ごあいさつ

 

 私たち日本人は、戦後30年にわたり馬車馬のようになりふり構わず働いて

世界に冠たる経済大国を作り上げてまいりましたが、その反面、物質的にな

り過ぎ、暖かい人間性や高い文化性をともすると失いつつあるようです。

今や私たちは一生懸命働きながらも、それだけではなくて、新しく文化的で

人間性豊かな生き方を取り戻すべき時期に来ていることを感じています。

 一言で言えば「心を大切にする」時代に入りつつあります。せめて週に一

度位は自己を取り戻したいと考える人が多くなりました。

わが横浜陶芸学園は、実生活に深い関わりをもつ陶芸を通して、この新しい

時代の要請に応えるべく南雲龍、松島芳 両先生のご協力により創設されました。

わが学園が皆さまの実技の向上を計ることは当然のことですが、それにもま

して、陶芸のもつ、独特の心を身につけて頂くことを主眼と致しています。

陶芸の心は≪土なりに作る≫という、自然で素直な心をもとに一つ一つの作

品にあなたの個性を生かし、新しい創造を求めて行く心であります。また陶

器は独りでは完成出来ず、多くの人々の協力で出来上がるものであるため、製

作者の協調性が重んじられます。これも陶芸の要求する大切な心であります。

 以上のような次第でありますから、講師は単に技術のみでなく、優れた人

格を備えた専門陶芸家に限っています。

 また、日本の陶芸のルーツや現代の新しい動向を理解して頂くため、多数の

資料品や図書も用意してあります。

 わが学園が、このような活動を永く活溌に続けられるよう皆様の積極的ご

参加とご支援をお願い致します。

 

                     学園主  武 内 重 夫