LCCツアーインアンコールワット
海外旅行は一人で行くものだと決めて、その通りに実行してきたが、今回は嫁はんと一緒に行くことにした。最も旅行社主催のパッケージツアーには共同参加したことはある。オーダーメードの海外旅行で俺流のスタイルを通しつつ、パートナーにも少々気を使うことになる。飛行時間が適切で、日本語、英語、中国語が通じ、治安が安定し、食べ物がそこそこで、気候が良いという点では東南アジアが最適だ。日本からは腐るほどフライトがあるが、燃料チャージとか訳のわからん料金をふんだくられて、航空運賃は安くない。そこで今流行のLow Cost Carrier(格安航空会社)の出番となる。ジェットスターエアアジアが日本に就航している。ただ関西からはジェットスターしか使えない。航空行政に縛られてなかなか参入できないようだ。ヨーロッパではすでにLCCが飛び回っているというのに。エアアジアは台北まで来ているので、ジェットスターで関空からつなぐことにした。その後台北ークアラルンプール、クアラルンプールーシエムレアップ、ホーチミンーバンコック、バンコックー台北、台北ー関空の合計6ポーションのチケットとなる。料金は2人でそれぞれ13,500円、23,700円、8,800円、8,400円、16,686円、13,500円、合計84,586円となる。さすがこれだけ乗ってこの料金はLCC面目躍如足るものがある。足が決まったら、体を決めねばならない。つまりホテルである。予約なんてまったく不要と考える俺には、余計な仕事が増える。寝るところを探してキャリーバッグを引いて、嫁はんとうろうろできない。絶好のかもになる。ホテルは早いほど料金が安くなる。航空運賃と一緒だ。スケジュールの失敗は許されない。無駄な出費を嫌悪するのが俺流だからだ。綿密に練りに練って、クアラで1泊、シエムレアップで2泊、ホーチミンで2泊、台北で1泊にした。アゴダ楽天トラベルを使ってクレジットカード決済である。料金はそれぞれ5,400円、8,000円、7,000円、5,000円の合計25,400円である。いずれも朝食がついている。日本の旅館に比べたらどうということもない値段だ。旅の大口出費が段取りできたら楽勝だ。顎とタクシー代は現地決済だ。今回の訪問国の概要を示す。


                
マレーシア カンボジアベトナム 台湾
首都 クアラルンプール プノンペン ホーチミン 台北
移動手段 飛行機、メトロ、バス 飛行機、トクトク、バス 飛行機、バス、タクシー 飛行機、バス
通貨 リンギット30円 リエル1/40円 ドン 1/200円 元   2.7円

2010年10月28日 関空ー台北ークアラルンプール
ジェットスター関空発は17時で台北着は18時半、1時間の時差がある。キャリーリバッグは7kgまでは機内持ち込みできる。 チェックインが早かったので、俺はUCゴールドカードを使い金剛ラウンジでゆったり無料ドリンクをがぶ飲み、嫁はんは買い物にと時間をつぶす。最初の降機地はマレーシア、時刻は早朝の4時、おそらく銀行は営業していないだろう。日本で両替すべしと考え、1リンギット30円で当座の必要額を購入した。日本の銀行はがめつい商売はしてなく、納得できるレートである。やがて搭乗して座ると予想通り座席のピッチが狭い。要するに窮屈なのだ。ヨーロッパのLCCはもっと余裕があった。機内にはモニターテレビも飲食サービスもない。台北には予定通り到着。23時の出発まで5時間ほど待ちがある。台北桃園空港から市内まで40kmあり、バスで1時間かかる。空港から出るには時間が足りない。次の飛行機は夜行だからひたすら体を休めることに専念する。いすに座ったり、ぶらぶらしたり。腹が減ったので食事をする。物価の高い台湾では出費は避けたい。牛肉麺180元、豚骨麺160元で1,250円支払わされた。1元3.8円何たる暴利、正規レートは2.7円である。乗り継いだエアアジアは何もかも赤尽くめ、機内外、アテンダントの服しかり。客席は50%以下の搭乗率で心地よい。台湾のヤングが多い。真っ暗闇をジェット機は快飛行する。
本日の出費1,250円

2010年10月29日 クアラルンプール
予定時刻にクアラルンプールのLCCT(格安空港ターミナル)に到着後、入国検査を得て外に出る。銀行は営業していない。日本出国前にリンギットを手に入れておいた段取りに満足する。空港は市内から60kmほどあり、アクセスは多彩である。一番速いのはKLIAエキスプレス、ただし1,000円以上する。しかもKLIA(高級飛行機ターミナル)発車でLCCTから10kmも離れている。LCCTから発車するバスが良い。Sky、Citylinerなどバス会社は6時以後でないと便はなく、Aerobusが4時半から運行していることを事前に調べておいた。チケットカウンターでKLセントラルまで2人分16リンギットを支払う。バスまで5分ほど歩くが、意外と寒い。ベンチやコンクリート床で夜を過ごしている人もいる。飛行機の早朝乗り継ぎならこういう選択肢もある。寒い真っ暗闇をバスは発車する。きっちり1時間後にセントラルに到着、まだ暗い。とにかくキャリーバッグから開放されることが先決。幸いコインロッカーが見つかり、インフォメーションでコインに替えてもらい5リンギットを投入して、やっと身軽になれた。ここでの観光場所は、ペトロナスタワー、チャイナタウン、ムルデカ広場、国立モスクである。ペトロナスタワーへはLRTというメトロを使う。KLCCまで3.2リンギット、見学開始時間は9時で現在7時である。もう先客が10人ほどいる。暇人がいるものだ。以前は無料だったらしいが、今は一人10リンギットが必要だ。嫁はんと交代で並んで、おにぎり3リンギット、カフェオーレ4リンギットを購入してひたすら待つ。やがてポリスが来て整列させる。女の警官の帽子が面白い。マレーシアはイスラムの国、女性は髪の毛を見せてはならない。彼女はスカーフの上にチョコンとポリスの帽子を載せている。なかなか味わいのある姿だ。小学生の団体が来てえらいうるさくなってきた。女の子は皆スカーフをつけている。なんともかわいらしい。赤ん坊にスカーフを着せたらどうだろうか。そうすると男の赤ん坊にスカーフを着せる親も出てくるかもしれない。嫁はんに言わせるとマレーシアの女性はおしゃれなんだそうだ。スカーフは個性的で服に合わせて非常にカラフルであるとのこと。なるほど。パキスタン、エジプト、シリア、ヨルダンなんかでもスカーフを皆つけていたがおしゃれかどうかわからんかった。男の目というのは節穴だ。そもそもイスラムの国では見知らぬ女性に話しかけたら失礼だとどこかの本に書いてあった。イランなんかでは女の人に道を聞いたら、嫌がってあっちに行ってしまった。やがて時間が来て1番のグループでまずタワー展示館というところに入る。英語のビデオ説明で時間をつぶす。次に映写室に入りタワーができるまでの映像を見る。英語の説明だ。気分が盛り上がったところで高速エレベータにのりスカイブリッジまで上がる。なかなか心憎い演出だ。エレベータを降りてブリッジに案内される。透明な床、窓を通して下、上、左右の景色が見える。緑が多い清潔な都市だ。案内嬢が説明してくれる。タワー周辺はマレーシアの心臓部であるらしく、ホテル、会社、銀行など立派な建物が多い。高速道路も発達しており、躍進目覚しい新興国というイメージを感じる。見学を終えて下界に戻る。ツインタワーをつなぐビルにショッピングセンターがあり、伊勢丹、紀伊国屋が入っている。店を冷やかしてKLCC駅からPasar Seni駅に向かう。3.2リンギット。駅は高架になっており、降りてスルタン通りを北上して左折すると中華門がある。チャイナタウンである。冠記というワンタン麺屋を探す。日本人が来る店ですぐ教えてくれた。清潔とは言いがたいテーブルに焼きそば、ワンタンメンが出てきた。宣伝ほどではない。昼飯にはなった。9リンギット支払う。果物、魚、肉などを売る店がわんさかある。ランプータン、マンゴスチンを9リンギットで買う。セントラルマーケットを抜ける。みやげ物ばかりで庶民の生活感はない。ムルデカ広場に出る。緑の芝生の向こうに、英国調のクラシックなビルが見える。国立モスクに行く。金曜日ゆえ中には入れてくれないが、建物を外から観察する。クアラルンプール駅は見えるが歩く道がない。仕方なくもとの駅に戻り、KLセントラル駅まで2リンギット切符を買う。夜行便で着いて早朝から飛ばしたのでホテルを目指す。明日の飛行機は7時なので、アクセスの良いホテルを選ばねばならない。16リンギットでAerobusでLCCTに戻る。市内から高速道路をぶっ飛ばすので退屈しない。マレーシアが力をつけてきたのを実感する。1時間きっちりについた。目指すチューンホテルは歩いていける。エアアジアの経営する施設だ。四角の建物にきっちりと同じ部屋が無数に並んでいる。ツイン、シングル、スイート、ダブル、スーペリア、デラックスという分類はない。これほど寝ることに特化したホテルは世界遺産に指定してもよい。チェックインする際にデポジットと称して20リンギットを請求される。ほっといても客が来るので強気だ。部屋は寝るだけの設備、トイレ、シャワー、ハンガー、トイレットペーパがあり、テレビ、机、いす、クロゼット、タオルなどのアメニティがない。ベッドが部屋の80%を占めており通行するにも不便だ。ダブルベッドで本来2人泊まれるが、夜行できたのでいかにも窮屈だ。2部屋を予約しておいた。1人でちょうど快適だ。夕食に出かける。フードコートといってマレー、中華いろんな料理を注文して、セルフサービスで食べるようになっている。KFCもある。ラクサというマレー麺、ご飯、野菜、魚、カレー、スープ、ミロ、コーヒ、ケーキなんか食べる。まともな食事を朝から取っていないので、結構おいしい。スパイスが良く効いている。ミネラルウォーターなんかをいれて支払は33.9リンギット。ホテルに帰り朝5時半に目覚ましをセットして就寝。
本日の出費124.3リンギット

ムルデカ広場


2010年10月30日 クアラルンプールーシエムレアップーアンコールワット
エアアジアはオンラインチェックインができるので、搭乗券をパソコンで打ち出すことができる。チェックインの手間が省ける。6時にターミナルに行っても余裕。一般客が長蛇の列を成してチェックインをしている。出国手続きを済まして目的の飛行機に向かう。搭乗ゲートからなんと歩かされることか。KLIAの国内線乗り場まで歩いた。やっとこさ機内へ。定刻どおり出発、いよいよメーンのカンボジアへの旅立ちだ。しばらく海の上を飛ぶが、まもなく眼下に緑のじゅうたんが広がる。川があり、平野があり、道がある。大きな町も山もない。赤い大地が広がっている。水田と牛が見えてきたと思うと降下を始めた。2時間のフライトを経てシエムレアップ空港に定刻8時到着だ。1時間の時差がある。タラップを降りる。ローカル色豊かな空港だ。ターミナルビルは赤いレンガ色の屋根のお寺の雰囲気を持つきれいな建物。ビザ申請をする。20ドルのキャッシュ、この国の重要な財源。ビザ係が10人ばかり、こんなになんで人がいるんだろう。入国審査を終えると外に出る。町までのタクシーが待ち構えている。おっとどっこいこれに引っかからないこと。市内まで7ドルの暴利。とんでもない。日本にいるときにホテルのピックアップを聞いたら12ドルだという.むちゃくちゃだ。旅行者が知らないと思っている。こちとらはアンコール遺跡見物を控えているから、融通の利くトクトクが目的。キャリーバッグを引きずっていると、運ちゃんが仰山寄ってくる。外国人はおいしい客、彼らは生活がかかっている。人品卑しからぬ日本人男女の客は絶対においしいはず。彼らとの交渉が始まる。20ドルに対して15ドルというといやな顔をする。あまり値を下げると内容が悪くなるから、そこそこの値段でできるだけ多くを回ってもらうこととする。シエムレアップの町は頭に叩き込んであるから、順序だてて説明してゆく。旅行代理店のクロマーヤマトタラアンコールホテル、アンコールワット、アンコールトム、タブローム、プノンパケンを入れて18ドルで交渉成立。単品よりもパッケージのほうが双方に得だ。運ちゃんは1日職にありつけるし、こちらは交渉の手間が省けるというものだ。バイクに2人乗りの客席がついている。屋根にはシートがある。結構な速度を出す。風が心地よい。10分ほどで代理店到着。バスの切符を受け取るのだ。メールで万端だと思っていたが、後でホテルに届けるという返事。ホテルに向かう。チェックインは12時からだから、少し不安。10時前に着いてしまった。スタッフが出迎えてくれていやな顔もせず部屋に通してくれた。運ちゃんとは11時半に再会することにした。まもなく代理店の人が来てバスの切符を受け取る。56ドルを支払う。ホーチミンまでのチケットだ。メコンエキスプレスというバス会社に行って直接買い付ければ46ドルだが、行く手間と切符が入手できないリスクを考えると代理店を使うのが得策だ。安心して観光ができる手はずが整った。近くに飯屋があり焼き飯、ベトナムうどんを食べる。量があってなかなか美味い。6ドル支払う。この国ではドルが使えるので便利だ。トクトクのドライバーは時間通り到着。アンコールワットを目指す。完全舗装の道をチケットチェックポイントへ、1日券を20ドルで購入。西参道を通って第一回廊へ、レリーフ(浮き彫り)の壁を見ながら進む。戦争、地獄と天国の描写。よくも丁寧に彫ったものだ。回廊を出ると聖地があり、祠堂の全貌が見える。祠堂に向かう。中央塔を目指す。急な階段を上る。アンコールワットの全貌が見える。ハイライトだ。これで見学は終わり。アンコールトムは南大門から入る。バイヨンの前で降りる。観音菩薩の大きな顔がメーンエベント。全部で54個あるんだそうだ。ここでもレリーフがある。戦争の場面が多い。仏像もある。次に象のテラスへ。昔王様が象に乗ってテラスに出て拝謁したのだろう。次にパプーオン、ピミアナカスと進む。石にウンザリしてきた。さらにトクトクでパプーオンへ。大きな木の根っこが石の建造物に絡み付いている。いや侵食している。トムを出たら、夕日を見るためにプノンバケンへ。あいにく雨が降ってきた。キャンセルする。カンボジアは暑いと覚悟していたが、結構寒い。チャリに乗ったツーリストは雨に打たれて難儀している。あきらめてチャリ諸共トクトクに乗っているやつもいる。我々のトクトクに幌があるので助かる。運ちゃんは飛ばす。ホテルに5時前に着いた。明日はどうするかを聞いてきた。石はもう飽きたので18ドル払っておわり。今日はもう一つ仕事がある。夕食はバイヨン1でスパエクトーイという影絵を見て、アモックトレイという雷魚のココナツ煮を食べるのである。7時半から始まるので時間を気にする。ホテルから歩いていく。20分ほどで到着。日本人団体がおりだいぶ出来上がっている。まずアンコールビールを注文。やがて劇が始まる。伴奏はガムラン音楽に似ている。アモックトレイがやしの殻の器に入って出てくる。ウクライナでボルシチがパンをくりぬいた器に出てきたのを思い出した。そのときはパンを突っつきすぎて穴を開けてしまったが。やしは硬いので心配は要らない。味はそんなに印象がない。名物料理とはこんなもの。食べなかったら後悔する。嫁はんのチキンカレーのほうが美味だ。これもやしの器に入っている。劇が終わると給仕がテーブルの食器を片付け始めた。もう客が来ないのだろう。勘定は18.7ドル。帰りはトクトクを2ドルで捕まえてホテルへ。
本日の出費。180.7ドル。

アンコールトムのトクトク


2010年10月31日 シエムレアップ
ホテルの部屋から下を見る。赤い土の庭に鶏が遊んでいる。おばさんが洗濯物を干している。炊事の煙が昇っている。カンボジアのホテルと庶民の生活の強烈なコントラスト。朝食はバイキング。品数は多い。肉類は並の質、上等なのを出したら儲からない。フルーツ、サラダ、飲み物、パン、ヨーグルト、焼き飯なんでもある。世界中のホテルがおんなじメニュウだ。今日の1日の計画を立てる。この町はアンコールを除けば見るものは少ない。キリングフィールドを目指す。ガイドブックの通り歩く。旅行会社、食堂、マンションなどあって歩くと町の様子がよくわかる。ワットトゥメイという寺の敷地に慰霊塔があり、人骨が収められている。硝子越しに見る。仰山の頭蓋骨が良く見える。人間の頭は一枚岩でなく、4つの骨が縫合してできているのを理解した。眼球の穴も意外と大きい。脚、腕、胴などの骨はない。ポルポトの被害者だ。韓国人のツアーバスが止まっている。アンコールワットでも彼らを見た。境内で子供が遊んでいる。誰も靴を履いていない。手を出して何かくれというしぐさをする。あげない。一人に上げると際限がないからだ。喧嘩の強い奴が独り占めするに決まっている。頭蓋骨を勉強してホテルに帰ることにする。途中にこの町一番のメリディアンアンコールホテルがある。土産物屋なんかを冷やかす。ホテルに帰り休憩後オールドマーケットを目指す。トクトクで2ドル。外国人でにぎわっている。ガラクタから掘り出し物まで何でもある。嫁はんは女店員と遣り合っている。こちとらは興味がない。一番面白かったのは、店を持たないおばはんがマーケット内の通路に商品を並べていることだ。魚をぶった切ってうろこが飛び散っていたり、蟹がざるの中で遊んでいたり、雷魚がくねくねとたらいの中で泳いでいる。でっかい鯉がでんとまな板の上に乗っている。誠にエキサイティングだ。味噌もくそも一緒くたのマーケットの中に美容室、マニキュア屋がある。水はあるのだろうか。焼き飯、ラーメン屋もある。不潔という概念は思い浮かばない、ただただエネルギーが充満している。昼飯をすぎている。晩飯には早すぎるが、名物のチュナンダイで有名なスープドラゴンというレストランに入る。カセットコンロに鍋を載せる。しゃぶしゃぶの感じ。肉、きのこ、野菜、そばを煮てたれにつけて食べる。スープがおいしいらしいが、美美卯のうどんだしと変わらぬ。アンコールビールを飲みながら食う。暑くて汗が出る。2階の席なので下が見えて面白い。トクトクの呼び込み、ツーリストの群れ、酒の肴になる。満腹して13ドルを払う。マーケットの前はシェムレアップ川が流れている。粘土を含んだ褐色の水だ。トクトクを捕まえて1ドルでホテルに戻る。プールがあり客が泳いだり、本を読んでいる。時間が余っている。夕日を見れるところを探す。トンレサップ湖を目指す。10km以上ありそうだ。トクトクは8ドルで交渉成立。嫁はんの手柄。結構なスピードで飛ばし、町はすぐ抜けた。シェムレアップ川の川幅が広くなってきた。道沿いに家がある。壁はないに等しい。高床式だ。川が氾濫するのかも知れない。家をすぎると水をたたえた沼か水田か池が次々に現れる。30分ほどして河口についた。トンレサップ湖はもっと向こうにあり、船で行かねばならぬ。さてサンセットの時刻になるが、あいにく出発してから雲が多くなってきて、わずかに赤くなった空が見えるだけだ。太陽は雲の中だ。もと来た道を引き返す。民家に明かりが見える。しかし電灯はないようだ。テレビが見える。テレビが照明の役目をしているのだろうか。新聞は読んでいるのだろうか。本はあるのか。くだらんことを考えてしまう。猛スピードで飛ばしホテルに無事到着した。 明日は6時半にホテルを出なければならない。
本日の出費26ドル

慰霊塔の人骨


2010年11月1日 シエムレアップープノンペンーホーチミン
6時半にバスが迎えに来るので、朝食はそれまでに済まさなければならない。幸い6時から食べられる。このホテルはベトナム麺、オムレツなど温かい料理が出るのが嬉しい。食事を済まして、ロビーで待つ。あちこちのホテルで客を拾うから、時間がかかると思っていたが、7時前にバスが来た。その後2つのホテルでピックアップして、ターミナルに着いた。舗装してない地面にたくさんのバスが停車している。メコンエキスプレスバスに案内される。7時半定刻に発車だ。女性のガイドが民族衣装で迎えてくれる。カンボジア語、英語の説明がある。お菓子パンとミネラルウオータが配られる。車内は満席だ。予約しておいて良かった。トイレもあるので安心だ。カンボジア一番の道路だろう、2車線の歩道のない道路を快適に飛ばす。町をすぐに抜けて緑の平野を突っ切る。百姓が牛を使って農耕をする。少年が牛とともに田んぼの水に浸かっている。池があって魚を養殖している。家は殆どない。緑と平野と水だけだ。山はない。景色を見ながらこの国の将来を考える。発展と現状維持。電気、ガス、水道などのインフラが整えば明るい未来。石油が出れば大躍進。バスは快適に飛ばす。バス旅行は楽しい。運賃は安い。飛行機だったら10倍はする。空港税だけでバス運賃と同額だ。この区間はベトナム航空の独占で高い。ツアーの人はカンボジアの田舎の景色を見ることなしに飛ぶだけだ。途中コンポントムというところで食事休憩だ。ドライブインという雰囲気。カンボジア人はなれているから食事を注文しているが、こちらは食うのが遅いからそうは行かない。店を冷やかす。レイシーを売っていたので残ったリエルで買う。イナゴ、カナブンの佃煮がおいしそうだ。リエルを使ったので後悔する。ラジカセ、携帯電話、DVDなんでもある。再びバスに乗り込む。プノンペンを目指す。少し人と車が増えてきた。プノンペン到着は13時30分、定刻だ。ホーチミン行きに乗り換える。パスポートを見せる。係員がノートに記入する。ベトナムの入国カードをもらう。シエムレアップからプノンペンまで314km、プノンペンからホーチミンまで240kmである。バスは14時に発車、乗客は半分程度、シエムレアップからの通しの客は5人だけ。プノンペンの町を抜ける。首都らしく道路、建物などが立派だ。バスにはベトナム人も乗っているのだろう、少し違った言葉が聞こえる。国道1号線は立派だ。道路だけが立派で、超田舎をぶっ飛ばす。大河メコンに到着。橋はない。バスはフェリーに突っ込む。降りる必要がない。メコンは茶色ににごっている。10分ほどで対岸のバナムというところに着く。カンボジアはトンレサップ湖といい、メコン川といい水には恵まれている。国の発展には絶対必要な資源だ。途中ブルドーザで整地をしているところがある。とてつもなく広い敷地だ。シャープの看板がある。埃っぽい何も無い所だが、工場ができたら雇用の機会があるので、地元の人にとってはこの上ない現金を得られるチャンスが来る。メイドインカンボジアのハイテク製品が日本に来るだろう。少しずつ家が増えてきた。国境に近づいてきたようで、バペットまでの表示が見えてくる。バペットの町で食事休憩。ネオンぎらぎらカジノ、ホテルが目白押し。田舎のカンボジアでなんという超俗物。手っ取り早い金儲けだ。バスに乗り国境に着く、カンボジアの出国手続き。ビザにusedというスタンプを押される。カンボジアさようなら。次に荷物一切もってベトナム入国手続き。モクバイが国境だ。セキュリティチェックがあるが形式程度。バスのガイドの言う通りしていればよい。ベトナムの入国スタンプが押される。本来はベトナムはビザが必要だが、出国の航空券を持っている場合は免除される。われわれは持っている。しかし航空チケットのチェックはされなかった。陸路入国はあまりうるさくないのだ。これが逆の場合、つまり空路入国の場合、そうはいかない。必ず出国のチケットのチェックがある。持ってない場合空港でアライバルビザを取らねばならぬ。これが60ドルはする。無駄な出費を嫌う俺は、効率的なルートを考える。何となく旅行を続けているのではない。ビザの問題は頭痛の種で、ツーリストを悩ませる。しょっちゅう規則を変えたり流動的だ。アジアはまだ良い。アフリカは最悪だ。ビザが高く、流動的で、煩雑だ。無事ベトナム入国を全員果たして、バスは走り出す。バイクが増えてきた。道路が4車線になっている。交通量、人の流れが段違い。国力の差が歴然だ。信号があり、渋滞があ利、店屋が仰山ある。20時にホーチミンに着いた。センベトホテルに行かねばならぬ。タクシーの運ちゃんが10ドルという、絶対ぼっている。まずベトナムの通貨に換えよう。バスのガイドに聞くと旅行社を指し示す。そこでは1ドル2万ドンだ。ホテルまでは1ドルですよと教えてもらう。もっとも俺はセンベトホテルの住所、電話番号などをあらかじめ用意しておいた。タクシーを旅行社の人が捕まえてくれて、ホテルまでドライバーに指示している。きっちりメーターどおり2万ドンでホテルに着いた。タラアンコールほど立派でないが、清潔な感じの白が基調のホテルだ。フロントは感じが良い。部屋もそれなりにきれいだ。晩飯に向かう。ホテルの近くで食って、105,000ドン、まだ足りなくてホテルで食いなおし。170,000ドン、ゼロが多いので混乱する。
本日の出費 295,000ドン

2010年11月2日 ホーチミン
睡眠中になんだかえらい音がする。地震でもあったのかと夢の中で思ってしまう。実はバイクの音なのだ。ホーチミンの公共交通はバスである。地下鉄はない。こんなに大量のバイクが騒音を撒き散らすのは、バスが当てにならないからだ。ホテルの部屋から道路を見る。蝿ののごとくバイクが走り回っている。こりゃうるさいはずだ。とにかく朝飯だ。ビュッフェスタイルで好きなものが食える。タラアンコールより内容は落ちる。首都のホテルだからやむをえない。朝からデザートが食えるのが嬉しい。ケーキなんかある。コーヒとよく合う。ホーチミン市内見物は4箇所、統一会堂、戦争証跡博物館、中央郵便局、サイゴン教会だ。時間が余ればペンタイン市場で買い物だ。4箇所は歩いていける距離なので、統一会堂へタクシーで行く。3万ドン。タクシーメータはゼロ3つを省略している。つまり30という運賃表示だ。統一会堂の入場料一人15,000ドン。旧大統領官邸だけあってなかなか立派な建物である。日本人はじめツーリストがいっぱい。ガイドにつれられて説明を聞いている。地下にはベトナム戦争のときの作戦司令室がある。次に戦争証跡博物館に歩いていく。入場料15,000ドン。ここは見ごたえがある。ベトナム戦争に特化した博物館だ。実物の戦車、飛行機もある。写真の展示が迫力ある。アメリカが深入りして泥沼化してしまった戦争だ。よその国の揉め事にちょっかいを出すことはないのに。南ベトナム政府に上手く口車に乗せられたとも言える。被害にあったのは一般市民だ。訳もわからんうちに虐殺されるのだから、誠に不条理だ。日本の嘉手納基地からも出撃したのだ。安保条約は極東の安全保障に限定しているのに、遠くはなれたベトナムの戦争に日本の基地を使っている。当時日本の政府は何もいえなかったのだろうか。アメリカはベトナム戦争には頭の悪いやつから順番に派遣したらしい。それと議員、会社役員、弁護士などいわゆるインテリ層の子息は派遣していないのだ。要するに馬鹿で、貧乏な若者を送り込んだに過ぎない。こんなのがベトナムにきたら一般市民はたまったものではない。ケネディ、ジョンソン、ニクソンの3大統領がくだらん戦争にちょっかいを出し続けたのだ。アメリカ人も見物しているが、彼らは何を思っているのだろうか。何も思っていない筈。なぜなら彼らは馬鹿だからだ。いやツーリストはみんなばか者だ。海外旅行しか趣味のない俺なんか大ばか者だ。日本も原子爆弾の被害者が一般市民だから、長崎、広島だけでなく東京で常設館を設置したらよい。この展示館のベトナム語はわからんが、英語の説明がよくわかる。ベトナムは教育に熱心な国で、国民は勤勉だ。英語に習熟している人も多いと見受けられる。あまり熱心に見物したので時間の経過を忘れてしまった。12時に追い出された。次は郵便局だ。立派な建物らしいが、何の感想もない。〒業務を淡々とこなしている。いすに座っていたらおじいさんが10万ドンつまり500円の札束をどっさりもって数えだした。10枚づつ束ねていく、見てる間に50束くらいになった。5千万ドンになる。只者ではない。不動産屋かもしれない。俺より金持ちだ。郵便局を出る。教会に行く。赤レンガのとがった建物。ツーリストが写真を撮っている。中には入れない。これで市内見物終了だ。パークファイアットサイゴンという超豪華ホテルが近くにある。少し休憩してペンタイン市場にタクシーで行く。1万ドン。観光客が必ず訪れるマーケットだ。カンボジアのオールドマーケットを大きくした感じ。大きな相違は店員が声をかけてこないこと、価格表示が外貨でなくドン表示であることだ。国のプライドを感じる。見てるだけで面白い。嫁はんにとってはリラックスできるところだろう。俺は一切買わない主義だからぶらぶらするだけだ。なまこの乾物を売っている。これは珍味だ。料理に時間がかかりそうだ。お茶10ドル、マンゴスチン12万ドン、お菓子1万ドンを買った。猛烈な雨が降り出したようで、屋根が音を立てている。マーケットの中にも水が入ってくる。やむのを待ってタクシーでホテルへ。7万ドン。ホテルで飯を食いベトナム最後の夜の散策に出る。嫁はんが服屋で値段の交渉をしている。女店員がニコリともしない。値引きにも応じない。それでも嫁はんは服を買った。彼女が言うには縫製がしっかりしているとのこと。ベトナム人は手先が起用でもあるとのこと。オートバイがうんかのごとく走り回っている。信号を守らないので危なくて歩けない。歩道にも侵入してくる。ほうほうの体でホテルに帰る。  本日の出費 582,000ドン、10ドル

郵便局


2010年11月3日 ホーチミンーバンコックー台北
いよいよ旅も終わりに近づいてきた。今日はホーチミンからバンコックへ、その後乗り継いで台北まで行かねばならぬ。クアラルンプール経由もできるが、運賃と時間の浪費になるから俺の最も嫌うルートになる。ホーチミン発9時45分、バンコック着11時15分、バンコック発13時10分、台北着17時50分である。予定通り飛んでくれたら何も問題がない。遅れたら乗り継ぎも、台北のホテルもおじゃんになる。格安航空会社では何の保証もない。そのための保険もあるようだが結構高くつく。問題はバンコックの乗継だ。国際線では2時間前が原則だが、長年の俺の経験では1時間前でも何の問題もない。今回は1時間55分の待ち時間だ。さらにオンラインチェックインで搭乗券を持っているからゲートに行けばいいだけだ。念のために同便のバンコック着の時刻を過去に上って調べたが、スケジュールどおりである。絶対の自信を持ってフライトをチョイスした。ホテルをチェックアウトしタクシーで空港に向かう。いい天気だ。バイクの轟音に圧倒される。かつての上海の自転車の洪水を思い出す。公共交通の整備が急務だ。一応みんなヘルメットをつけているが、事故は頻繁に起こっているはずだ。タンソニアット空港は近い。8万ドンのメータが出たが、10万ドンを上げた。残ったドンは空港のみやげ物で使う。7万8千ドン使ってすっからかん。ドンから外貨へは替えれるようでレートが出ている。弱い通貨はたたかれるので使い切るのが得策だ。バンコック行きの便を待つ。なかなか機体が現れない。乗り継ぎが気になる。やっと到着して乗客を降ろすとすぐに搭乗が始まる。機体を休ませないのだ。10分ほど遅れて出発。やれやれいったん離陸するともう安心。飛行機は空中で止まれないので、目的地に行くしか方法がない。外は雲に覆われて何も見えない。カンボジアののどかな景色が見えない。バンコックには定刻に到着。一安心。スワナプーム空港はとてつもなく大きい。格安航空は冷遇されているから、端から端まで歩かねばならぬ。30分はかかる。土産物屋を冷やかしながら1時間前にゲートに到着。台北行きは定刻に出発。3時間40分のフライトであるから、腹が減る。リンギットがあまっている。串焼きライスと焼き豚ライスの弁当で25リンギットどんぴしゃ使い切った。台湾の入国カードはいたって簡単。さらさらと記入。定刻に到着する。ここで時計を1時間進める。入国審査の後バス乗り場に向かう。桃園空港も馬鹿でかい。客運乗り場と表示がある。台湾は繁体文字を使っている。発音は北京語である。大有巴士に向かう。これが一番安い。下車駅の大同大学に行かねばならない。く。往復切符を買う。来回票、ライフイピャオ、といえばよい。20元安くて一人160元。バス乗り場のおっちゃんに大同大学、タートンターシュエ、へ行くバスを聞く。中国語には濁音がなく、無機音があるので発音はむつかしい。彼は親切で運ちゃんにわれわれの下車駅を伝えてくれている。バスは桃園市内を抜けるので、信号があり途中乗り降りがある。渋滞はない。台北市に入ると高速道路になる。結構飛ばす。暗闇なので下車地が気になる。運ちゃんがタートンユニバーシティという。親切な人だ。大学のまん前だ。学生がいる。中山北路という道の信号を渡る。グーグルの地図は立派だ。迷うことなくホテルに着いた。友来ホテルだ。バウチャーを見せてチェックインする。客は多くてしょっちゅう出入りがある。物価の高い台北でこの値段は納得だ。部屋はきれいで、すべての施設が整っている。外を見下ろすと下町、いや飲み屋街の雰囲気で、宗右衛門町の感じだ。レストランは欣葉に決めてある。日本人が行く高級レストランだ。嫁はんがおごるというので張り切る。チャイナドレスの女の子に案内されて、着席する。日本語のメニュウもある。日本人もいる。お客は多い。台湾ビールで乾杯。なまこの煮物、ふかひれのうま煮、アサリのスープ、ショーロンポウ、海鮮お粥、東破肉を食べる。いい感じ。至福のときだ。値段は2,178元。欣葉を出る。台北の夜は遅い。屋台がいっぱい出ている。美味そうな店ばかりだ。魚、貝、海老、たこを並べている店がある。お姉ちゃんが皿いっぱいの海老を食っている。失礼と思いながら値段を聞くと200元という。食わねば一生後悔する。注文するとおばはんが秤りにかけた後、おっさんがフライパンにぶち込む。轟々と音のするガスの上で調理が始まる。にんにくで香付けする。調味料を入れる。手つきが良い。海老が真っ赤に変色する。大きな皿に放り込む。むしゃぶりつく。火傷しそうな熱さだ。甘くて、海のにおいがして、にんにくの香りがして、この世のものとは思えないおいしさだ。時間は真夜中を過ぎている。明日のフライトは正午であるので心配は要らない。屋台めぐりは楽しい。台北の物価は日本並みだが、台湾ならでの味がある。台北の夜を堪能した。嫁はんのおごりだからなおさらだ。
本日の出費 178,000ドン、25リンギット、2,823元

バイクの群れ


2010年11月4日 台北ー関空
今日は帰国日、朝食を食べる。トースト、コーヒ、お粥のみ。宿泊客は若い男女が多い。会社員か学生だろう。行儀が良い。時間があるので屋台へ行く。朝から営業している。家で創るより外食のほうが手軽だろう。肉のたっぷり入ったスープ麺を食う。50元。空港の3割の値段だ。空港までは1時間はかかるのでバス乗り場へ急ぐ。バスは台北市内の高速道路をぶっ飛ばす。景色を見る。大気汚染はない、北京よりきれいだ。ただし建物は古い、バブルはすぎたからこれからが難しい。桃園市内に入ると一般道路を走る。空港には10時半に到着。ジェットスターはオンラインチェックインがなく、出発の1時間前にはクローズしてしまう。出発は12時半である。たっぷり時間はある。残った元を使い切る。ビールと、焼き飯、ワンタンメンで使い切った。定刻に離陸。しばらくは雲の上で何も見えない。沖縄も奄美も屋久島も見えない。やがて九州の南端が見え始める。四国も見える。その後関空に定刻に到着する。
本日の出費 360元