リビング新聞 特集記事
プロ・人生の達人に聞く   ちょっとエコで楽〜な掃除法
ナチュラル素材でピカピカ

 キッチンの油汚れ、白っぽい水あか、べたつくフローリングの床、掃除しづらい冷蔵庫内。気になってはいても、つい後回しにしがち。強い洗剤を使うことは体のことを考えるとためらわれます。そこで、掃除のプロに体にも環境にも優しいナチュラル素材による掃除法を、また人生の達人に掃除のアイデアを教えてもらいました。

文 梶津利江

イラスト たけだみりこ
 

 日本ハウスクリーニング協会(東京都)では、重曹や酢などの「ナチュラル素材」を使った掃除法を推奨しています。同協会会員の(有)You&I(広島県廿日市市)代表・松下深海さんは、「汚れに応じた掃除法が分かれば、十分に、しかも簡単に汚れを落とせますよ」とのこと。そこで、手に入りやすく使い勝手の良い重曹やクエン酸、エタノールなどを使った掃除法を教えてもらいました。


キッチンの油汚れ
「重曹」+酢でパワーアップ
 弱アルカリ性の重曹には、酸性の油汚れを中和して落としやすくする働きがあります。また、粒子が細かく水に少しずつ溶けるので、磨いているものに傷を付けることなく、細部までしっかりと汚れが落とせます。さらに「酢」を加えることでその効果が高まります。

●使い方
スポンジに重曹と酢を振り掛け、汚れをふく。汚れが温かいうちにふけば楽に落ちる。しつこい汚れには、重曹を60〜70度の湯に溶かしたホット重曹水(水1リットル当たり重曹大さじ4)で1時間ほどつけおき洗いをする

●注意!
1. 漆器に使うと表面に傷が付くこともある
2. アルミ製品は変色する恐れがある

●さらにひと手間
重曹を汚れた部分に塗ってラップをかける湿布方式は、より効果を期待できる。1時間ほど待ち、汚れが浮き出してきたら熱湯で洗い流す

水あか、石けんかすの汚れ
クエン酸(酢)が汚れを分解
 クエン酸は、水あかや石けんかすなどのアルカリ性の汚れを分解。シンクや水栓金具、湯沸かしポット、コーヒーメーカーのサーバーの水あかにも効果的です。フローリングの床掃除に使うとスッキリ仕上がります。
 クエン酸は薬局で手に入りますが、酢でも代用できます。穀物酢、純米酢、りんご酢などがありますが効果はほぼ同じ。調味料が入ったすし酢などは向きません。

●使い方
クエン酸水は、水400mlにクエン酸小さじ2をよく溶かす。酢は水で5、6倍に薄める。これらを汚れた部分に吹き付けてふく

●注意!
クエン酸の成分が残ると、ステンレス製品は変質することも。しっかり水ぶきをして、最後に空ぶきを

●さらにひと手間
クエン酸水にエッセンシャルオイル(レモン)2、3滴を加えると除菌効果が高まり、香りも良い。水栓金具の隙間は、ストッキングを使うとブラシなどでは入り込めない隙間もきれいにできる

冷蔵庫内の汚れ
除菌効果、速乾性が高い消毒用エタノール
 消毒薬として知られるエタノールは、強い消毒と除菌力を持ちますが、人体には安全。衛生面に気を付けたい、冷蔵庫内や調理具、食器の消毒に向いています。速乾性があるので、水ぶきや空ぶきの手間が掛からないのもうれしいところです。

●使い方
消毒用エタノールと無水エタノールの2種類があり、80%程度の濃度に調整してある消毒用がそのまま使えて便利。スポンジに染みこませ、冷蔵庫の内側をふくだけ

●注意!
1. 引火しやすいので、ガスレンジの近くに置かない
2. 日光の当たらない涼しい場所で保管

●さらにひと手間
エタノールにエッセンシャルオイルを混ぜて使うと、香りが良い

プロ・達人たちのワザ!
そのほか、ナチュラル素材による掃除法はたくさんあります。昔の生活文化を子どもたちに伝える活動をしている「たつじんくらぶ“昔いろいろ発見隊”」のメンバーと、日々昔ながらの掃除を実践している主婦の八幡照子さんにも、お薦めの掃除法を教えてもらいました。

◆消臭

・部屋にこもった焼き肉のにおいなどは、フライパンでお茶の葉をいる。グリルで魚を焼いた後にも有効。(プロ)

・魚を切ったまな板のにおい取りは、搾った後のレモンや夏ミカンの皮でふくとよい。(八幡)

◆油汚れ
 
・鍋の油汚れは、出がらしのお茶パックでこすって洗剤で洗うと落ちやすい。(プロ)

・フライパンの焦げ付きはミカンの皮を煮立てると取れやすい。(プロ)

・米のとぎ汁でぬらしたふきんで、ガスコンロの油汚れをふく。(達人)

・使った皿を米のとぎ汁につけておくと、油汚れが取れやすい。(達人)

・電子レンジの油汚れは、レモン汁でぬらしたふきんを入れ、20秒温める。ふきんが冷めたら内側をふく(八幡)

◆水あか

・シンクのステンレスに小麦粉を振り掛け、タオルでこする。(八幡)

・シンクのステンレスを牛乳の残りでこする。(八幡)

・やかんの水あかは、水1リットルとクエン酸小さじ1(酢)を入れて10分ほど煮立てる。そのまま一晩放置し、翌日にすすぎ洗いをする。(プロ)

◆床掃除

・米のとぎ汁や古くなった牛乳で、フローリングや床をふくとツヤツヤになる。(達人)
※材質によっては変色したり、牛乳のタンパク質で表面が白く濁ったり、においが残ってしまうこともあります

・フローリングや畳の上に、茶殻かぬらした新聞紙をちぎってまき、ほうきではく。ホコリが舞い上がらず、残り香もよい。(達人)
※茶殻は出がらしの茶葉を日光に当ててよく乾かしたもの。番茶がよく、豆茶などは適さない

・畳や土間は、水分を含んだ茶殻をまいてはく。(八幡)

◆そのほか

・白い土壁の汚れは食パンを丸めてこする。(八幡)

・茶渋は塩でこすると落ちる。(達人)

・プラスチックの染みは、レモンの輪切りでこする。(八幡)


メモ
●プロ NPO日本ハウスクリーニング協会
TEL 03(3366)1943、http://www.jhca.or.jp/
ハウスクリーニングの指導と技術者育成、ハウスクリーニングの普及を目指して発足。清掃ボランティアや子育て世代に家事代行の割引券を発行なども行う

●達人 たつじんくらぶ「昔いろいろ発見隊」チーム事務局
TEL 082(541)3351吉原さん
10月24日(火)〜12月19日(火)にWEプラザ(広島市中区大手町)で講座「子育て世代に伝えたい昔の生活の文化、知恵」(仮)を予定

●八幡 八幡照子さん(69歳)

ベビーシッター、シルバーシッター、家事代行を行う(有)「アイ・エイチ・エー」(広島市)の代表取締役。親業訓練インストラクター