こころと身体は一体でけっして切り離しておけるものではありません。
忙しく働いていたら胃潰瘍になった、イライラすることがたくさんあったら蕁麻疹が出た、いつも便秘と下痢を繰り返している、人間関係のもつれに悩んでいたら耳鳴りがしてきた。
ストレスによって引き起こされる病気は数多くあります。
これは、ストレスが脳に作用して身体の機能や免疫などに影響してしまうためです。
ストレスに対抗するための身体の機能が、そのストレスが慢性的になってしまうと誤作動を起こし自分の身体さえも攻撃してしまいます。
ぜんそく、高血圧、狭心症、胃・十二指腸潰瘍・過敏性腸症候群・摂食障害・頭痛・肩こり・腰痛・じんましん・チック・筋痛症・耳鳴り・難聴・顎関節症など出かたもさまざまです。
一言にストレスと言ってもたくさんの種類があります。また、それを完全に排除しようとしても無理だと思います。
ただ、東洋医学ではストレスや精神状態など細かく分析し、その治療法が2000年も昔から伝えられ、経験医学として確立しています。
五志(ごし)と言われる感情の変化が行き過ぎると、
臓腑(内臓など)に影響を与え、病になると考えられています。
怒→怒り過ぎれば気が上がる(興奮する)→肝に影響
喜→喜び過ぎれば気が緩む(油断する)→心に影響
思→思い(考え)過ぎれば気が滞る(動かなくなる)→脾に影響
悲→悲しみ過ぎれば気が消える(やる気がなくなる)→肺に影響
恐→恐れ過ぎれば気が下がる(落ち込む)→腎に影響
●人間関係が複雑化し感情が鬱積してイライラする
→肝のエネルギーが過剰な状態
●いつも相手を恐怖に感じる、小さな病苦も想像のあまり増悪する
→腎のエネルギーが過剰な状態
●悲しみを募らせ訳もなく涙あふれる
→肺のエネルギーが過剰な状態
●苦しみ虚しさから逃げ出そうとするあまり、はけ口を食べ物に求める
→脾のエネルギーが過剰な状態
このように精神状態や感情の変化が、
エネルギーのゆがみと過不足を引き起こし、病となって現れるのです。
東洋医学では、心身の変化が病を引き起こす原因として具体的に示されており、その変化を把握することで、治療方針が決まってきます。
東洋医学は心身一如、全人的治療をおこなうものであることを示しています。
身体のどの部分がバランスを崩しているのか、
こころの動きが身体のどこに影響しているのかをきちんと東洋医学的に分析し、治療方針を決めます。そして、ひと鍼ひと鍼と細心の注意で治療をすすめ、常に身体の状態を観察しながらおこないます。気を動かす分量や速さ、鍼の深さなどその方にあった治療を過不足なく提供できるように考えています。
病気の発症は当然精神の状態も原因となるというのが東洋医学の考え方です。
心身症と名前はありますが、なにも特別なことではないのです。
身体とこころは切り離して考えることはできないですから、
少しでも気になることがあれば、おひとりで苦しまず、なんでもお話しください。