11月16日 visited points 晴れのち小雨。 空港でレンタカーを借り、一路国道N6を西へ。 ダブリンの環状高速道路の外側はもう田舎。 黒っぽい石積みの垣根で囲まれた牧場が延々と続く。 この垣根に沿って歩けば、アイルランドを一周できるらしい。 この島には高い山はなく、どこまでもウネリが続く。 西に行くにしたがって、土地は泥炭層になり、痩せていく。 とうとう、西海岸の
Galway まで、牧場ばかりで、野菜や穀物の畑を発見できなかった。 この国で大量に消費されているジャガイモの畑はいったいどこ? この国の歴史を左右したジャガイモはどこ? もしかしたら、羊がウジャウジャいたあの牧場が、収穫が終わったジャガイモ畑なのかもしれない。 途中、国道沿いのサービスエリアでランチ。 男たちが食べている定番のフィッシュ&チップスを一目見て、「あれは、やめとこう!」と決意。 あのポテトの量はハンパじゃない。 Galway
の B&B (Bed and Breakfast) にチェックインして、小雨の中、ダウンタウンへ。 小じんまりした、いい雰囲気の街。
されどイモ 国をつぶすも やつ次第
11月17日 終日の雨。 雨の荒涼としたコネマラ (Connemara)国立公園をドライブ。 樹木の無い石ころの丘と赤茶色の草原と湖沼郡の中を、たらたらと車を走らせた。 コネマラの北側の Westport
という小さな町でランチ。 魅惑的な笑顔を浮かべたウェートレスが持ってきたサーモン・ステーキは美味かった。 帰りはジョンウェイン主演の「静かなる男」のロケ地で有名な
Cong を経由。 あの映画は、安っぽいハリウッド映画。 アイルランドのイメージからほど遠い。 Cong
で買った4コマ漫画のTシャツには、
そう、これがアイルランド! Galway
のダウンタウンで家庭料理のレストランに入る。 可愛いウェートレスが日本人のぼくを興味津々といった表情で見ている。 少し話をしてみた。 舌の真ん中にキラッとピアスが光った。
雨の国 妖精の国 イモの国
あちこちのバーに、「7時より、大型TVでアイルランドvsクロアチア放映」の張り紙があり、年配向けのバーを選んで入ってみた。 カウンターに座りギネスを注文。 下戸のぼくにとって、これ一杯飲むのがやっと。 ゆっくりと注いだ後、なかなかこちらにくれない。 泡が消えたころ、今度はもっとゆっくりと、ぎりぎりまで注いでぼくの前にグラスをそっと滑らした。 こんなに目一杯注いでくれなくても・・・! 友人から聞いた逸話、
ビールの泡にハエが入った・・・・・。 イングランド人は、泡と一緒にハエを吹き飛ばして飲む。 スコットランド人は、ハエをつまんでちょっと振り、ビールのしずくをグラスに戻して飲む。 アイルランド人は、ハエを絞って、ビールのしずくを100%グラスに戻して飲む。
いよいよ、サッカーの生中継が始まった。 1対0でアイルランドが辛勝。 後ろの席のオッサンといきなり握手してしまった。 このオッサン、2002年のワールドカップのとき千葉県に来たという。 千葉県はアイルランドのホスト県だった。 あのとき、JR津田沼駅でたむろしていた緑色のサポーターの中に居たのかもしれない。
サポーター 気持ちはいつも オフサイド
11月18日 昨日よりも強い雨と風。 海岸沿いを南西方向に、モハーの断崖
(Cliffs of Moher) を目指す。 海を右に見て走れば自動的に断崖へ行けると、軽く考えて出発。 が、途中から海が左に見えてきた。 小さな半島を時計回りにぐるぐる回っていたらしい。 おかげで、アイルランドの田舎を十二分に堪能した。 いよいよ、モハーの断崖への細い海岸道路に入った。 対向車もなく、風雨の中、走るのはおいら独り。 ドゥーラン
(Doolin) という小さな集落に寄ってみる。 ここから、アラン諸島への船が出ているが、小さなプレハブの切符売り場は欠航のため閉められていた。 モハーの駐車場には10台ぐらいの乗用車と観光バスが2台。 みんな、ビジターズセンターで雨宿り。 ずぶぬれになっている青年に、「なにか見えた?」と聞くと、「雨が弱まったとき断崖が見えたよ。すごい風景だった」というので、まずはコーヒーを一杯飲んでから写真を撮りに行くことにした。 雨まじりの強風の中に息を呑むような光景があった。 運良く、雨は背後から吹きつけていて、レンズを濡らすことなくシャッターを切れた。 フラットなこの小っぽけな島国が200メートルを越す断崖となって、大西洋に落ち込んでいた。
どうせなら ずーっと先で 落ちてくれ
アイルランド全島をネットで覆ったような石垣の中をエニス
(Ennis) へ。 街の雰囲気は Galway と似ている。 観光向けにアイリッシュダンスをやってる施設はエニスの郊外にあったが、面倒なのであきらめた。
11月19日 曇りのち晴れ。 エニスからリマリック経由でダブリンへ直行。 リマリックにはシャノン(Shannon)川が流れている。 現在の
I T 技術の基礎理論を作り上げた人物は Claude Elwood Shannon という。 彼の先祖はこの地域の出身だろうか? ダブリン市内に入ったが、自分の位置が分からない。 おまけに、レンタカーの
Hertz 営業所の地図が不鮮明で読めない。 とりあえずダウンタウンと思われる場所まで行き、カフェに入りご同輩に道を尋ねた。 アイルランド人はみんな親切で素朴。 レンタカーを返し、ホテルにチェックイン。 ホテルは目抜き通り
(Grafton Street) のすぐ近く。 アイルランドではアイリシュ・ダンスを是非見たかったが、そのメッカであるエニスでは見ることが出来なかった。 ダブリンでダンスを見せてくれるバーを訪ねると、9時ごろになれば
Arlington Hotel のバーで必ず見れるというので、その周辺で時間をつぶす。 Grafton
Street では二人の日本人ストリート・ミュージシャンが唄を歌っていた。 9時半ごろ、例のバーに入る。 中はかなり広く、陽気なアメリカ人観光客でごった返している。 GalwayのB&Bでも、宿泊帳に記載された客のほとんどがアメリカ人だったが、アメリカ人の多くはアイルランドに故郷を感じるのだろうか? 本屋の店頭には、ベストセラーのクリントン元大統領の伝記が山積みされていた。 アイルランド出身のアメリカ大統領としては、Kennedy,
Reagan Clinton が良く知られている。 アメリカはボストン茶会事件をきっかけにイギリスから独立を勝ち取り、アイルランドも長いイギリス統治から20世紀になって独立を勝ち取った。 イギリスから見れば石ころのようなこの国には、なにか奥深い強みがあるような気がする。 10時半、まだダンスは始まらない。 陽気なアメリカ人たちが舞台に上がりこんで、卑猥なダンスを始めた。 11時を過ぎても始まらない。 あきらめて、ホテルに帰った。
本日は 客種悪しと ライブなし
11月20日 ヒースロー経由で成田へ。 機内で、イングランドのキツネ狩りの中止を伝えるニュースを読む。 キツネ一匹を20匹もの犬で追い詰める貴族のゲーム。
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典型的な農家(わらぶき屋根の葺き替えをしている。拡大画面にするとアイルランド民謡
Oh Danny Boy が流れます)
道路標識(英語とゲール語で書かれている)
石垣の牧場(国道沿いは、延々とこの風景)
Galway市の河口の家並み(左手がダウンタウン、右手はゴールウェイ湾、拡大画面で「庭の千草」が流れます)
コネマラの風景(なにしろ、羊が多い)
コネマラの段々牧場(小さな湖沼が多い)
Congの古城(コネマラの荒涼とした風景の中で、Cong周辺は樹木が多く、ここを訪れる観光客は多い)
農家(このような建物が非常に多い)
ドゥーランのフェリー発着場(車から撮影。ここから、アラン諸島へ船が出る)
モハーの断崖(高さ200メートルを越す。拡大画像は圧縮していないので、デスクトップの背景にどうぞ!)
モハーからの帰途(断崖の上はフラット。やはり石垣の牧場が続く)
聖メアリー大聖堂。リムリック最古の建物。リムリックはフランク・マコートの自伝小説「アンジェラの灰」が生まれた町。雨と貧困の絶望的な少年時代。
国道
N7(ダブリンへ)
グラフトン・ストリート(ダブリンの繁華街)
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