彼が告発されているのは、ユダヤ人の律法に関する問題であって、死刑や投獄に相当する理由はないことが分かりました。しかし、この者に対する陰謀があるという報告を受けましたので、直ちに閣下のもとに護送いたします。            (使徒言行録232930より)

 パウロは、何とかしてエルサレムのユダヤ人たちにも福音を伝えたいと、神殿で殺されそうになった時も、最高法院で取調べを受けた時も、大胆に語ったが、騒ぎが大きくなって、ローマ軍の兵営に連れ込まれた。
 これに対しユダヤ人たちは陰謀をたくらみ、パウロ殺害を誓った四十人以上の者が、パウロを再度、最高法院に連れ出し、その途中で襲う手はずを整えた。ところが、この陰謀をパウロの甥が聞き込み、パウロに知らせ、ローマ軍の千人隊長にも話すと、千人隊長はすぐさま、歩兵二百名、騎兵七十名、補助兵二百名をつけて、標記のような手紙を持って、カイサリアに駐在する総督フェリクスのもとへ護送するように命じた。これは、千人隊長の心にパウロを守りたいという気持ちがあったわけではなく、ローマ帝国の市民権を持った者を理由なくユダヤ人に殺させる訳にはいかず、エルサレムの治安維持の責任を果たされなくなって、自分の責任が問われる事態になることを避けたかっただけである。
 こうしてパウロは、エルサレムのユダヤ人たちに福音を語る願いが断たれ、異邦人伝道の使命も続行出来なくなったかに見えるのだが、結局は「ローマでも証しをしなければならない」(2311)との主の御計画が実現することになるのであって、ローマ兵による護送は、まさに「主による護送」なのであった。
 私たちの人生も、世界の歴史も、教会の歩みも、状況が極めて悪いように見えても、実は神の御計画の中にあるのであって、神は、選ばれた者を一人残らず神の国まで「護送」して下さるのである。

米子伝道所主日礼拝説教 要 旨             2007年10月21日 山本 清牧師 

 聖  書:使徒言行録23:11−35
 説教題:「主による護送」                 
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