「一体どういうことだ、お前が見たその夢は。わたしもお母さんも兄さんたちも、お前の前に行って、地面にひれ伏すというのか。」                     (創世記3710
 ヤコブが兄エサウの怒りを避けて伯父ラバンのもとで暮らした20年の間に、2人の妻と2人の側女との間に12人の息子が生まれた。この複雑な家庭環境の中で、ヤコブは11番目のヨセフを特別に可愛がって、17歳にもなっているのに、袖の長い晴れ着(王女の服)を着せて、自分の側に置いていた。それに、ヨセフは兄たちの失敗や間違いを一々父に報告したので、兄たちはヨセフを憎み、穏やかに(シャロームに)話すこともできないほどであった。
 このような崩れた家族関係の中に、神は一石を投じられる。ヨセフに夢を見せられたのである。それは、畑で兄たちの束がヨセフの束にひれ伏すというもので、その夢の話を聞いた兄たちはますますヨセフを憎んだ。更にヨセフは、太陽と月と11の星がヨセフにひれ伏すという夢を見て、それを父に話すと、父は標記のように言って叱った。この夢を心理学者が精神分析すれば、ヨセフの内心にある思い上がりの反映と説明するだろうが、この夢は神のご計画を示すものであった。
 この後、ヨセフを憎んだ兄たちが、彼をエジプトへ行く隊商に売り飛ばすという恐ろしい事件に発展し、ヨセフはエジプトで様々な苦難にも遭うが、夢を解くという神から与えられた能力が役立って、エジプト王が見た不思議な夢を解いたことで、大臣に抜擢され、エジプトを飢饉の災いから救うことになる。そして最後は、飢饉のためにカナンの地からエジプトへ食糧を求めに来た兄たちと対面する。ヨセフは兄たちの仕打ちを憎まず、「あなたがたはわたしに悪をたくらみましたが、神はそれを善に変え、多くの民の命を救うために、今日のようにしてくださったのです」(創世記5020)と語った。このヨセフ物語の全体は、やがてヤコブの子孫に誕生するイエス・キリストによる神の救いを指し示している。神の最愛の子イエスは、人々の憎しみを受け、売られ、十字架の苦しみを負って、死へと追いやられたが、そのような人間が犯した悪の結果は、神によって善に変えられ、全人類の救いの業となった。ヨセフが見た夢に対して、ヤコブは叱りつつも、「このことを心に留めた」と聖書は記す。ヤコブは後に、エジプトでヨセフに面会したときまで、あの夢のことを心に留めていて、全てが神の御計画のうちにあったことに気づくのである。

 米子伝道所主日礼拝説教<要 旨>     2010年10月10日  山本 清牧師 

 聖  書:創世記37:1−11
 説教題:「ヨセフの見た夢」
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