イエスは言われた。「まず、子供たちに十分食べさせなければならない。子供たちのパンを取って、小犬にやってはいけない。」ところが、女は答えて言った。「主よ、しかし、食卓の下の小犬も、子供のパン屑はいただきます。」そこで、イエスは言われた。「それほど言うなら、よろしい。家に帰りなさい。悪霊はあなたの娘からもう出てしまった。」                    (マルコによる福音書72729 

 主イエスはガリラヤを去って、ティルスの地方に行かれた。そこは異邦人の地である。そこに行かれた理由は明らかではないが、十字架への道を歩もうとされている中で、御利益を求めてやってくる群衆から距離を置いて、弟子たちを教育するためではなかったか。
 だが、主イエスの噂は異邦人の地にも伝わっていて、汚れた霊に取りつかれた幼い娘を持つ女が、イエスのことを聞きつけて、イエスの足もとにひれ伏して、娘から悪霊を追い出してくださいと頼んだ。その姿には、この女の苦悩の深さと、主イエスに対する大きな期待が表われている。
 しかし、主イエスは標記のように言われた。これは、御自分の使命がイスラエルの民を救うことにあるので、異邦人に関わっておれないという、一見厳しいお言葉である。しかし、「まず」と言っておられるので、全面否定をされたわけではなく、彼女の信仰を試し、育て、深めようとされたのであって、この厳しい御言葉によって、聖霊を送られたのではないか。
 これに対して女は、「主よ」と呼びかけつつ、標記のように「食卓の下の小犬も、子供のパン屑はいただきます」との謙遜で機知に富んだ言い方をした。ここに主イエスに対するこの女の深い信仰を読み取ることができる。この言葉へと導いたのも聖霊の働きであろう。
 主イエスはこの言葉を聞くと、それを受け入れられて、主によって遣わされた聖霊が悪霊を追い出したことを宣言された。こうして、この異邦人にも救いの御業が及んだのである。これは正に、聖霊降臨日の出来事の先駆けである。私たちも異邦人であり、悪霊の力に支配されている。しかし、この異邦人の女と共に、謙遜に、しかし強い願いをもって、主の前にひれ伏すとき、救われる資格のない罪人である私たちにも、主は聖霊を送ってくださって、悪霊を追い出してくださる筈である。

主日礼拝(聖霊降臨日礼拝)説教<要 旨> 2015年5月24日  山本 清牧師 

 聖  書:マルコによる福音書7:24-30 
 説教題:「
悪霊と聖霊」 説教リストに戻る