアのスチャバへはブルガリアエキスプレスが7:04に発車する。外は雨で肌寒い。切符を求める。クックの時刻表では383列車となっているが、駅では59列車となっている。国境を越える列車はこれしかない。窓口で求める。175グリブナ、残ったグリブナとユーロで購入する。59列車はモスクワ始発のロシアの列車だ。雨の降る寒々としたホームを歩いて列車に乗り込む。ロシアの車掌が迎えてくれる。上半身裸だ。定刻に発車。まもなく国境に着き緑の制服のポリスが出国手続きをする。続いてルーマニアのポリスによる入国手続きがある。パスポートを示すだけ。スタンプを押して返してくれる。ロシアの列車には給湯器がある。紅茶を作る。ウクライナからの持ち込み食料をどんどん食う。車掌がスチャバだよと伝えにくる。12:00定刻着だ。駅前にバスが停車している。ロンに替えるため、ホテルに行く。英語のわかる女の子が1ユーロ4ロンだという。5ユーロ出すと28ロンくれる。計算ができないらしい。8ロンを返しておいた。バス代は1.5ロン。12月22日広場が中心らしい。人に聞くのも面倒だ。コンチネンタルホテルの看板が見えたので、適当に降りる。自然博物館にインフォメーションがある。男1人に女3人のオフィス。グロリアホテルに連絡を取ってもらう。大通りより少しはなれた閑静なホテル。シャワーつきのシングルルーム。近くのタコレストランに行く。別嬪さんが白いブラウスと紺のスカートで注文をとってくれる。スープ、ビフテキ、ビールで42ロン。スーパーに行き食料の買出しをする。ホテルに着くと雨が降り出した。冷たい雨だ。
ルーマニア地図

グロリアホテル

本日の出費 65ロン+200グリブナ

2009/6/3 スチャバ
修道院めぐりのツアーワゴンが到着した。2メートルはある大男がドライバーだ。ホテルの支払97ロンなり。ゲストハウスにたちより米人2人、ロシア人2をのせ出発。今晩の列車の切符を買うためにチケットセンターによる。ブカレストまで乗車券50ロン、寝台券40ロンである。修道院は40kmはなれている。途中馬車に合う。田舎道は緑が多い。スチェビツア修道院などの入場料の1館当たり3ロンは別に払う。フレスコ画が売りだ。キリスト、ヨゼフ、マリアが必ず出てくる。弟子、天使なんかもいる。保存状態はよい。ルーマニア屈指の観光地である。天国、地獄の絵が壁いっぱいに描いてある。途中ランチにレストランに立ち寄る。22ロンは別勘定だ。雨が降ったり、やんだり、薄ら寒い。気温は15度。小学生がいっぱいいる。見学が終わり17時にホテルに帰ってきた。列車は0:30発だ。リビウと同じ感じ。タコロコレストランで1時間を過ごす。もう行くところがない。スーパに行き食料の買出しだ。寒々とした鉄道駅でひたすら列車を待つ。食べ、飲みひたすら時間をつぶす。大きな駅ゆえ列車の本数は多い。通勤列車風だ。ルーマニアの冬は寒く−20度になるそうだ。初夏なのにスチャバは寒い、ブカレストは南にあるからもう少しましだろう。やっと列車が来た。ホームに屋根がない。雨が降っている。6人部屋のコンパートメントに入る。若い女の声がした。電気をつけてくれた。2人で夜を過ごすことになる。
スチェビツア修道院

本日の出費30ユーロ+234ロン

2009/6/4 ブカレスト
ブカレスト7:30定刻着。ソフィアかイスタンブ−ルかを決めねばならない。12:16発の463列車はソフィア着は21:30、5日リラの僧院を見て19:10発の491列車で6日8:19にイスタンブールに着く。このままイスタンブールに向かうと5日に着く。飛行機は6日の19:00である。リラはあきらめた。イスタンブールまでの切符を買う。乗車券170ロン、寝台券110ロン、21時間の列車の旅になる。トイレで洗顔、歯磨きなど用を済ます。列車は12:16発である。ブカレストは暖かい。タクシーに乗らないかと声がかかる。もうどこへも行くのはいやだ。ロンを使い果たすべく駅のレストランに入る。まずい食事だ。10ロン。駅のスーパで食料の買出しだ。昼、晩、朝の3食分になる。列車がホームに入る。寝台車1両、座席車2両のこじんまりとした編成だ。コンパートメントは1人占めだ。2時間で国境のギルギュウに着く。続いてドナウ川を越えてブルガリアのルセに着く。ゆっくり走り停車時間が長い。ブルガリアでは何も買わない。ブルガリアレバはトルコでは使えないからだ。国境のスビレングラードで出国、カピクレでトルコ入国手続きだ。トルコでは車外に出てスタンプを貰わねば成らぬ。
ブカレストノルド駅

本日の出費315ロン

2009/6/5イスタンブール
右側にマルマラ海が見える。車が多い。イスタンブールに近づくのを実感する。シルケジ駅には40分遅れで到着。828kmの列車のたびは終わった。インフォメーションで地図を貰い、22ユーロのホテルにチェックインする。9時から部屋が使えるのはありがたい。荷物を置き、着替えを済まし、シャワーを浴びて観光に出る。行き交う通行人、呼び込みの声、食べ物のにおい、イスタンブールはヨーロッパでなくアジアだ。ルーマニア、ウクライナは決して清潔ではなかったが、町の喧騒は無かった。トルコはモロッコ、インドの雰囲気を持っている。レストランに入る。ケバブ定食だ。ナン、サラダ、ポテト、がついて7.5リアル、通貨が変わり混乱してくる。ドルマハブチェ宮殿の入場料は20リアル。観光客でいっぱいだ。ボスポラス海峡が目の前、天気快晴、ぽかぽか陽気、誠に気持ちよい。ガラタ橋の上で投げ釣りをしている。鯵のようだ。
ドルマハブチェ

本日の出費47リアル+20ユーロ

2009/6/6 イスタンブール
ボスポラス海峡クルーズに出る。10リアル。1時間15分のコースである。ボスポラス大橋を抜け、メフメット大橋で折り返しである。その後モスク、グランドバザール、考古学博物館に行く。モスクは静かだが、バザールでは呼び込みがうるさく、博物館は石の展示物ばかりであった。スルタンアフメット付近は観光客であふれている。ギュルハーネル公園にはベンチがあり、小学生が遠足に来ている。トラムとメトロを乗り継いで3リアルで15時ごろに空港に着く。
本日の出費56リアル