陰陽五行論

「陰と陽のつり合い」と「五つのパワーバランス」という多角的な視点によって、自然や人体、病態を理解し分析するための東洋医学の考え方です。
この理論が経絡治療の根幹となります。

陰陽五行論とは

「陰と陽のエネルギー」と「木、火、土、金、水の五つのエネルギー」これらすべて荒ぶることも、滞ることも、不足することもない、より球体に近いバランスに整えることで身体は無理なく自由に動き、こころは自由に感じることができます。
病とはこのバランスが崩れ、球体がでこぼこしたとき、現れるのです。

陰陽五行論とは(図1)

陰陽五行論に基づいた経絡治療

崩れたバランス(病のおおもと)を、どのエネルギーを足して、どれを削ることで整えることができるのかを観察し治療していきます。
また、どこがバランスを崩しているかを知ることで今出ている症状だけでなく、これから二次的にバランスを崩すであろう場所を知ることができるのです。

陰陽五行論に基づいた経絡治療(図2)

病は進行すると、より複雑になってくる
→第二の症状が出る前にくい止めることも
『未病を治す』の一つ

治療に理論を必要とする理由は、その治療に客観性があり再現性のあるものにするためです。
その中で、その人その人のエネルギーの違い、アンバランスの度合いなどを細かく観察し治療を行うので、客観的で理論的であり、かつ、その人のためだけの治療法が可能となります。

陰陽論

自然界や身体などすべてのものが「陰」と「陽」という二つの性質に分けられるという古典の考え方です。
「陰」→内に気をとどめておく力→凝縮
「陽」→外へ気を動かしていく力→放散

陰陽論(図3)

*陰と陽の補足

生体においては、
「陰」→鎮静、休息、滋養
「陽」→興奮、活動、消費

上下などの互いに依存して存在する陰陽関係 上がなければ下という概念もない
陰から陽へと状況によって移り変わる陰陽関係 女は陰体だけれど、女の中で上半身は陽、下半身は陰
陰が極まり少しずつ陽に変化する陰陽関係 夜が深まって陰極まれば朝(陽)となる

上記のように、さまざまな考え方、視点があります。
「陰」は身体  「陽」はこころ  と仮定したとき、身体(陰)はこころ(陽)の力を借りて外へエネルギーを動かしていき、はつらつと自分の動きたいように動くことができます。
こころ(陽)は身体(陰)からエネルギーを補給し、楽しいと感じたり、考えたり、愛しんだりと、いきいきとした人間活動を送ることができます。
陰陽はバランスが大切で、どちらが過剰でも不足でもうまくないのです。

「陰」と「陽」の考え方は鍼灸治療の診断に

陰陽のバランスを診ることで 病の深さや勢いを知り、病気の性質を診断します。
また体質や回復にどのくらいかかるか、など多くの情報が得られるため、どのように治療を進めていくか、患者さんの身体から知ることができるのです。

*陰陽のアンバランスで起こる病、病的体質

陽虚 寒さ暑さに弱く、体温調節がうまくいかない。汗をだらだらかく、皮膚が薄い
くよくよすることが多い、風邪をひきやすい、疲れやすい
陰虚 血、水などが不足し、強い疲労感に襲われる。慢性下痢、胸いきれ、皮膚乾燥、やせ
陽実 風邪をひいて熱があるような状態。汗がどっと出て体の中で病邪と戦っている状態
陰実 病は深いが体力があるので劇症となる。疼痛、頑固な下痢、動悸。冷えが強く現れる

五行論

すべてのエネルギーは5つの性質に表すことができ、その5つは生み育て互いを制御しながらパワーバランスをとっている、という考え方です。

「五行」は鍼灸治療の治療に

木・火・土・金・水の五つのエネルギーのバランスを経絡によって身体全体から観察することでどのエネルギーがどうして弱く(強く)なっているのか、なにをおぎなえ(除け)ばいいのか、を具体的に知ることができるのです。

東洋医学では臓器もこの5つのエネルギーの性質に分けて考えられます。

*五臓の仕事(臓象論:東洋医学でいう生理学)

肝臓 血を蔵する所。意思の働きを支配。弱ればくよくよし高ぶれば怒り叫ぶ
腎と共に性器、生殖に関係する
爪、腱、眼に関係
肝は木の性質
心臓 五感及び意識活動を主る中枢的な役割=神(こころ)が蔵するところ
舌、体毛、熱に関係
心は火の性質
脾臓 膵臓や胃腸を中心とする消化器官の総称
食べ物から後天の気(食べ物などから得るエネルギー)を作り出す
全身の痩せ太りを支配し、筋肉や唇に状態が現れる
脾は土の性質
肺臓 鼻から気道を通じて清い気を吸い込み、他臓に生じた濁った気を吐き出す
気を主るので、五臓に生気を廻らすサーキュレーターの役目
鼻、皮膚との関係
肺は木の性質
腎臓 先天の気(生まれ持ったエネルギー)を蔵する
性器、生殖に関係。水分代謝、気を下げる役割
耳、骨、髪に関係
腎は水の性質

*五臓の病症

肝臓 運動器疾患、生殖器の病
心臓 意識や感覚障害、発熱、うつ
脾臓 消化器の病、便通異常、関節の病
肺臓 呼吸器の病、皮膚の病、気の病(精神疾患)
腎臓 生殖器、泌尿器の病、冷えのぼせ、出血、浮腫

5つのエネルギーの関係性…相生と相剋

5つのエネルギーの関係性…相生と相剋(図4)

相生(そうせい)関係・・・母と子の関係

生み生まれるという関係。臓腑が生み出されるというのではなく
その性質(木)が母子の関係性であり、依存性を持ち、関連して影響されやすい臓腑同士ということ

木は火を生み 木を燃やせば火となる 肝生心
火は土を生み 火から灰ができて土を肥やす 心生脾
金は水を生み 鉱物から鉱水ができる 肺生腎
水は木を生む 水は木を育てる 腎生肝

相剋(そうこく)関係・・・夫婦関係

抑制し調整し合う関係。一つ一つのエネルギーが強くなり過ぎないように制御する。

木は土を剋し 樹木は土の陽分を吸収する 肝剋脾
火は金を剋し 火は金属を溶かし使いやすくする 心剋肺
土は水を剋し 土は土手として水の氾濫を抑えるる 脾剋腎
金は木を剋し 金属によって木は剪定される 肺剋肝
水は火を剋す 水は火を消す 腎剋心

「肝剋脾」であれば、肝の怒り(イライラなども)の感情が大きくなれば、相剋の脾が制御されすぎいじめられることになるので胃の痛みがおこる。
「腎剋心」であれば、腎の驚く(脅かされる)は常に恐怖の状態に置かれていると、相剋の心がいじめられて動悸がしたり、喜びがなくなりうつ状態になる。

など、一つのエネルギーや臓腑の気が過剰または不足になれば、夫婦関係では一方が強くなり過ぎ、もう一方が弱るということが起こってくる。

ただ相剋関係はお互いのバランスをとる関係でもあるので、
「肺剋肝」であれば、緊張やイライラ(肝)は深呼吸によっておさまってくる
「腎剋心」であれば、興奮状態(心)は水(腎)の潤いが沈めてくれて、眠れるようになる
など、本来正常な状態であれば互いを調整しあう間柄です。

このバランスを調整するのが経絡治療です。