「だから、このことを知っていただきたい。この神の救いは異邦人に向けられました。彼らこそ、これに聞き従うのです。」
                      (使徒言行録28:28)
 使徒言行録はローマに到着したパウロが、ローマのユダヤ人と二度話し合ったことで終わっており、裁判の結果や、それ以後のパウロの動静については伝えておらず、尻切れトンボの印象を受けるが、筆者ルカがこの書で伝えたかったことは言い尽くされている。
 第一に伝えたかったことは、冒頭の1:8で主イエスが昇天の際に言われた「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる」との言葉が達成したことである。ローマは当時の世界の中心であるが、エルサレムからすれば「地の果て」である。ローマでの宣教は主イエスがパウロに与えられた使命であり、神の計画であったが、それが実現したのである。
 第二に伝えたかったことは、「イスラエルが希望していることのために、わたしはこのように鎖でつながれているのです」(20節)と言い、「神の国について力強く証しし、・・・イエスについて説得しようとした」(23節)と語っているように、イエス・キリストこそイスラエルの民が待望していた救い主メシアであり、この方によって神の国(神の支配)が実現したということである。
 第三に伝えたかったことは、24節以下である。パウロの話を聞いたユダヤ人の中には、パウロの言ったことを受け入れる者もいたが、受け入れない者もいた。これは他の都市でも同様だった。そのために28節にあるように、福音が異邦人にも語られるようになって、救いが異邦世界にまで届けられ、「イスラエルの希望」が異邦人を含む「新しいイスラエル(=教会)に引き継がれるという思いがけない展開をしたのである。
 こうして、神の国の福音は、様々な困難の中にも、自由に、大胆に、勇敢に宣べ伝えられた。そして、その歴史の最先端・地の果てに、今の私たちがあり、私たちの教会がある。主は今も生きて働いておられる。



 米子伝道所主日礼拝説教<要 旨>     2010年6月27日  山本 清牧師 

 聖  書:使徒言行録28:17−31
 説教題:「救いはすべての人に」
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