しかし、今は、わたしをここへ売ったことを悔やんだり、責め合ったりする必要はありません。命を救うために、神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのです。        (創世記45:5)

 使徒言行録7:9-16で、ステファノは創世記に記されているヨセフ物語を要約して語る。父ヤコブの寵愛を受けたヨセフは、兄たちからねたまれて、奴隷としてエジプトへ売られてしまった。しかし、ヨセフはエジプトにおいて、その能力や夢を解く特技が生かされて、七年間の豊作の後、七年間の飢饉が起こることを予告し、豊作の間に穀物の備蓄を行なうように進言したことから、エジプト王ファラオに認められて、大臣にまで登用された。このことをステファノは「神はヨセフを離れず、あらゆる苦難から助け出して、エジプト王ファラオのもとで恵みと知恵をお授けになりました」(使徒7:9-10)と言っている。
 ヨセフの予告どおり、エジプトとカナンの全土に飢饉が起こって、カナンに住むヤコブ一族は食糧難に陥り、食糧を手に入れるため、ヨセフの兄弟たちがエジプトを訪れ、ヨセフの前に出ることになる。ヨセフはすぐ兄たちに気付いたが、最初は平静を装っていた。二度目に来た時に感極まって身の上を明かすことになる劇的な場面でヨセフが言ったのが標記の言葉である。ヨセフが自分を売った兄たちに対して、このような言葉を言えたのは、彼が寛大な心を持っていたからではない。ヨセフは、若い時の自分の思い上がりの罪も、兄たちの赦し難いような罪も、すべて神が救いの御計画に組み入れて用いられたことを知らされたからである。そこに赦しが起こり、和解が成立するのである。
 その後、父ヤコブと親族一同がエジプトに呼び寄せられたことも、ヤコブが死んで約束の地カナンのシケムの墓に葬られたことも、以後のイスラエルの救いの歴史を指し示している。ヨセフの物語は、神の遠大な御計画の一コマなのである。 

米子伝道所主日礼拝説教 要 旨               2006年7月2日 山本 清牧師 

 聖  書:使徒言行録7:9−16
 説教題:「神が先に遣わされた」                   
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