「諸君が見聞きしているとおり、あのパウロは『手で造ったものなどは神ではない』と言って、エフェソばかりでなくアジア州のほとんど全地域で、多くの人を説き伏せ、たぶらかしている」
                     (使徒言行録
1926

 都市は、人々が経済的・文化的利益を求めて集まる利益共同体である。エフェソの町はエーゲ゙海に臨む港湾都市として小アジアの通商拠点であるとともに、世界の七不思議の一つに数えられる巨大な神殿があって、豊穣の女神アルテミスが祭られている宗教都市でもあった。そこには、神殿の模型を銀で造って利益を得ていた人たちもいた。標記は、その銀細工師のアジ演説の一部であるが、パウロが「世界と万物を造られた神は、手で造った神殿などにはお住みになりません」(17:24)と語ったことが、彼らの商売に打撃を与えたと言いたいのである。
 この演説を聞いて腹を立てた群衆が、パウロの同行者たちを捕らえて、野外劇場になだれ込んで、市民集会を行おうとしたが、大混乱に陥ってしまったので、結局、町の書記官が群衆をなだめて解散させるしかなかった。
 この騒動の背後にあって、この町の人々を支配し、真の救いと平安へと導こうとしておられるのは、パウロを遣わして、神の国(神の支配)のことを語らせ、キリストの福音を宣べ伝えさせておられる真の神である。パウロのエフェソ伝道は困難に満ちたものであったが、パウロが伝えた福音は、この町の経済も、宗教も、政治をも揺るがすものであり、福音の勝利を示すものであった。
 「主御自身が建ててくださるのでなければ、家を建てる人の労苦はむなしい。主御自身が守ってくださるのでなければ、町を守る人が目覚めているのもむなしい」(詩編127:1)。町を守るのは、経済的繁栄でもなく、民主的な政治でもなく、まして、人間が造り上げた神々ではなく、主なる神なのである。

米子伝道所主日礼拝説教 要 旨              2007年7月22日 山本 清牧師 

 聖  書:使徒言行録19:21−40
 説教題:「主が町を守る」                   
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