すると、主の天使いが近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。天使は言った。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日、ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。」    (ルカによる福音書2911 

 救い主イエス・キリストが誕生した時、標記のように、野宿していた羊飼いたちのところに天使が現れ、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。ところで、K.バルトは「今日クリスマスを祝う私たちのところに、このような恐れが存在するだろうか」と問いかけている。私たちの中には、災害や事故に対する恐れ、健康に対する不安、職場や学校や家庭で自分の立場が損なわれる恐れ、経済や福祉や教育の先行きに対する不安などがあり、教会さえも世の流れの中で埋没してしまうのではないかとの恐れを持っている。だが、クリスマスを迎えようとするこの時に、天から射し込んで来る大きな光に対しては恐れを覚えていないのではないか。
 聖書に登場する待降節の人物、ザカリア、マリアとヨセフ、ヘロデやエルサレムの人々は皆、救い主の誕生を知らされて恐れた。これらの恐れは、私たちの恐れとは違って、神が人間の営みに対して新しく介入されることによって引き起こされた恐れである。彼らは主イエスの十字架と復活の御業をまだ知らない。だが彼らを照らした主の栄光はあまりに眩く、地上のどんな恐ろしさをも呑み尽くしてしまうほどの大きなことが始まることを感じたのではないか。神が起こされるこの大きな恐れの前に、誰も立ち尽くさざるを得ない。だからこそ天使は「恐れるな」と言う。この言葉によって、もはや日常に中にあるあれこれの恐れは小さくされてしまうのである。神を信じておれば諸々の恐れが全くなくなるということではないが、神の大きな御業を知らされて神に捉えられた者は、どんな不安なことがあれ、それが恐れ甲斐のあるものに変えられるのである。なぜなら、それらの不安や恐れの中で、神との結びつきを深められるからである。
 天使は更に「わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを伝える」と言う。神は私たちの諸々の恐れを超えて、罪よりの「救い」という大きな喜びに招き入れて下さるのである。

米子伝道所 主日礼拝説教<要 旨> 2012年12月16日  山本 清牧師 

 聖  書:ルカによる福音書2:1−20 説教題:「恐れるな!」         説教リストに戻る